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【失業保険(手当)】しくみをしっかり理解し受給もれがないようにしよう

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失業手当について

会社の倒産や解雇で辞めなければいけない人には、さまざまな理由があります。病気・ケガ・身内の介護などで働きたくても辞めなければならない人、人間関係に疲れて退職する人などが挙げられます。

まだ次の仕事は決まってないけれど、すぐにでも仕事をみつけて就職したい人、またこれまでの仕事を頑張ってきたご褒美に、少しゆっくり仕事を探したい人など。さまざまな状況の人が、事前に「失業手当」についての知識がないと損することがあります。

本記事では「失業手当」について、さまざな観点から解説していきます。退職する前にしっかり理解しておきましょう。

失業手当とは

「失業手当」という言葉を知っている人は多いのではないでしょうか。しかし、どのようなものかと問われれば、答えることが難しいかもしれません。ここでは「失業手当」とは、どういうものなのかを解説していきます。

次の仕事が見つかるまでの生活支援金

「失業手当」とは、自己都合や会社都合で退職した人が失業から就職する求職期間中のライフラインとして、生活費を国から支給してもらえる制度です。在職していた時に毎月掛けていた雇用保険から支給されます。この雇用保険制度をもとに、現在働いている人たちが払っている毎月の雇用保険の基金から支給されるのです。

しかし失業保険は、退職者が全て受け取れる訳ではありません。勤めていた期間やその他の条件により各自失業保険が受けられるか否かが決まってきます。またその受給期間もそれぞれの条件で違いますので、詳しくみていきましょう。

誰でも失業手当を受け取れるわけではない

失業手当はすべての人がもらえると思っていませんか?雇用保険をちゃんと支払っていたからといって、決して安心してはいけません。なぜなら退職理由によって条件が定められているからなのです。

・会社都合退職の場合:倒産や解雇(懲戒解雇は除く)、3年以上の有期雇用契約の更新を自分の意思と反対に打ち切られたなどが理由の場合は、離職日前から数えて1年以内に被保険者期間が通算して6ヵ月以上あることが条件です。

・自己都合退職の場合:労働者が自分自身の都合で自発的に退職を申し出た場合は、その理由によって、給付される条件がかわってきます。「病気により就業困難」「家族の介護」「夫の転勤」などは正当な理由とみなされ、離職日前から数えて1年間以内に被保険者期間が通算して6ヵ月以上あることが条件です。

正当な理由でなく、自発的な理由で退職した場合は、離職日前から数えて2年以内に被保険者期間が通算して12カ月以上あることが条件となります。ちなみに「被保険者期間」とは雇用保険を支払っていた期間です。しかし、雇用保険の加入にも条件がありますので注意が必要です。

・その他:あらかじめ決まっていた理由(定年退職や更新予定のない有期雇用の契約満了など)により失業した場合は、自己都合退職の正当ではない理由と同じ条件なのです。

退職=失業ではない

人によっては認識違いをしている方も多いかもしれませんが、「退職=失業」とはならず必ずしも同じではありません。「退職」とは、勤めていた職場を辞めることです。

「失業」とは仕事を失うこと、および求職活動をしているのになかなか就職が決まらない状態のことを指します。注意する点は現在失業中でも「働く意欲」があるかないかがポイントです。

すぐに働けない人は失業状態と認められない

上記で「働く意欲」があるか否かがポイントという点を挙げてきましたが、もし働く意欲があったとしても妊娠や病気、ケガ、また家族の介護などをしていてすぐに働くことができない人がいます。このような、すぐに働くことができない場合は失業状態といえるのでしょうか。

その正解は「失業状態と認められない」となります。なぜなら、厚労省ではすぐに働ける状態の人で失業中の人を「失業中」と定義しているからです。

すぐに働けない場合はの受給の保留ができる

基本的には離職してから1年間でもらいきる必要がありますが、働きたくても働けない理由(妊娠や病気やケガ、介護など)で30日以上仕事ができない場合は、受給期間満了日を最大で3年まで延長することができます。

しかし、延長の手続きは仕事に就けない状況の31日目から1カ月以内に申請する必要があります。自分が体調が悪い場合や入院などで申請に行けないときには、まずハローワークに電話で問合わせて相談してみましょう。

傷病手当をもらっている場合

傷病手当とは業務外の病気やケガで「労務不能」となったときに給付される手当のことです。失業手当と傷病手当は同時に受給することはできません。しかし、正当な理由で働ける状態でないときは、失業手当の受給を保留することで「受給期間の延長」という制度が利用できます。そうすることで、失業手当の受給期間1年と、延長期間3年で最大4年延長できます。

傷病手当を受給できる条件としての特徴は、離職理由が「自己都合」であっても、給付制限(3カ月)なしで受給できることなどがあります。また、病気が治り傷病手当の支給が終了したときにも、失業手当から求職活動中の生活費として、手当が支給される仕組みとなっています。もし、病気やケガの回復が長引きそうであれば、ハローワークで受給期間を延長しておきましょう。

年金は失業手当を受給しているともらえない

失業手当を受給していると「年金」はもらえません。その理由は失業手当は「働く意欲」がある人が求職中に生活費にと支給される制度です。年金は定年退職などをした人や、定年後に働くことが困難な人の生活費のために、支給される制度となっています。

このニつは相反する制度なので、同時にもらうことができないのです。このことからもわかるように、定年退職後に失業保険を受給する場合は注意が必要です。

失業手当をもらうための条件

失業手当をもらうための条件とはどのようなものがあるのでしょうか。正社員や派遣社員、契約社員やパート、またアルバイトや障害がある方、65歳以上の方などの失業手当を受給するための条件を解説していきます。

雇用保険の加入期間が12カ月以上あること

失業手当をもらうための条件の一つに「2年間のうちに雇用保険の加入期間が通算12カ月以上」というのがあります。「無期雇用」の正社員であれば、雇用契約を結んだ時点で雇用保険に強制的に加入することになりますが、「有期雇用」のアルバイトやパート、派遣社員や契約社員はもらえないのでしょうか。

アルバイトやパート、派遣社員や契約社員については、一定の条件を満たすことができれば加入することができます。条件としては、「31日以上の引き続き雇用が見込まれること」「1週間の所定労働時間が20時間以上あること」で失業手当をもらうことができます。

しかし、雇用保険は雇用主が申請する必要がありますので、雇用主に相談することをオススメします。

働く意思と能力があること

失業手当制度の目的は、働く意欲があるのに就職できない人が生活できるように生活費が支給される制度です。「働きたいという強い意志」と「いつでも就職できる能力(健康状態・家庭環境)」をもって、積極的に求職活動をおこなっている必要があります。

「いつでも就職できる能力」とは、健康状態も良好で、家庭環境も良好な状態です。たとえば、親の介護があっても、介護を任せられる人がいる場合は「いつでも就職できる能力」があるといえるかもしれません。失業手当の申請時には、「ニートになりたい」などの働く意欲がない発言をしないようにしましょう。

障害をもっていて就職が困難な方も対象

「就職困難者」の失業手当の給付期間については、一般(自己都合で退職)の給付者と違ってきます。「就職困難者」とは、身体障害者、知的障害者、精神障害者、社会的事情により就職が著しく阻害されている方をいいます。

これらの「就職困難者」は普通の給付者の場合、15歳以上65歳未満で、労働期間は1年以上5年未満は90日支給されます。それに対して、「就職困難者」は45歳未満、労働期間は1年以上5年未満で300日となり、受給期間が長くなります。

65才以上の方でももらえる失業手当

失業手当は年齢によって、呼び名と支給条件が異なり、65歳未満の方は「基本手当」、65歳以上の方は「高年齢求職者給付金」と呼ばれます。支給条件としては、離職日前から数えて1年以内に被保険者期間が、通算して6カ月以上あることが前提となります。支給日数は、6カ月以上1年未満が30日で、1年以上が50日となります。支給金額については、受け取っている給与のおよそ50%~80%×日数分となり、一括で受け取ることになります。

「基本手当(65歳未満)」では、90日~330日分受け取れるのに対して、「高年齢求職者給付金」では、30日もしくは50日分の一時金となり、支給される金額が少なくなります。もしこの条件に当てはまるならば、退職するかを迷っている人は64歳で退職したほうが、金額面で多くなることを頭に入れて判断しましょう。

失業手当をもらうための手続き

失業手当をもらうための手続きは、ハローワークで自己申請をする必要があります。ここでは、ハローワークで失業手当を受給するための手続きについて解説します。

手続きは退職後すぐに始めよう

退職後に自己申請をしたうえで、初めて受け取ることができる失業手当ですが、もし何らかの理由で引っ越しするのであれば、すぐに手続きをする必要があります。なぜなら、求職活動をしなくてもよい期間(待期期間)が、7日間設けられているからです。

つまり引っ越しを終えてから失業保険の手続きすると、それだけ手当の支給(振り込まれる)までに時間がかかってしまうのです。もし引っ越しする場合は、待機期間の7日間を引っ越しに充てることで、支給される日を遅らせることのないようにするとよいでしょう。

必要な書類をそろえよう

失業手当の申請する際に必要な書類は、持参するものとハローワークで用意される書類に分けられます。持参する書類としては「雇用保険被保険者離職票(1)」「雇用保険被保険者離職票(2)」「印鑑」「写真」「普通預金通帳」「マイナンバー確認証明書」「本人確認証明書」「雇用保険被保険者証」です。そして、ハローワークにて入手する書類としては「求職申込書」「ハローワークカード」となります。

・雇用保険被保険者離職票(1):これは勤務先の会社で受け取ります。失業手当を振込み先の金融機関の口座を記入します。

・雇用保険被保険者離職票(2):こちらも勤務先の会社で受け取ります。これには勤務先での情報(労働者、勤務先情報、給料明細、退職理由)を記入します。
・写真:写真は縦3cm×横2.5cmのものを2枚、カラー写真で正面上半身タイプのもので、3ヵ月以内に撮影されたものを準備します。

・普通預金通帳:最近はインターネットを利用する方も多く通帳を持っていない方もいると思います。そのような場合はキャッシュカードを持参しましょう。また、郵便局、インターネットバンク、外資系金融機関の口座は使用できません。

・マイナンバー確認証明書:マイナンバーカード、通知カード、マイナンバーが記載している住民票のいずれかが必要となります。これは2016年1月より雇用保険被保険者資格取得届に個人番号の記載が必要になったからです。マイナンバーカードや通知カードをなくした場合、再発行するのに約2~3週間かかりますので退職する旨が決まった際には必ず持っているか確認しましょう。

・本人確認証明書:本人確認証明書には、申請する本人が証明できる年齢や住所が記載されている写真付きのものです。運転免許証、パスポート、運転経歴証明書、身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳、住民基本台帳カード、在留カード、特別永住者証明書、写真付身分証明書、写真付社員証、官公庁が発行した写真付資格証明書のいずれかが必要となります。

ハローワークへ行こう

失業手当を受給するにはハローワークで手続きする必要があります。しかし、どこのハローワークにいってもよいというわけではありません。自分の住民票を管轄しているハローワークに行きましょう。

しかし、ハローワークは市区町村に一つだけというわけではありません。住居の最寄り駅や公共交通機関を使用して行く必要がある場合もあります。不安な場合は最寄りのハローワークに確認してみましょう。

また、ハローワークの受付時間は8時30分~17時15分となっています。ハローワークによっては、土日祝も開庁されていますが、失業手当等の受付業務は行っていませんので注意して下さい。

初日は求職の申込みをしよう

必要な書類をそろえて、自分の住民票を管轄しているハローワークに行ったなら、まずは「求職申込書」を受け取り、申込書に希望条件、経歴などの必要事項を記入します。その後、ハローワークカードを受け取り、別の窓口で離職票をもとに、持参した書類や求職申込書のチェックが行われます。

そのあと、労働条件や就職先についての質問をされますので、事前に労働条件や就職先を考えておきましょう。また、同時に退職理由についても質問されます。これは、主に勤務状況がメインです。「雇用保険被保険者離職票(2)」には、会社の事業主と退職者が記入する欄があり、双方の理由が違う場合は、自分の退職理由が正しいことがわかる書類を準備しておくとよいでしょう。

書類のチェックや職員からの質問が終わり、受給資格を得ることができれば、「失業手当の申込みをした日から7日間の待機期間があること」「待機期間の7日間は賃金に伴う労働は原則禁止」「雇用保険受給説明会の説明を受けるための参加日時を決めること」「申込日から28日後におこなわれる第1回失業認定日について」の4点の説明を受けることになります。

この4点の説明が終われば、「雇用保険受給資格者のしおり」をもらい、ハローワークでの手続きは終了となります。

雇用保険受給説明会に参加しよう

失業手当の手続きが終わると1週間から3週間後には、雇用保険受給説明会が行われます。この説明会では、失業保険の仕組みについて2時間ほど説明を受けます。その後、雇用保険受給資格者証、失業認定申告書、求職活動計画書が配布されます。

特に「不正受給」については、しっかりと理解しておきましょう。不正受給が発覚した場合、支給された額の3倍を返却しなければならなくなります。

3カ月の給付制限期間がある

失業手当には退職理由によって、「一般受給資格者」「特定受給資格者」「特定理由資格者(1)」「特定理由資格者(2)」に分けられます。

「特定受給資格者」は倒産や不当な理由による解雇などの会社都合での退職者のことをいいます。自己都合での退職の場合は、「一般受給資格者」「特定理由資格者(1)」「特定理由資格者(2)」に分かれます。「一般受給資格者」とは、自己都合、定年退職、懲戒解雇などの理由で退職した人で最も多い資格者となります。

「特定理由資格者(1)」とは、労働契約期間が満了し、かつ更新を希望したのもにかかわらず、次の更新がないことにより退職した人です。「特定理由資格者(2)」とは正当な理由がある退職者をいいます。

「特定理由資格者(2)」の正当な理由とは、精神的、体力的、身体的な障害で業務が遂行できないことが理由となります。「特定受給資格者」「特定理由資格者(1)」「特定理由資格者(2)」には給付制限期間がなく、「一般受給資格者」にのみ3カ月の給付制限があるので注意が必要です。

第一回失業認定日を迎える

第一回失業認定日には、「雇用保険受給資格者証」「失業認定申告書」を持って行きましょう。受付を済ませると面談が行われます。面談の内容は、「次回の認定日」と「次の求職活動実績の回数」についてです。

第一回失業認定日までに、1回の求職活動実績が必要となりますが、雇用保険受給説明会への出席が求職活動実績としてカウントされるため、気にする必要はないでしょう。ただし、第一回失業認定日で失業手当が一括でもらえるわけではありませんので、注意が必要です。

その先は4週間に1度面談がある

第一回失業認定日を終えると、その4~7日後に給付金が振り込まれます。その後は4週間ごとの失業認定日にハローワークに通い、失業状態の申告をおこなうとその都度、給付金が振り込まれます。

失業認定日を忘れたり、特別な理由で行けなかった場合は「不認定」となり、給付金の振込みが次回の認定日となります。しかし、特別な理由がある場合は、事前に理由が証明できる証明書を必要な書類と一緒に提出すると、変更できます。うっかり忘れたということにならないように、注意しましょう。

失業手当をもらえる期間

ここでは、退職理由別で失業保険がもらえる期間について解説していきます。主に下記の三つのケースがありますので、自分の場合はどのケースかを判断しましょう。

個人差がある

失業手当は「一般受給資格者」「特定受給資格者」に分けられ、さらに「年齢」「雇用保険の加入期間」「退職理由」によって変わります。
上記でも説明しましたが「一般受給資格者」とは、自己都合、定年退職、懲戒解雇などの理由で退職した人で最も多い資格者となります。「特定受給資格者」は、倒産や不当な理由による解雇などの会社都合での退職者のことをいいます。

自己都合退職の場合

一般受給資格者には3カ月の給付制限期間がありますが、雇用保険の加入期間により給付期間がかわります。加入期間と年齢による給付期間は以下の通りです。(対象年齢は全て15歳以上~65歳未満)

・加入期間が1年未満:給付なし
・加入期間が1年以上~10年未満:90日間の給付
・加入期間が10年以上~20年未満:120日間の給付
・加入期間が20年以上:150日間の給付

会社都合退職の場合

「特定受給資格者」は会社都合による退職になるので、一般受給資格者に対して給付期間は長くなっています。申請時の年齢別の給付期間は以下の通りです。

30歳未満

加入期間が5年未満の場合は「90日間の給付」、5年以上~10年未満で「120日間の給付」、10年以上~20年未満で「180日間の給付」です。

30歳以上~35際未満

加入期間が1年未満の場合は「90日間の給付」、1年以上~5年未満の場合は「120日間の給付」、5年以上~10年未満で「180日間の給付」、10年以上~20年未満で「210日間の給付」、20年以上~で「240日間の給付」です。

35歳以上~45際未満

加入期間が1年未満の場合は「90日間の給付」、1年以上~5年未満の場合は「150日間の給付」、5年以上~10年未満で「180日間の給付」、10年以上~20年未満で「240日間の給付」、20年以上~で「270日間の給付」です。

45歳以上~60際未満

加入期間が1年未満の場合は「90日間の給付」、1年以上~5年未満の場合は「180日間の給付」、5年以上~10年未満で「240日間の給付」、10年以上~20年未満で「270日間の給付」、20年以上~で「330日間の給付」です。

60歳以上~65際未満

加入期間が1年未満の場合は「90日間の給付」、1年以上~5年未満の場合は「150日間の給付」、5年以上~10年未満で「180日間の給付」、10年以上~20年未満で「210日間の給付」、20年以上~で「240日間の給付」です。

給付額はどれくらい

給付日数については理解できたのではないでしょうか。では、いったい、給付額はどのくらいになるのでしょうか。

給付額は年齢と賃金で決まる

失業手当の給付額は、勤めていた会社を退職する前の6カ月間の賃金をベースに計算されます。残業代や手当ては含まれますが、ボーナスは含まれません。

日割り計算をする

おおよその給付される金額は下記の計算式で計算できますが、実際の金額は、これに「給付率」を加味されたものになります。

賃金日額 = 6カ月間の賃金の総額 ÷ 180 となります。

給付率をかけていく

賃金の高い人にはレートが低く、賃金が低い人には高いレートが適用されています。これは支給される金額が平等になるようにするためです。このレートを給付率といい、この給付率は50%~80%となっています。

給付率の正確な計算は難しいです。理由としては、失業手当の給付額の計算は厚生労働省が毎年8月1日以降に発表するデータに基づいて行われ、雇用保険法第18条の規定において、その年の給与水準は前年度の勤労統計における平均収入の変動比率に応じて修正されるからです。

内定が決まったあと

失業手当受給中に内定が決まると失業手当の支給が終了します。しかし、支給日数を残して再就職した場合には「再就職手当」が支給されます。ここでは再就職手当の内容について詳しくみていきます。

再就職手当がもらえる

再就職手当は「就職お祝い金」ともいわれ、失業手当受給期間中に再就職した際に残った支給日数によって支給される金額がかわってきます。支給額としては、支給日数を3分の2以上残して再就職した場合は「基本手当×支給残日数×60%」、3分の1以上、3分の2未満残して再就職した場合は「基本手当×支給残日数×50%」となります。支給日数が残っていればいるほど、支給される額が高いということになるのです。

しかし、再就職手当をもらうには条件もあります。「離職した前の会社に再就職しないこと」「給付制限期間中の最初の1ヵ月はハローワークまたは職業事業者紹介によっての再就職であること」「1年を超えて勤務することが確実であること」「基本手当の受給資格決定前から採用が決まっていた会社に雇用されたものではないこと」がその条件となります。

個人事業主にも、再就職手当がもらえます。厚生労働省のホームページには、「雇用保険の受給資格者自らが、雇用保険の適用事業の事業主となって雇用保険の被保険者を雇用する場合や、事業の開始により自立することができると認められる場合についても、事業開始日の前日における基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あり、一定の要件に該当すれば支給されます。」あり、厚生労働者の創業支援の一環として認められています。

再就職手当は雇用保険制度の一部なので、退職前に開業届や法人を設立していると認められないので注意してください。

失業手当中にアルバイトをしてもいいのか

自己都合で退職した場合、3カ月の給付制限があります。その間に収入がないというのは、とても不安なのではないでしょうか。ここでは、受給中のアルバイトについて解説してきましょう。

きちんとルールを守れば可能

自己都合で退職した場合、3カ月の給付制限があります。その間、収入がないというのは、とても不安ではないしょうか?退職が自己都合になった人でも、当面の生活費などが必要となり、すぐにでも資金が必要なことも多くあるのです。

この期間のアルバイトは注意しなければならないこともありますが、以下のようなルールを守れば、受給中でもアルバイトが可能なのです。

最初の7日は絶対にアルバイトをしてはいけない

失業手続き後、受給資格が決定してから7日間は待機期間となります。この待機期間はアルバイトをしてはいけません。収入もわずかでも得た場合は、待機期間が延長になりますので注意は必要です。

こういった状況を避けるためにも、アルバイトや臨時の手伝いなども、この待機期間中は行わないことが大切ですので注意しましょう。

ハローワークに行く前ならアルバイトは自由にできる

求職の申込みをする前であれば、アルバイトをして問題ありません。以前会社員として勤務していた人の場合、退職証明書や離職票などの会社が発行する書類が届くまでに時間が数日~数週間かかります。

それまでは失業保険の手続きができませんので、その間にアルバイトをするということは、特に規制はありません。失業保険を受給するための準備期間ということで、うまく時間を調整して過ごしましょう。

給付制限期間中はアルバイトができる

自己都合の場合の3カ月の給付制限期間が設けられていますが、生活ができない人も中にはいるかもしれません。そのような方のためにアルバイトが可能になっています。しかし、「就職」と判断された場合は受給できなくなります。では、どのような場合に「就職」とみなされるのでしょうか。

「1週間の労働時間が20時間以上の場合」「31日以上の雇用が見込まれる場合」はアルバイトであっても、雇用保険条件を満たすことになりますので、「就職」と判断されてしまいますので注意が必要です。

失業給付の受給中でバイトをする場合は申告が必要

失業給付の受給中もアルバイトは可能です。ただし、失業認定日に提出する「失業認定申告書」で申告しなければいけません。申告しないと不正受給となります。

申告する必要となるものは、1日4時間未満の「内職」「手伝い」、1日4時間以上「就職」「就労」のニつです。また、収入がないボランティアでも、申告する必要がありますので注意しましょう。

4時間以内の労働は収入金額によって減額される

1日4時間未満の労働で得る金額によっては、失業手当が減額されることがあります。基本手当(賃金日額×給付率)+収入が前職での賃金日額×0.8より少ないか同等であれば、全額支給されます。基本手当(賃金日額×給付率)+収入が前職での賃金日額×0.8より多い場合は差額が減額されて支給されます。アルバイト収入が前職での賃金日額×0.8より多い場合は支給されません。

就業手当受給中にアルバイトをするのであれば、「1日4時間以上、週20時間未満のアルバイト」がよいといえるでしょう。

不正受給にならないように注意する

ここまで、失業手当の受給中もアルバイトは可能であるが「失業認定申告書」で申告しなければ、不正受給としてみなされると説明してきました。以下に「不正受給」とみなされるのは、どこから判明するのかについて解説していきます。

厳しい罰がある

不正受給が明らかになると、まず「支給停止」となり、支給が収入があった日より支給がストップします。次に「返還命令」により不正に受給した分は、全額返還しなければなりません。さらに「納付命令」によって、不正受給分の2倍にあたる金額の納付命令がなされます。不正受給をすると、「返還命令」と「納付命令」で受給した金額の3倍を返さなければならなくなります。

この納付の命令に従わないと、延滞金も発生し財産の差押えが行われることにもなるのです。また、この行為が悪質とみなされれば、「詐欺罪」になる可能性もありますので、十分注意が必要です。

雇用保険の加入で発覚するケースが多い

自分ではアルバイトをしているという認識でも、雇用保険の加入条件を満たしていれば、雇用先が雇用保険の加入手続きをすることにより発覚します。なぜなら、雇用保険を管理しているのはハローワークなので、すぐに発覚することになるのです。

自分にとってもマイナスですし、アルバイト先にも迷惑がかかりますので、くれぐれも注意が必要です。

マイナンバーからも発覚する

失業手当の手続きに必要な書類にマイナンバーカードがありました。マイナンバーカードでマイナンバーが判明し、アルバイト先の雇用主があなたのマイナンバーをハローワークに提出し、照合することで不正受給が発覚します。

いずれも、自分で失業中であることを自覚していれば防げる事柄です。不正受給にならないように行動しましょう。

確定申告について

ここでは、失業手当受給中の確定申告について解説していきます。確定申告の必要があるかどうかが不明な人は、ぜひ注目してみてみましょう。

失業手当は課税対象にならない

失業手当は、失業中の生活を最低限保障するために支給されるものですから、「所得」とはみなされず、「所得税」もありません。これにより課税対象にはならないので、「確定申告」をする必要がありません。

国民健康保険料を計算するのに必要な、所得割額に加算されることもありません。しかし、身内の扶養に入る場合は、受取る額によっては扶養に入れないので注意が必要です。

確定申告をした方がいい場合もある

失業手当は「確定申告」をする必要はないのですが、働いていたときの所得税の過払い金の還付や、次の年の健康保険料や住民税が低くなるパターンもあります。この場合は、「確定申告」をしたほうがよいといえます。

「年度途中で退職した方で、再就職をしておらず、年末調整をしていない場合」「年度途中で退職した方で、起業したために、年末調整をしていない場合」「失業期間を経て再就職した方で、失業期間中の社会保険料などを年末調整に含めていない場合」「失業期間を経て再就職した方で、失業期間中に得たアルバイト収入が20万円を超える場合」などです。これらに該当する場合は、自分で「確定申告」をしておきましょう。

自分から申請しないとダメなので早めに行動しよう

さまざまな受給資格や給付日数、給付額、また失業手当受給期間のアルバイト、確定申告についてなど解説してきました。失業手当についての正しい理解をすることは、失業保険の受給もれを防ぐことにもつながります。

しかし、失業手当はあくまでも「働く意欲」があり、しっかりと再就職するための求職活動をすることを前提とした制度です。また、受給のための申請は自分で行う必要があります。ハローワークでの手続きをできるだけ早く行動することで、元の生活レベルに戻るまでの時間が短縮できます。

失業保険を上手に利用して新しい仕事を探すと、安心感を持って就活ができます。将来の再就職へとつながるような、新たな生活を始めましょう。

LITORA編集部

自分らしい生き方を見つけたい。大好きなものに囲まれる生活をしたい。暮らしや仕事、オシャレも美容も恋愛も“自分らしく心地よく”を軸に自分のライフスタイルに合わ...

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