営業を辞めたくなったとき取るべき対処法|心を落ち着かせるスキル
営業職を辞めたいときにどういった行動をとるべきか
「営業職は自分に合っていない」「顧客とそりが合わず苦情が多い」「必達数値のプレッシャーに耐えられない」など、営業職ならではの苦労はさまざまです。またその数は多く、一時だけにせよ辞めたくなるときは必ずあります。
しかし、せっかく手に入れた仕事なので、できることなら辞めたくない、後悔しそうで踏み切れないというのが、本音ではないでしょうか。だからと言って、今のままでは心や体を壊してしまう可能性があります。辞めたいと思ったときや、辞めようとしたときには、どのような行動をとるべきなのかを考えます。
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営業職を辞めたいと感じたときの対処
営業職に限らず、仕事を辞めるということは、収入がなくなるということ。現実的に生活することを考えると、大問題です。アパートの家賃や光熱費、スマホ料金、食費を失ったとしても辞めるべきなのかを、冷静に検討する必要があります。
気分転換をする
大変なときや疲れているとき、人は追い詰められて、視野が狭くなり寛容さを失っています。上司や同僚のせいで、自分だけが大変な目に遭っている、あの顧客は常識がないというような、ネガティブな考え方に偏っています。それと同時に、それをどうしようもないことだと感じることが、さらに自分を追い詰めます。
そんなときには、気分転換して気分を変え、物理的・科学的に体の調子を整えることが一番です。体と心は密接につながっているので、疲れがとれるだけでネガティブな感情がなくなったり、感情が落ち着いて現実に戻れたりすることもあります。
深呼吸をする
心を落ち着けるために有効な方法は、人によってさまざまです。コーヒーを飲む、仮眠をとる、買い物やカラオケでストレスを発散するなどありますが、ここでおすすめすることは「深呼吸」です。
気分が高ぶっているということは、危険を感じているということです。アドレナリンが分泌され、全身に酸素を行き渡らせるために、脈拍が上昇します。しかし一方で、現代人は姿勢が悪いため、呼吸が浅くなりやすいといわれています。
そのため体内の酸素が不足して、それを体が「危険」と感じて、気分が高ぶることもあるといいます。そんなときこそ、深呼吸が効果的です。物理的に、体内に酸素をたくさん取り込むのです。
怒りの感情と上手に付き合う「アンガー・マネジメント理論」によれば、怒りのピークはたったの6秒間だといいます。怒りを感じたら、2秒吸って4秒吐くだけでピークは過ぎてしまい、ネガティブな感情が小さくなって、少し落ち着きを取り戻せます。
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営業を辞めたいと思う要因
どんな仕事も大変ですが、営業職ほど結果が重視され、心身ともに疲れる仕事は他にないかもしれません。顧客だけでなく、同僚や上司との人間関係や、目標数値や残業時間に追われて悩み続ける日々。営業職を辞めたいと思うとき、それにはさまざまな要因があることでしょう。
自分に合っていないと感じる
営業職に求められるスキルは、商品知識や一般常識だけではありません。少し聞いただけですぐに理解し、吸収できる人もいますが、それに苦闘する人もいます。そんな苦闘の中で思うような結果が出ず、上司とうまくいかないといったことが重なれば、「自分には合わない」と感じることもあるでしょう。
また仕事では、学生のように同世代だけでなく、さまざまな年代の人との付き合いが多く、どんなタイプの人とでも、よい人間関係を作ることが求められます。そのためには、適度なコミュニケーション能力が必要ですし、ある程度の人を見る目や言葉遣い、趣味や話題の幅広さが求められます。
もしそれが苦痛と感じるなら、営業職に向いていない可能性もあります。そもそも自分にとって、なにが得意でなにが不得意なのか、その不得意は直せないものなのか、一度自分をじっくり観察して、考えてみるべきときなのかもしれません。
時間が不規則で寝られない
営業職は売上といった、具体的な目標数値の達成具合で評価されます。結果が不足している場合、評価を上げるために時間をかけて、新たな顧客にアタックする必要がでてきます。そのためのプレゼン資料を作る時間も増え、残業や休日出勤の頻度も上がってしまいがちです。
また顧客の接待や部署の飲み会も多く、帰宅が遅くなって、十分に休養を取れないことも。そうなると生活が不規則になり、自律神経が乱れたり体調を崩したりして、よく眠れない、体調がなかなか戻らないといったことも起こります。
そんな不調が、あまりに長期、または頻繁に起こるなら、一般論ではなく、自分自身が「この先ずっと営業職に耐えられるか」「他の仕事が向いているかもしれない」といったことを、じっくり考えたほうがよいかもしれません。
辞める前のポイント
仕事を辞めるということは、人生において大きなことです。「辞めなければよかった」「もう少しこうすればよかった」と後悔しないためにも、辞める前に押さえておきたいポイントがあります。
勢いだけで決めない
気持ちだけで突っ走って、仕事を辞めたとしても、その後うまくいくとは限りません。しばらくゆっくりして、そのあとで仕事を探そうと思っても、実際の求人は自分の求めるものではなく、時間ばかりが過ぎて仕事に就けないということはよくあります。
用意した資金はどんどん減ってしまい、最後は「どんな仕事でもいいから」と、結局前職よりも、条件の悪い仕事に就くことになるかもしれません。また、この「前職と今との期間の長さ」は、再就職で不利になることがあります。それだけ現場から遠ざかっていたとされ、前職の能力が低く評価されてしまうのです。
同時にその間、バラ色の生活を送るわけではありませんから、途中「仕事をしていない自分」に不安を覚えるでしょう。そしてそれは、焦りを生み再就職の際の判断力に影響します。
どれも最初に「勢いで辞めたこと」に起因しています。こんな事態を避けるためにも、辞めたあとのことを極めて現実的に計画し、場合によってはすぐに行動する必要があります。間違っても、勢いで辞めることだけは避けたいところです。
転職先の未来まで見据える
今の営業職をやめ、どんな仕事に転職するかは、具体的に考えておかなければなりません。もしも、今の会社の商品を売ることができないのなら、全く違う商品やサービスを取り扱う会社の、営業職に転職することもできます。売るものが変わってターゲットが変わり、より経験を活かした有意義な転職になる可能性があります。
また、営業職に向いていないなら、会社を辞めずに違う部署への移動を願い出ることも一つの方法です。商品開発や営業管理なら、営業職の経験が違う形で役立つかもしれません。このように、広い視野でできるだけ具体的に転職するための「計画」を立てておきたいものです。
漠然と考えた結果うまくいかず、仕事にありつけなかったら大変です。できる限り細かなことまで、また進められるところまで進めておくことが理想です。
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我慢しすぎるのはNG
「大変だけれどがんばるしかない」と、苦しさを押さえ込みながら仕事をしていると、やがて精神的に追い詰められてしまい、自分の状態を客観的に見られなくなります。そうなるまで我慢することは、絶対に避けるべきです。
正常な判断ができなくなる
「一つの仕事をやり遂げることが正しいこと」「よくないことが起こっても、それは自分に原因がある」と考えることは自由ですが、それはあくまで「自分が健康で冷静な判断力を持っていること」が前提です。
時間が不規則で睡眠が取れず、暴飲暴食がたたって胃腸を壊していたら、誰でも仕事に集中できずにイライラが募ります。それが長く続けば冷静さは失われ、周囲の自分を見る目も変わり、被害妄想に陥る可能性もあります。
そうなったら、もはや正常な判断はできません。困ったことに、このような事態は「普通の真面目な人」によく起こりがちです。正義感や常識、社内ルールなどさまざまな基準がありますが、それらを遵守することが自分を追い詰めていくこともあるのです。大切なことは、仕事を辞めないことではなく、自分が生きていくことです。その大前提を忘れてはなりません。
うつ病などにかかってしまう危険
真面目な人には、なにかにつけて「自分が悪い」と、自分を追い詰める傾向があります。あまりにひどくなると、うつ病などの精神疾患を患う人もいるので、細心の注意を払わなくてはなりません。
そうなる前に、まずつらいと感じている自分を受け入れ、誰かに相談することで道が開ける場合があります。周囲の自分を見る目が変わることが怖い、同情されることが気に入らないといった、受け入れがたいことがあるかもしれません。しかし、仕事を失い人生を失うよりは、マシだと考えることが結局は賢明です。
辞めたいと思ったらまず頭を落ちつかせる
営業職は、事業の要であるがゆえに、幅広い知識やコミュニケーション能力、良好な人間関係など多様なスキルが求められます。そのどれもが不可欠で、しかも評価を上げるためには、それらのレベルアップが必要となります。そうなると、自分の能力に悲観して「辞めたい」と思うこともあるでしょう。
辞めたい気持ちが強くなったら、まずは冷静に心を落ち着けることが肝心です。客観的に現状を分析し、必要に応じて周囲に相談して、自分を見つめて心の状態を立て直しましょう。辞めることは、それからでも遅くはありません。
今まで感じたことがないほど、体や心がつらいと感じたら要注意です。仕事も大切ですが、自分の体のほうが、もっと大切です。場合によっては真面目さを捨て、より良い人生に向かって路線を変更してもよいのです。