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会社都合で退職した際に受け取れる失業保険、自己都合の場合との違い

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会社都合の失業保険について知ろう

長い社会人としての人生のうち、転職の機会がやってくることがあります。自己都合で天職につくこともあるでしょうし、はたまた会社の経営不振からリストラに合ってしまうことも。

そんな急な転機に頼りになるのが失業保険です。次の仕事を見つけるまでのありがたい収入となるのはもちろんですが、自己都合と会社都合では受取開始や期間に大きな違いがあります。

中には、本来なら会社都合が認められるのに、自己都合で退職して、失業保険受給上、損をしてしまっているケースも見受けられます。会社都合で離職するとはどんな場合をいうのでしょうか。

会社都合の定義について

退職の主な原因が会社側にある

「会社都合」とはどのような条件をいうのでしょうか。基本的には倒産やリストラによる解雇、「自分では辞めるつもりがない」のに、企業の存続に係る理由などから会社を辞めなくてはならない状況になることを言います。

ただし、「明らかに会社に非」がある場合は、自己都合の扱いで離職させられてしまった場合でも、会社都合と認められることもあります。判断の大きなポイントは「離職しなければならない原因が会社にある」ということです。

懲戒解雇は含まない

会社から辞めさせられたとは言っても、個人がなんらかのトラブルを引き起こして、会社から処分の対象になるような懲戒解雇(違反や違法行為、問題を起こした労働者が責任を取るために解雇されること)は会社都合には含まれません。

退職勧奨は会社都合にならない場合もある

また、企業側から退職を推奨されて自ら退職する退職推奨の場合は、会社都合には当てはまらない場合があります。退職勧奨とは会社が労働者に対し退職をすすめてくるものです。最終的に退職を決めるのは労働者側にあるため、会社からの(強制)解雇とは異なってくるからです。

退職勧奨に承諾し、自ら退職を希望した(退職の意思を示した)場合は会社都合扱いにならないことがあるため注意が必要です。

会社都合の失業保険について

手続きはハローワークで行う

ハローワークでの手続きに必要なもの

自己都合であっても、会社都合であっても、失業保険の手続きはハローワークで行います。必要書類を揃えてハローワークに行きましょう。
失業保険を受け取るために必要なものは

・雇用保険被保険者離職票(1)と(2):勤務先から受け取る書類ですが、後日、勤務先から郵送されてくることが多いです。
(1)は「資格喪失確認通知書(被保険者通知用)」と書かれたピンク枠の用紙。失業保険の給付金の振込先である金融機関の口座情報などを記入するようになっています。
(2)は左と右に記入欄が分かれている緑色の用紙で、左側には労働者、勤務先の情報、給料の支払い明細、右側には退職理由などが記入されるようになっています。これで退職理由が判断されますから、誤りのないようチェックしましょう。
・印鑑:各必要書類に捺印する印鑑ですが、訂正するときにも使用しますので、必ず持っていくようにします。
・写真:カラーでも白黒でも構いません。縦3cm×横2.5cm程度の正面上半身のタイプが2枚必要で、3カ月以内に撮影されたものが有効となっています。
・マイナンバー確認証明書:2016年から雇用保険被保険者資格取得届を提出する際にマイナンバーの個人番号記載が必要になりました。マイナンバーを確認できる書類、「マイナンバーカード、通知カード、個人番号の記載のある住民票」のいずれかが必要になります。
・本人確認証明書:本人確認証明書とは本人、住所、年齢が確認できる写真付きの官公署発行の書類をいいます。運転免許証やパスポートなどが該当します。マイナンバー確認証明書にてマイナンバーカードを提出した場合は不要ですが、通知カードか個人番号の記載のある住民票を提出した場合に必要になります。
・雇用保険被保険者証:雇用保険の被保険者であったことを証明する書類。会社から渡されます。就職した時点で本人が受け取る場合もありますが、会社が保管している場合には退職時に返却されのが一般的です。
・求職申込書:失業保険を受給するには、個人が再就職する意思があることを示す必要があります。希望職種、経歴などを記入して、その後、ハローワークで就職相談や紹介をしてもらう際の参考になります。ハローワークで手続きすると入手できます。
・普通預金通帳:失業保険を受け取るための口座を登録します。本人名義でなければなりません。
・ハローワークカード:ハローワークを利用する際に必要なカードで、職業相談、仕事検索、各種手続きなどでも提示します。初めてハローワークに行くと発行されるカードです。カードには、氏名、担当窓口、職業分類、求職番号、バーコードが記載してあります。(期間をおいてまたお世話になった場合には再発行となりますので、番号がかわります。)

ハローワークできちんと説明をうけましょう

ハローワークに行くと、1~3週間後に、失業保険の受給説明会が行われます。指定された日時には必ず参加する必要があります。ただし、やむを得ない理由がある場合は認められ、日程を変更することもできます。正しい失業保険の受給を理解し、しっかりと手続きをしましょう。

この説明会は受給のための大切な機会で、雇用保険制度について大切なことを説明してくれます。失業期間中に何らかの仕事(アルバイト等)をした場合は必ず申告しなければならないなど、特に不正受給については丁寧に説明を受けることになります。不正受給をすると3倍もの返金を求められることがあります。

基本手当の日額について

雇用保険に一定期間加入していた人は、一日あたり6,000~8,000円程度を上限に、基本手当を支給されますが、日額産出は離職する直前の6カ月間に支払われた賃金の合計を180で割った金額の80%~45%で計算されます。

基本手当の日額と給付日数について

自己都合で退職した場合は、雇用保険の加入期間で給付日数が変わりますが、1年未満の加入では支給されません。1年以上10年未満で90日、10年以上20年未満で120日、20年以上では150日と定められています。待機期間が終了した後も、3カ月の給付制限が設けられているため、ハローワークに離職票を提出してから7日+3カ月後から受給開始となり、この間は給付金を受け取ることができません。

これに対して、倒産、解雇、一定の要件を満たす雇止めなどで離職した場合(特定受給資格者といいます)、年齢と加入期間により給付日数が異なってきます。

雇用保険の加入期間が1年未満の場合、年齢にかかわりなく90日支給されます(障害者などの就職困難者の場合は150日)。
加入期間1年以上5年未満では45歳未満まで90日、45歳以上60歳未満で180日、60歳以上65歳未満では150日。
5年以上10年未満の場合、30歳未満で120日、30歳以上45歳未満で180日、45歳以上60歳未満で240日、60歳以上65歳未満で180日。
10年以上20年未満の場合、30歳未満で180日、30歳以上35歳未満で210日、35歳以上45歳未満で240日、45歳以上60歳未満で270日、60歳以上65歳未満で210日。
20年以上加入の場合は30歳以上35歳未満で240日、35歳以上45歳未満で270日、45歳以上60歳未満で330日、60歳以上65歳未満で240日となっています。
障害者などの就職困難者は1年以上加入していれば、期間の区別なく、年齢により支給日数が決まっています。45歳未満では300日、45歳以上65歳未満では360日となっています。

待期は7日間

受給資格決定から7日間の失業状態(待機期間)があり、待期満了後、支給が開始されます。それから4週間ごとに失業の認定を受けるため、決められた日時にハローワークに出向くこととなります。

基本手当の支給期間について

雇用保険の受給期間は、原則として離職日の翌日から1年間(所定給付日数330日の方は1年+30日、360日の方は1年+60日)となっていますが、その間に病気やけが、妊娠・出産・育児等の理由のため、引き続き30日以上働くことができなくなったときは、その日数だけ、受給期間を延長することができます。

会社都合のメリットについて

給付日数が長い

自己都合では自ら失業状況が予測できるのに対し、会社都合で離職した場合は、「労働者の意思に反し、突然の離職をせざるを得ない」という事情が生じている観点から、自己都合退職より長く失業手当が受け取れます。その差はおよそ1.5~2.2倍にもなります。

7日間の待期満了後すぐ受け取れる

自己都合の場合、自分の意思で計画的に辞めたと考えられるため、「急にお金に窮することはない」とみなされるので、3カ月の給付制限が設定されます。

しかし、会社都合の場合には、この給付制限がありませんので、受給資格決定の1週間後には給付を受けることができます。突然の解雇に合っても、経済的に途方に暮れることがないよう、会社都合の人に優先的に支給されるよう配慮されているのです。

被保険者期間が1年未満でも受給できる

自己都合の場合には被保険者期間が1年以上ないと失業保険は受給できませんが、会社都合の場合は6カ月以上で給付対象となり、1年未満でも年齢に関係なく90日間の受給を受けることができます。ですから、正規社員(職員)でない契約社員、派遣社員の場合でも、半年以上、企業に在籍していれば、先方の都合で離職せざるを得なくなった場合でも、雇用保険に加入していれば、支給が受けられます。

解雇予告手当を受け取れる場合がある

労働基準法では、使用者(会社)が労働者を解雇しようとする場合においては、会社は労働者に対して30日以上前に解雇の予告を行う義務があり、怠った場合は30日分以上の平均賃金を支払わなくてはいけないことが取り決められています。

会社都合のデメリットについて

会社都合の場合は自己都合で離職する場合より失業保険面で優遇されることがあるものの、次の転職の際に、面接官の印象がやや悪くなる傾向があります。

再就職の面接で前職の退職理由に触れずに通ることはほぼありません。倒産などの不可避な理由はともかく、会社都合による離職には本人の実力不足や成績不足なども理由に含まれます。企業は優秀な人材ほど離したくありませんから、前職場から個人の能力への評価が反映していると考えることがあるからです。

再就職にあたっては、前職退職の理由に関して明らかに自分の非にならないようより慎重に、書類選考や面接時の対策をしっかりしておくことが重要です。

退職理由を変更するケースについて

基本的な会社都合の理由

「会社都合」として基本的に認識されるのは、会社の倒産、事業所の廃止、事業所の単位で1カ月に30人以上の離職予定、もしくは会社の3分の1以上を超える人の退職(大量離職)があることが判明したなどの理由です。労働者が会社の経営不振で本人の意思に反し、仕方なく解雇される状況が該当します。

「倒産しそうだ」「経営に不安がある」など本人の判断であったり、労働者本人に起因する業務上トラブルの理由による解雇は会社都合にはあたりませんし、会社側の退職推奨に応じた離職の場合は、会社都合と認められないことがあります。

正当な理由があれば変更できる場合もある

理不尽な理由

「基本的な会社都合の理由」に加えて、会社都合に値する正当な理由がある場合は自己都合で退職した場合であっても、ハローワークが会社都合を認める場合があります。例えば、事業所の移転により通勤が困難になった、労働条件が契約内容と異なる、賃金の滞納・遅延、セクハラやパワハラ、いじめを受けた、会社都合で休職を命じられ3カ月以上続いたなど、就業上のデメリットが発生した場合や不当な扱いを受けた場合です。

ただし、証拠となる書類を求められることもありますので、できるだけきちんと証明できるように用意したいものです。例えば、採用時の条件と異なる環境についての会話音声や残業時間に係る退勤管理シートなど、提出できるものがあれば、あらかじめ準備しておくとよいでしょう。

会社都合なのに会社から退職願を求められたら

会社都合の場合、個人が退職届を出す必要はありません。退職推奨の場合に、企業によっては届を求められることがありますが、自分自身が希望した場合でない限り出す必要はありません。退職届が「自ら辞意を表明した」証になり、自己都合退職として処理されてしまうケースもあるからです。

近年では、「ブラック企業」なるような言葉をよく目にします。良識のある企業であれば問題ありませんが、不当な労働条件で社員を使う、正当な理由なく理由で解雇する、中には「辞められるならまだいい」と評されるような企業まであります。自己都合で退職したくない場合は、どうしても提出を求められたケースでは、「会社都合であること」を明確にする必要があります。

会社とうまく折り合いがつけられないときは

企業がなかなか会社都合を認めないケースがあります。理由は、会社都合で辞めた人がいると、公的な助成金の対象でなくなったり、企業としてのブランド力が低下する恐れがあるためです。

自己都合退職してしまった場合でも、後から「会社都合に値する正当な理由があった」ことが、ハローワークで認められれば、給付制限が解除されます。
退職届だけでなく、解雇予告手当が支給されないなど、会社とトラブルになってしまったら、全国の都道府県労働局や労働基準監督署等に設置されている「総合労働相談コーナー」に相談しましょう。

再就職が決まった場合の手当について

再就職手当が受給できる

「貰えるものはしっかり貰ってから…」と考えがちですが、早く就職できれば貰える手当もあるのです。再就職手当とは、失業中の方により早く再就職してもらえるよう、失業手当の所定給付日数を残した状態で(もらいきらずに)再就職した場合でも、一定の条件を満たしていれば、残りの失業手当の一部を再就職手当として支給してもらえるというものです。

再就職に際し、基本手当の所定給付日数の3分の1以上の支給日数を残しているなど、すべての条件を満たしている必要があります。いわば、再就職手当は早期に再就職先が決まった場合にもらえる「お祝い金」なのです。

再就職手当の支給要件

再就職手当を受給するには以下の9つの条件をすべて満たしていることが必要です。
1)基本手当の所定給付日数が3分の1以上残っていること。
2)再就職先に1年以上勤務することが確実であること。
3)待機日を満了した後の就職であること。
4)再就職先が離職した前の会社(関連会社も含む)と密接な関わりがないこと。
5)退職前の雇用主に雇用されていないこと。
6)原則として、雇用保険の被保険者になっていること。
7)過去3年以内に再就職手当や常用就職支度手当の支給を受けたことがないこと。
8)受給資格決定(求職申込み)前から採用が内定していた会社に雇用されたものでないこと。
9)(自己都合などで退職し、待機期間がある人が対象になります)待期期間終了後1ヵ月間は、ハローワークか厚生労働省が許可した職業紹介事業者からの紹介で決定した再就職であること。

早期に再就職すると給付率が増える

再就職手当で受給できる金額は、就職日が平成29年1月1日以降であれば、所定給付日数が3分の1以上残っている場合には支給残日数の60%ですが、3分の2以上の日数が残っている場合には支給残日数の70%×基本手当日額で計算されます。(注)平成29年1月1日前に就業した場合は、所定給付日数が3分の1以上で50%、3分の2以上で60%となっています。

さらに、所定給付日数が多くなればなるほど10%の差も大きくなりますので、早期に再就職できれば、もっと給付率がアップするのです。
ただし、上限も設定されています。毎年8月1日以降に変更されることがあるので、最新の情報を確認するようにしてください。

正しく理解し手続きを薦めましょう

大企業ですら長時間残業による過重労働で自殺するケースもある時代。無理に劣悪な環境で働くことが生命の脅威になることもあります。そのために労働基準法があるので、就労に関するトラブルは専門機関に相談しましょう。

失業保険は経済的な不安を軽減してくれる制度です。転職せざるを得ない状況に至ってしまった場合、退職の理由はともあれ、ひとつの転機として現状を前向きに受け入れ、ハローワークの説明会をしっかり受講し、正しい手続きをして、次の就職に至るまでの資金として上手に活用したいものです。

LITORA編集部

自分らしい生き方を見つけたい。大好きなものに囲まれる生活をしたい。暮らしや仕事、オシャレも美容も恋愛も“自分らしく心地よく”を軸に自分のライフスタイルに合わ...

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