臨床心理士の給料や年収は。生涯やりがいのある仕事を目指そう
臨床心理士の年収を把握しよう
臨床心理士の仕事が気になるけど、仕事内容や給料、年収はいくらぐらいなのかわからない。生涯年収や最高年収についてしっかり把握しておくことが大切です。
臨床心理士の給料について
臨床心理士の年収はどのくらいなのでしょうか。「心の問題にアプローチする専門家」といわれる臨床心理士の年収を把握していきましょう。
平均年収
年代別の平均年収
●20~24歳:約236万円
●25~29歳:約307万5,000円
●30~34歳:約354万2,000円
●35~39歳:約388万2,000円
●40~44歳:約418万4,000円
●45~49歳:約442万3,000円
●50~54歳:約460万8,000円
●55~59歳:約454万1,000円
●60~64歳:約340万4,000円
臨床心理士の平均年収は約378万円と推測されます。
年収の範囲
年収の範囲は約200万円~1千万円と幅が広いです。これは、常勤や非常勤など勤務形態の違い、働く場所によって違いが出てきます。
最大年収
一般的な臨床心理士の平均年収は約300万円~500万円ほどですが、最高では1千万円といわれています。ただ集客率の高い開業医であったり、本を執筆して多くの印税が入ってくるなどごく一部のようです。
平均月収給料
雇用形態にもよりその月収も変わります。臨床心理士は正社員などの「常勤」とパートやアルバイトなど、時給で働く「非常勤」があります。
常勤の場合の平均月収
常勤の場合の臨床心理士の平均月収は、おおよそ28万円といわれています。
ただし臨床心理士は学校や病院、児童相談所や企業など活躍する場所はさまざまです。そのため働く場所によって大きく変わるといえます。公共施設などで、公務員として勤務する場合は公務員の俸給表に沿って給料が支払われます。
非常勤の月収
非常勤の給料は時給制で、1,000円~10,000円と幅が広い為、働く場所や経験と実績によります。なかでも学校に勤務する「スクールカウンセラー」は比較的時給が高く、平均して5,000円です。
ただし、非常勤勤務は安定性が低いため、複数の職場を掛け持ちする場合が多く、経験を積みながら常勤勤務へとステップアップを目指していくようです。
生涯年収
20歳から65歳まで働くことを仮定した場合の、臨床心理士の生涯年収は1億7千万円と想定されます。数字をみるととても多く感じますが、日本の平均生涯年収は1億9千万円といわれている為、平均と比較すると約2千万円少ない想定結果が出ています。
臨床心理士はほかの仕事とくらべて高い?それとも低い?
年代別の平均年収の通り、臨床心理士の平均年収は約378万円といわれています。また、日本の平均年収は約422万円といわれていて、比較すると臨床心理士はほかの職業よりも下回る結果になります。
ただ臨床心理士はさまざまな場所で活躍している為、働く場所によって差が出ます。民間の医療機関に勤めるより、「国家公務員」「地方公務員」の心理職のほうが約100万円~200万円ほど年収が高くなます。
臨床心理士で年収1千万円は可能?
収入の差にかなりの幅がある臨床心理士ですが、年収1千万を目指すにはどうすればいいのでしょうか。まずいえることは、臨床心理士として雇われで働くならば、年収1千万円を稼ぐのはとても難しい道です。
高収入を目指すなら、独立開業をする道があります。フリーランスで活動するか、オフィスを構えて多くの顧客を持てば年収1千万円も夢ではないかもしれません。
ほかには、有名大学の教授になり、講習会やセミナーなどの出演料の収入を得る方法もあります。また、本を執筆して売れればその分の印税が入ります。
臨床心理士の仕事概要
心の問題を抱えた依頼者(クライアント)に対し、さまざまな臨床心理的技法を用いて問題解決のサポートをしていくことが臨床心理士の仕事です。
依頼者が抱えた心の問題を解決するには、まず相手の話をよく聞くこと。さらに「理解と共感」が大切です。自分の考えを押しつけず、相手を「尊重」することが重要になるため、指示をしたり、相手が話したことを否定したりしてはいけません。
依頼者がなにに悩み、なにがしたいのか、なにが問題なのかをカウンセリングを通じて理解することが大切です。依頼者が頭のなかの考えを整理し、自分で問題解決していけるように手助けをしていきます。
信頼関係と根気が必要
人の心の問題と向き合うためには、なによりもお互いの「信頼関係」が大切です。理解と共感を示し、依頼者に安心感を持ってもらえるように努めます。
人によって抱える問題も違うため、ときにはゆっくりと時間をかけて依頼者の心の問題と向き合う「根気強さ」が必要といえます。
臨床心理士は医療領域、福祉領域、教育領域、産業領域と活躍の場は幅広くあります。病院の心療内科や精神科をはじめ、老人福祉施設・障害者福祉施設・刑務所・児童相談所などがあげられます。また、学校でカウンセリングをおこなう「スクールカウンセラー」の仕事も人気です。
臨床心理士になるための勉強や資格
臨床心理士になるためには、一般に大学を卒業後「財団法人 日本臨床心理士資格認定協会」の「指定大学院」や「専門職大学院」に入学しなければなりません。
大学から大学院へ進む
臨床心理士になるには大学から「専門職大学院」や「指定大学院」に進み資格試験合格を目指すことが一般的なようです。
大学の学科や学部はとくに問われませんが、大学院入学試験には幅広い心理学の知識を持つ人が想定されている為、専門的な知識が全くないまま合格することは難しいです。
指定大学院へ進むのが一般的
臨床心理士を目指す場合、多くが「指定大学院」に進みます。指定大学院には「1種」と「2種」の学校があり、1種の場合は大学から内部進学で大学院に進む人も多くいます。
また1種指定校の場合、修了後すぐに臨床心理士の資格試験を受験することができます。しかし2種指定校では修了後「1年」の実務経験を経ることで資格試験の受験が可能となります。
指定大学院では講義だけでなく、実習や演習が多く盛り込まれているため現場で生かせる臨床経験を積めるといえます。指定大学院は倍率が非常に高いため、難関となることが多いです。
臨床心理士の資格
臨床心理士になるには日本臨床心理士資格認定協会の資格試験に合格しなければなりません。受験に必要な条件は次の通りです。
●認定協会の指定大学院を修了(大学によっては修了後1年以上の実務が必要)
●臨床心理養成に関する専門職大学院を修了
●海外で指定大学院と同等以上の教育歴があり、修了後日本国内で2年以上の心理臨床経験
●医師免許取得後、2年以上の心理臨床経験
上記いずれかの受験資格を持つ人が1次試験(筆記)に受験でき、合格者が2次試験の面接に臨めます。
この2つに合格すれば臨床心理士として認定されます。
女性は働きやすい仕事なの?
臨床心理士などの心理系資格を持つ人でみると、女性の割合は7割~8割と高く、男女比でみると女性に人気の職業です。
臨床心理士は男性女性に関わらず活躍できる仕事ですが、一般的に女性のほうが人の心の動きを敏感に感じることが知られています。女性が多い理由として、「うれしい」や「悲しい」といった心の動きに敏感な女性のほうが、臨床心理士の仕事に関心が高いためといえそうです。
女性が働きやすい職業
非常勤の仕事が多い臨床心理士ですが、女性が多く活躍する職業は、女性が働きやすい仕事といえます。「結婚・出産」と「仕事」の両立は女性にとって避けては通れない問題です。
非常勤の仕事が多いということは、家事や育児の合間のあいた時間で働くことができるわけです。女性の特性を強味にして、活躍することができる仕事といえそうです。
男性と女性で年収に違いはあるのか
臨床心理士は男女比だけをみると、男性3に対し女性が7と女性が多く活躍する職場ですが、女性だから給料がいい、男性だから多く稼げる、といった事実はあまりないようです。
自分に合った活躍の場を選ぼう
臨床心理士の仕事は、多岐にわたり活躍の場も働き手の持っている個性や適正によって選ぶことができるでしょう。臨床心理士になるにあたって、そのハードルは決して低いとはいえませんが「心のスペシャリスト」として高い志を持ったとき、とてもやりがいのある仕事だといえるのです。