カラダを作るアミノ酸とタンパク質。美と健康が気になるあなたへ
アミノ酸とタンパク質の違いとは
「アミノ酸とタンパク質は同じもの?」という質問にお答えするなら、答えは「No」です。タンパク質を構成しているのがアミノ酸であり、アミノ酸が結合するとタンパク質になるのです。「アミノ酸って何?」「タンパク質って何?」まずは基本からお伝えします。
アミノ酸って何
生命の源となる栄養成分、カラダの様々な機能を担うアミノ酸についてお伝えします。
アミノ酸はアミノ基とカルボキシ基から構成されている有機化合物
ヒトをはじめとした生物を構成しているタンパク質は、アミノ酸から出来ています。タンパク質の最小単位がアミノ酸で、タンパク質を構成するだけでなく、アミノ酸そのものが体内で起こる様々な化学反応に機能する役割を持っています。
タンパク質の基礎知識
カラダを作ったり守ったり・・・カラダを動かす生命活動のほとんどを担うタンパク質についてお伝えします。
タンパク質は三大栄養素の一つ
タンパク質・炭水化物・脂質の3つをあわせて三大栄養素と呼びます。タンパク質は、筋肉や臓器、調整機能の役割を持つホルモンの材料となるほか、エネルギー源としても必要な栄養素です。
タンパク質は体の2割を占めている
カラダを構成しているのは、水分・タンパク質・炭水化物、大きく3つの成分です。カラダの約70%をしめているのが水分で、タンパク質は約20%、炭水化物は約0.5%、言い換えれば水分を除く固形分の約50%がタンパク質なので、カラダの中のほとんどがタンパク質でできていると言えます。
タンパク質は人の体を作る
筋肉や臓器、肌、髪、爪、体内のホルモンや酵素、免疫物質などを作るのがタンパク質。栄養素の運搬を行い、微量ではありますがエネルギー源にもなります。
タンパク質とアミノ酸の関係
ふたつセットで目にすることの多いタンパク質とアミノ酸、両者の関係性についてお伝えします。
アミノ酸はタンパク質を構成する
タンパク質は、20種類のアミノ酸が50個以上結合し鎖状に連結しています。体内で生成することができない栄養素なので、食べ物で摂取しなければなりません。食べ物として取り込まれたタンパク質は、消化の過程でアミノ酸に分解され、再びタンパク質へと形成されていきます。
ヒトのカラダの中には、約10万種類のタンパク質があると言われ、20種類のアミノ酸からできています。
アミノ酸の結合方法による変化
タンパク質に含まれる20種類のアミノ酸は、その結合方法によって名前を変えます。最も小さな単位がアミノ酸、アミノ酸が複数集まってペプチド、ペプチドが複数集まってコラーゲンとなります。ヒトを形成するタンパク質の約30%を占めるのがコラーゲンで、爪や髪、皮膚や骨、軟骨、腱などの結合組織の主成分です。
タンパク質合成後に生成される特有のアミノ酸も
タンパク質の要素となる20種類のアミノ酸の他にも、注目すべきアミノ酸があります。髪の毛のケラチンに存在するもの、ホルモンに含まれているもの、皮膚の弾力やハリに関わるエラスチンやコラーゲンに含まれるもの・・・これらのアミノ酸は、たんぱく質の合成後に生成されているアミノ酸で、体内で重要な働きをしています。
タンパク質に含まれる必須アミノ酸について
地球上には多くのアミノ酸が存在し、それらは必須アミノ酸と非必須アミノ酸に分けられます。ヒトの体内にあるタンパク質を構成し、タンパク質の栄養価値をも左右する、必須アミノ酸についてお伝えします。
タンパク質に含まれる9種の必須アミノ酸
カラダを構成しているタンパク質は、20種のアミノ酸からできています。そのうち9種が必須アミノ酸と呼ばれ、体内で合成できない、あるいは充分に作りだすことができないものです。
必須アミノ酸は食べ物から摂取する
カラダを構成する20種のアミノ酸は、その中の1種でも欠けたり充分な量でなかったりすると、タンパク質を合成することができません。すなわち、体内で生成ことのできない9種の必須アミノ酸は、食品から摂取しなければならないのです。
必須アミノ酸の数値を示すアミノ酸スコア
食品中の必須アミノ酸が含まれる割合を示す数値がアミノ酸スコアです。アミノ酸スコアは、食品ごとにつけられていて、スコアが100または100に近いほど理想的、必須アミノ酸がバランスよく含まれているものほど良質なタンパク質と言うことができます。
体内におけるタンパク質の「利用率」は、一定基準に対して一番少ない割合の必須アミノ酸の値で決められています。
体内で生成することができない必須アミノ酸は、それぞれ必要量が提唱されています。バランスのとれた食事などで摂取することが重要ですが、そのためにもアミノ酸スコアが役に立ちます。
必須アミノ酸の種類と効果
異なった働きを持つ9種の必須アミノ酸に、どのような効果が期待できるのかお伝えします。
筋肉を作るBCAA
バリン、ロイシン、イソロイシンの3種類の必須アミノ酸の総称がBCAAで、主に筋肉で代謝され、筋肉のために使われます。
バリンは主に筋肉を作るほか、体内のタンパク質量を調整しています。不足すると食欲を低下させ、栄養不良を引き起こすと考えられています。
主に筋肉の材料となるタンパク質を作っているのがイソロイシンです。血液中のヘモグロビンを形成し、疲労回復やストレスの緩和作用もあります。
ロイシンの主な役割は、作られた筋肉を維持・管理すること。運動時のエネルギー源でもあり、ヒトが健全に生きていくために一番大切なアミノ酸と言えます。
疲労回復効果のあるリジン
疲労回復に効果があるのがリジンで、髪の毛の悩みを抱える人にもお勧めです。不足すると、疲労感、めまいや吐き気、貧血などの症状が現れることがあります。
アレルギーや鬱を改善するメチオニン
肝機能を高める他、アレルギーやうつ状態を改善する働きがあり、治療法として注目されているのがメチオニンです。ヘアケア効果も高く、抜け毛対策を考える上でも重要視されています。
肝臓の脂肪蓄積を抑制するスレオニン
必須アミノ酸の中で最後に発見されたのがスレオニンです。成長の促進、肝臓に脂肪が蓄積するのを抑制する作用があり、不足すると食欲不振や貧血、脂肪肝や体重の減少などを引き起こします。
精神を高揚させるフェニルアラニン
フェニルアラニンは気分の落ち込みや無気力を緩和し、うつ症状の緩和に効果があるとされています。血圧を上げたり記憶力を高めたり、また痛みを抑える効果があり、鎮痛剤として使用されることがあります。
子ども限定の必須アミノ酸ヒスチジン
子どもの体内で生成できないヒスチジンは、子ども限定の必須アミノ酸です。期間限定の必須アミノ酸はこのヒスチジンのみ。しっかり食事をしない子どもは、体内のヒスチジンが不足し成長に影響を及ぼすと言えます。
快眠をもたらすトリプトファン
別名「神経アミノ酸」と呼ばれているトリプトファンは、ストレスを抑える働きがあります。「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンの分泌を促し、精神の安定を保ち、質の良い睡眠をもたらす効果があります。
タンパク質とアミノ酸の効果を引き出す摂取方法
アミノ酸とタンパク質を使い分けてより高い効果を引き出すには、それぞれの性質を理解し、摂取するタイミングを意識することが大切です。「筋肉量の低下」「肌や髪のトラブル」「集中力や思考力の低下」などを防ぐ、効果的な摂取方法をお伝えします。
タンパク質の補足効果を生かす
アミノ酸スコアが低い食材でも、複数の品目を組み合わせることで必須アミノ酸のバランスが改善され、栄養価を高めることができます。これをタンパク質の補足効果と言います。
注目すべきは、肉や魚、卵などの動物性食品と、穀類や豆類などの植物性食品の違いです。動物性と植物性では、含まれている必須アミノ酸が違うので、タンパク質を補給しているつもりでも必要なアミノ酸が摂れていなかった…という可能性が出てきます。さまざまな食材を組み合わせて摂ることで、アミノ酸スコアのバランスを整え、効率良くタンパク質を体内に補給することを心掛けましょう。
目的に合った種類のアミノ酸を摂取する
バランスの良い食事がアミノ酸摂取の基本ですが、 目的によってはサプリメントを利用することも効果的です。食品に少量しか含まれていないとき、不足しがちなアミノ酸を補いたいとき、激しい運動を続けるヒトが疲労回復をしたいときなど、サプリメントの摂取がおすすめです。
アミノ酸とタンパク質の違いを生かす
アミノ酸もタンパク質も筋肉を作るのに必要ですが、この2つは分子の大きさが違うため、吸収速度に違いがあります。タンパク質を摂取した場合、消化・分解する必要があるので、血液中にアミノ酸が出現するまでに2時間程度必要です。アミノ酸は消化・分解の過程が省かれるので、30分程度で血液中に出現し、タンパク質と比較して約1時間30分速く吸収されます。
しかし吸収が速い分、血液中のアミノ酸濃度が速く下がってしまうので、それを維持するためには、タンパク質とアミノ酸を上手に使い分ける必要があります。例えば、空腹時やトレーニング中にはアミノ酸を、食後やトレーニング後にはプロテインを摂取すると、アミノ酸濃度を高く保ち続けることができるのです。
アミノ酸とタンパク質を効果的に摂取しよう
ヒトだけでなく地球上の生物が生きていく上で、アミノ酸は無くてはならないもの。だからこそ、ひたすら量をとるだけのタンパク質補給から卒業して「質」にもこだわりたいものです。
良質なタンパク質を適切な量で摂取することは、健康なカラダを維持するためにはもちろん、ダイエットや不規則な生活になっているときに効果を発揮してくれます。普段の食事をほんの少し工夫して、サプリメントやプロテインも活用しながら、健康な体作りを目指していきましょう。