【社会福祉士】試験日までにできる合格に必要な準備と勉強方法
社会福祉士の仕事について
困っている人がいたら助けてあげたい。そんな気持ちを仕事としてできるのが社会福祉士です。私たちが暮らす社会には医療や介護、経済的格差、家庭内暴力など様々な問題があります。いずれも個人の努力だけではどうにもならないのが現状です。社会福祉士は社会福祉の専門家として行政と連携することで、そのような問題に苦しむ人たちを支える仕事をしているのです。
ここでは、社会福祉士になるためにはどうすればいいのか、また、そのための勉強方法にはどのようなものがあるのか、といった疑問にお答えします。
社会福祉士国家試験の試験概要
社会福祉士になるためには、社会福祉士の試験に合格しなければなりません。この試験は「社会福祉士法及び介護福祉士法」に定められている国家試験です。
受験申込・試験日について
社会福祉士試験は、毎年1回、1月下旬から2月上旬にかけて行われています。参考までに2015年からの試験日は次の通りです。
- 2015年 1月25日
- 2016年 1月24日
- 2017年 1月29日
- 2018年 2月 4日
2019年の試験日はまだ発表されていませんが、2月上旬が予定されています。寒い季節の受験となりますので、しっかりと体調を整えて試験にのぞみましょう。
受験の申し込み期間は試験日の前年、9月上旬から10月上旬です。受験手数料は、15,440円です。ちなみに2017年までの受験手数料は7,540円でしたが、それまで受験手数料として使っていた積立金がなくなったため、2018年から引き上げられました。
気になる合格発表は3月中旬に行われます。2018年の合格発表日は3月15日でした。
試験科目・試験日程について
社会福祉士試験の試験科目は18科目あります。そのうち、精神保健福祉士の試験科目と共通している科目が11科目あり、残りの7科目が社会福祉士試験の専門科目です。ちなみに、社会福祉士試験は精神保健福祉士試験と同時に受験できます。また、すでに精神保健福祉士の資格をもっている人は受験にあたって精神保健福祉士の試験科目と共通している科目が免除されます。
社会福祉士試験の受験科目は次の通りです。
- 人体の構造と機能及び疾病
- 心理学理論と心理的支援
- 社会理論と社会システム
- 現代社会と福祉
- 地域福祉の理論と方法
- 福祉行財政と福祉計画
- 社会保障
- 障害者に対する支援と障害者自立支援制度
- 低所得者に対する支援と生活保護制度
- 保険医療サービス
- 権利擁護と成年後見制度
- 社会調査の基礎
- 相談援助の基盤と専門職
- 相談援助の理論と方法
- 福祉サービスの組織と経営
- 高齢者に対する支援と介護保険制度
- 児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度
- 就労支援サービス、更生保護制度
精神保健福祉士の資格をもっている人は、これらの科目のうち、人体の構造と機能及び疾病から権利擁護と成年後見制度までの11科目が免除されます。
試験当日は、試験開始30分前から試験についての説明がありますので、それまでには席につくようにしましょう。出題形式は五枝択一のマークシートによるため、試験会場ではHBの鉛筆を使用します。試験はお昼休みをはさんで、午前と午後に分けて行われます。
なお、試験会場は毎年変わるため、会場によっては食堂や駐車スペースがない可能性があります。利用を考えている方は、事前に社会福祉振興・試験センターに確認をするようにしましょう。
なお、本試験の前に各種予備校で行っている模擬試験を受けることをおすすめします。模擬試験を受けることで本試験の雰囲気をつかむことができるため、解答時の時間配分なども確認することが可能です。
受験資格について
社会福祉士試験では、試験を受ける前に社会福祉に関する一定の知識を有していることが必要とされます。この知識を有していることが受験資格と呼ばれるものです。ただし、この場合の資格は試験を受けて取得するものではありません。受験をするにあたって福祉に関する一定の知識を有していることを証明するための条件と考えてください。それを満たしていない場合には試験を受けることができないのです。
受験条件を満たしていることを証明するためには、大きく分けて、次の5つの方法があります。これらの方法のいずれかを満たすことで社会福祉士試験受験の資格を持つとみなされます。
- 4年制の福祉系大学で社会福祉士になるための指定科目を履修して卒業する。
- 2年制もしくは3年制の福祉系短期大学を卒業したのち、一定期間の実務経験をつむ。そのうえで社会福祉士のための短期養成施設で6カ月以上の研修を受ける。
- 4年制の一般大学を卒業したのち、社会福祉士のための一般養成施設で1年間以上の研修を行う。
- 2年制もしくは3年制の一般短期大学を卒業したのち、一定期間の実務経験をつむ。そのうえで社会福祉士のための一般養成施設で1年間以上の研修を行う。
- 一般の介護施設等で一定期間の実務経験をつんだのち、社会福祉士のための一般養成施設で1年以上の研修を受ける。
最後の実務経験のみによる受験条件の取得にあたっては、4年間の実務経験期間が必要とされています。
試験地について
社会福祉士国家試験は全国24カ所で行われます。試験地は次の通りです。
北海道、青森県、岩手県、宮城県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、石川県、岐阜県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、島根県、岡山県、広島県、香川県、愛媛県、福岡県、熊本県、鹿児島県、沖縄県
合格発表について
社会福祉士国歌試験の合格基準は、問題の60%以上を正解し、かつ18の試験科目すべてで正解があることとされています。たとえば、試験科目のうち、ひとつでも0点があれば、たとえ、他の科目すべてが満点であっても、不合格になります。
試験問題の数は全部で150問。1問1点で、150点が満点となります。合格するためにはその60%以上の得点が必要ですから、トータルで90点以上の正解、かつ、18科目すべてで得点しなければなりません。
合格発表がされるのは3月中旬です。結果の通知は受験者に郵送でなされ、また、合格者については公益社団法人社会福祉振興・試験センターのインターネットサイトに受験番号が掲示されます。
社会福祉士国家試験の難易度
社会福祉士国歌試験の難易度はどの程度なのでしょうか。試みに、介護福祉士試験、精神保健福祉士試験との難易度を比較したところ、次のことがわかりました。
介護福祉士試験 試験科目数:11科目 問題数:125問 合格率:60%~70%
精神保健福祉士試験 試験科目数:16科目 問題数:163問 合格率:約60%
社会福祉士試験 試験科目数:18科目 問題数:150問 合格率:25%~30%
いずれの試験も問題数の60%以上の正解と試験科目すべてでの得点が必要とされています。
このデータからみると、問題数では精神保健福祉士試験が一番多いのですが、科目数では社会福祉士試験が最も多く、合格率にいたっては社会福祉士試験が他の試験の2倍以上低くなっていることがわかります。
試験を受ける人の背景は様々ですから、ここにあげた数字のみをもって難易度を決めることはできないでしょう。しかし、特定の分野ではなく、社会福祉全般を仕事の対象とする社会福祉士の試験は、試験範囲が広い分、他の試験よりも勉強に時間がかかるため、難易度は高くなるかもしれません。
社会福祉士国家試験の合格率
厚生労働省の発表による2018年2月4日に行われた社会福祉士国家試験の合格率は30.2%。内訳は男性が35%、女性が65%となっています。年齢別の合格者数をみると、一番多いのが30歳以下の受験者で47.6%。全体の半数を占めています。以下、31歳から40歳が19%、41歳から50歳が19.7%、51歳から60歳が10.7%、61歳以上が3%です。
社会福祉士国家試験に向けての勉強方法
社会福祉士国家試験に向けての効果的な勉強方法についてご紹介します。
短期間で合格した人の勉強方法を聞く
短期間の勉強で社会福祉士国家試験に合格した人によると、これと決めた問題集を何度も繰り返すことが効果的とのことです。詳しい解説が掲載されている問題集であれば、科目内容の把握も可能だからです。時間がなければ問題集の解説を知識として頭にいれたほうが、中途半端にテキストを読んだり問題集を解いたりするよりも効率的ということでしょうか。
余裕があれば4カ月前から300時間勉強する
社会福祉士国家試験の勉強方法としてオーソドックスなのは、4カ月前から300時間かけて勉強するというもの。テキストをしっかりと詠み込んだ上で問題集(特に過去問)を何度も繰り返し解いていくスタイルです。社会福祉士国家試験の概要が発表されるのが毎年7月下旬ですから、受験申し込みを決めた時点で早めに勉強にとりかかる、というのがベストでしょう。
社会福祉士の資格を活かす仕事
社会福祉士の仕事は福祉に関わるものであれば、すべて対象です。具体的には、病院や介護施設・児童養護施設などでソーシャルワーカーや相談員などとして働くことになります。
代表的なものは高齢者介護ですが、その他にも、家庭内暴力、児童虐待、生活困窮者支援、引きこもり者へのサポートなど仕事は多岐にわたります。
これらの仕事は社会の高齢化、人間関係の希薄化が進む現代社会において増えることはあってもなくなることはありません。これらの問題を抱える人たちに支援の手を差し伸べていくことができる社会福祉士の役割もまた広がっていきます。将来にわたって活躍が期待される資格でしょう。