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介護福祉士は介護のスペシャリスト。やりがいのある仕事で活躍しよう

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介護福祉士になって介護のリーダーになる

介護福祉士は、介護のリーダーとしての役割を期待される専門職です。介護福祉士の資格を取得する方法と、活躍できる職場、そして社会福祉士の将来像についてみていきます。

介護福祉士とはどんな資格なのか

介護福祉士とはどのような資格で、有資格者は介護の現場で、どのような役割を担っているのでしょうか。

国から認められた国家資格

介護福祉士は、社会福祉および介護福祉法で定められた、介護や生活援助にかかわる国家資格です。名称独占の国家資格なので、資格を取得せずに介護福祉士は名乗れません。

福祉系の国家資格では、ほかに社会福祉士、精神保健福祉士がありますが、介護福祉士は、専門大学や専門学校を卒業する必要はなく、独学でも条件を満たせば受験資格が得られます。

介護現場のリーダーとしての必須資格

2017年3月、厚生労働省は介護福祉士をチームリーダーとするとともに、介護福祉士の養成課程カリキュラムを見直していく方針を固めました。今後、介護福祉士は、介護現場でリーダーとしての役割を期待されるとともに、その役割に合う実力がつくように、研修プログラムが見直されます。

厚生労働省が示した「チームリーダーが担うべき役割と求められる能力、育成内容」とは以下のとおりです。

・高度な技術を有する介護の実践者としての役割
・介護技術の指導者としての役割
・介護職チーム内のサービスをマネジメントする役割

今後、介護福祉士は、現場で要介護の人々を介護するだけではなく、介護のリーダーとして、医師、看護師、リハビリテーション専門職と連携しながら、ケアサービスを提供する役割を担います。

介護福祉士の主な仕事は要介助者のサポート

介護には、主に施設介護と在宅介護がありますが、介護福祉士は、それぞれの場所でどのような介護を行うのでしょうか。

着替えや食事補助などの身体介助

着替えや食事補助などの身体介助は、介護福祉士の中心的な仕事です。具体的には、着替え、食事、入浴、排泄の補助などがあります。特に、手足が不自由な方の場合は、生活全般における補助を行います。着替えや食事補助は、施設で行われることが多い介護です。

介護補助時には、要介護者の尊厳を保ちつつ、介護を行います。画一的な介護をするのではなく、それぞれの家庭環境や要介護の状況も考えて、個別のケアを考えることも仕事です。要介護者を観察し、適切なケアを考えるという、高度な技術と経験が必要となる仕事を行います。

調理や洗濯などの生活援助

施設ではなく、在宅介護の場合には、調理や食事の準備や部屋の掃除、洗濯、買い物の補助も、介護福祉士の仕事です。在宅介護は介護時間が限られてきますが、要介護者とのコミュニケーションの中から、必要なことを察して適切に対応する能力が必要です。

施設でも在宅でも、要介護者の自立の可能性を考えながら、ケア計画を立ててサポートを行います。

介護の相談やアドバイスをする

本人や家族に、介護に関するアドバイスをすることも、介護福祉士の仕事です。介護内容や介護の方向性、どのような介護用具が必要なのか、そして、自宅での介護方法などのアドバイスも行います。

特に、はじめて介護を経験するご家族の場合、本人だけでなく家族も戸惑っています。介護福祉士は、そのような家族にとって支えになるような存在です。

介護福祉士になるには受験資格取得が必須

介護福祉士は国家資格です。国家試験を受験するにあたり、必要な条件とは何でしょうか。必要な条件とその取得方法をみていきます。

3年以上の実務経験を積む

介護福祉士の国家試験を受けるためには、福祉系大学などの介護福祉士養成施設を卒業、もしくは福祉系高校を卒業する以外では、3年以上介護などの業務に従事する実務経験と、実務者研修が必要です。

実務経験とは、特別養護老人ホームや障害者施設などの社会福祉施設、病院、訪問看護施設で、介護や看護補助の業務に従事した経験を差します。業務期間が3年(1095日)以上で、介護業務に従事した日数が540日以上あることが必要です。

従業期間と従事日数は、試験実施年度の3月31日までに従事する見込みの日数も含みます。介護施設で働いていても、介護以外の業務に従事した期間は含みません。

実務者研修を修了する

平成27年度までは、実務経験だけで受験資格が得られましたが、平成28年度試験より、スクールや養成施設などの実務者研修修了が必須になりました。ただし、規定の実務者研修を修了すれば、実技試験は免除となります。

実務者研修は、介護福祉士試験を受験する要件であるだけでなく、実践現場の実務を身につけられます。特に、たんの吸引や径管栄養などの医療行為は、本来、医者や看護師の業務ですが、実務者研修を終了するとできるようになります。径管栄養とは、胃や腸などの消化器官へ、カテーテルやチューブを使って直接栄養を送ることです。

研修の日程は、各スクールや養成施設により設定されています。また、実務者研修への補助金制度があり、各県のホームページで確認できます。

介護福祉士の国家試験の時期と合格率

介護福祉士になるためには、国家試験に合格する必要があります。試験時期と合格率をみていきます。

試験は毎年1月に行われる

介護福祉士の試験は、毎年1月下旬の日曜日に開催され、結果発表は3月末です。申込期間は、8月上旬から9月上旬の1カ月間です。

参考までに、第30回(平成29年度)介護福祉士国家試験では、試験日が平成30年1月28日(日)で、発表は平成30年3月28日(水)でした。申込期間は平成29年8月9日(水)から9月8日(金)まで、受験料は15,300円です。毎年、申込期間に先立って試験概要が発表されますので、確認する必要があります。

試験にかかる時間は、第30回試験では、昼休憩をはさんで10時~15時35分の間に開催されています。試験会場が遠方の受験生は、前日に宿泊する必要も出てきます。

2017年度の合格率は72%

2017年の合格率は72%でしたので、実務経験のある受験者にとっては、それほど難易度が高い試験ではありません。介護福祉士試験の合格ラインは75点で、全問題数が125点なので、60%正解すれば合格です。ただし、全11科目群のすべての科目で、最低1問は正解する必要があります。

その年の試験問題の難易度により、合格点は補正されます。難問奇問が多くて、平均点が極度に低かった場合は、合格点が下がることがあります。中には、難しい問題やひっかけ問題も混ざりますが、基本や業務に必要なことをきちんとカバーしていれば、60%は取れるように問題は作られています。

しかし、60%の正解率を目指して学習を進めることは、「1問で泣く」という結果になりかねません。十分なゆとりで合格する80%以上の正解率を目指して、学習する気持ちが肝心です。

介護福祉士国家試験に合格するために

介護福祉士国家試験合格を目指す場合、どのような学習方法が効果的でしょうか。多くの合格者が行っている方法をみていきます。

過去問を中心に学習をする

まずはじめに、過去問から問題傾向を知る必要があります。過去に何度も出題されている問題は、重要な項目なので、重点的に学習する必要があります。

日中は介護施設などで働いている受験者が、試験準備をするためには、効率よく学習をする必要があります。自分で学習ノートから作るのでは、試験に間に合わない可能性が高いので、過去問を中心に学習することが一番効率のよい方法です。

問題集選びは重要

過去問を最新3年分掲載し、わかりやすく充実した解説が載っている問題集は必須です。解説付きの過去問集では、介護福祉士国家試験受験対策研究会が、中央法規出版から出している問題集や、国際医療福祉大学が翔泳社から出している参考書が、内容量が多くてわかりやすいと評判です。

何冊も問題集を購入するのではなく、使いやすい問題集を選んで、合格点に達するまで何度も復習したほうが結果がよいようです。問題集を何冊もそろえて少しずつ学習すると、抜けてくる部分が出てくるからです。

模試を何度か受ける

年に1回だけ受験できる試験なので、模擬試験を何度か受けて、本番では確実に合格したいものです。専門の学校で学習していれば、学校側から模擬試験の案内があるかと思いますが、独学で模擬試験を受けたい場合は、自分で申し込みをします。

中央法規では、年に2回、11月と12月に全国統一模擬試験が開催され、会場でも自宅でも受けられます。試験会場は東京、大阪、名古屋で、東京と大阪は年2回ありますが、名古屋は2回目の試験のみ開催されます。会場受験は試験の雰囲気を体験できますし、試験後に講師による解説があるので充実しています。受験料は各回10,800円ですが、まとめて申し込むと19,440円です。

自宅で中央法規の模試を受ける場合は、第1回目は6月下旬から、第2回目は9月下旬から郵送で模試が届きます。受験料は各回4,860円ですが、2回分まとめて申し込むと、8,640円です。(税込・2017年度)

東京アカデミーの全国統一模擬試験は10月に開催され、会場受験は3,000円、自宅受験は3,500円です。(税込・2017年度)ユーキャンの全国統一模擬試験も、自宅で受けられます。10月中旬までに申し込み、11月に自宅で模擬試験を受けると、12月中旬に採点結果が返送されます。受験料は7,900円(税込・2017年度)です。

どの模擬試験も、12月頃に解答が返ってくるので、残り1カ月は模試試験の結果を見て、重点的に弱点部分を復習できます。

独学が難しい場合は受験対策講座へ

独学は「やる気」を持続させることが難しく、何が頻出問題なのかもわかりにくいです。要領を得ないまま学習をすすめていくよりは、受験対策講座へ申し込んだほうが、結果的にうまくいくことが多いです。

介護の経験日数は満たしているけれど、すでに現場を離れているという方は、実務者研修を開催しているスクールで、受験対策講座を受講すると便利です。受験には、実務者研修修得が必須事項なので、合わせて修得できます。

建築の手続き

介護福祉士の現状とこれからを探る

世界でも高齢化率が高い日本で、介護福祉士を取り巻く状況は、どのようなものでしょうか。介護福祉士の今後と、介護福祉士に求められる役割をみていきます。

続く介護職の人材不足

介護職の人材不足が問題になって久しく、外国人労働者の介護職登用の道も、取り急ぎ整備されています。現状、介護職の人数は15年間で3.3倍に増えています。

厚生労働省の「介護サービス施設・事業所調査」によると、平成12年は54.9万人でしたが、平成20年は123.3万人、平成28年は183万1,000人になりました。また、要介護者数は、平成12年は218万人、平成20年は455万人、平成28年は608万人でした。

このように介護職の人数は増加していますが、同じように要介護の人数も増加しているので、介護職の人材不足は続いています。平成28年度介護分野の有効求人倍率は3.02%で、全職業の有効求人倍率1.36%と比べると、はるかに高い割合を示しています。

必要とされ続ける介護サービス

75歳以上の高齢者の割合は、特に都市部で高くなっています。なかでも、埼玉県の高齢者の増加率が一番高く、厚生労働省の調べによると、2010年では58万9,000人(8.2%)だったものが、2025年には117万7,000人(16.8%)と、2倍に増えるとされています。続く千葉県は1.92倍、神奈川県は1.87倍、大阪府は1.81倍に増える見込みです。

今までは、地方の高齢者率の高さが問題となっていましたが、急激に都市部で、高齢者率が上がることに対する対応が、追いついていません。また全国的にみても、65歳以上の高齢者割合は、2025年で30.3%、2055年で39.4%と予測されています。したがって、今後、介護サービスは都市部で急速に必要となり、全国的にも引き続き必要とされます。

高まる介護福祉士のニーズ

日本における高齢化のスピードは、世界に類をみないもので、その対応が急がれています。現状の介護福祉システムでは、急激に増える高齢者への対応が難しく、見直しが進んでいます。その流れの中で、高い専門性と現場対応力のあるリーダーの育成が急がれており、その中心的役割をなすリーダーとして、介護福祉士がクローズアップされています。

介護福祉士に求められるものは、単なる介護技術から、チームをまとめるリーダーシップ、専門職としての介護過程の計画から展開、身体的な支援だけでなく、心理的、社会的支援の展開など、より高く広範囲にわたるものに変化してきました。

介護福祉士からケアマネへステップアップ

介護福祉士から、より広範囲な業務とリーダーシップを発揮できるケアマネージャーへステップアップするためには、どうすればよいでしょうか。介護福祉士のキャリア計画について考えてみます。

要介護者と福祉や医療とを結ぶ役割

今まで、介護福祉士に求められていた役割は、要介護者の生活に関する、排泄や食事、入浴を中心とした介護業務でした。しかし、今後はケアプランの作成や、医療関係者や家族との連携、要介護者が社会的に対応できるように、その他福祉組織との協力体制を強化させるなど、ケアマネージャー的役割も求められています。

介護福祉士からケアマネージャーになるためには、介護支援専門員実務研修受講試験に合格することが必要です。ケアマネージャーの受験資格として「特定の法廷資格に基づく実務経験が5年以上かつ900日以上ある方」とあり、特定の法廷資格に介護福祉士が含まれます。

ケアマネージャーは国家資格ではありませんが、医師、看護師、リハビリ職、介護福祉士のように、国家資格保持者が、実務経験を積んだあとで受験できるという高度な専門職です。試験は各都道府県が実施し、合格後には、さらに87時間の介護支援専門員実務研修を経て、やっとケアマネージャーになれます。

高いニーズと幅広い活躍場所がある

高いスキルを持つケアマネージャーは非常に求められており、特別養護老人ホーム(要介護度の高い老人をケアする老人ホーム)、介護老人保健施設(リハビリをする場所)、介護付き有料老人ホーム(民間)、訪問介護事務所、デイサービスなどで、指導者として活躍できます。

介護福祉士の資格を取得したのち、一定の期間を介護福祉士として働いた経験があれば、ぜひとも挑戦したい資格です。

介護の仕事を長く続けるためのひとつの手段

介護の仕事は、日々の仕事に従事するだけでは、キャリアをつくる道筋が見えにくいものです。しかし、介護職から一定年数を経て、国家資格である介護福祉士を取得し、さらに経験を積んでケアマネージャーを目指すというキャリアプランを立てることにより、介護の仕事を長く続けていくための目途ができます。

介護の仕事を長く続け、いろいろなケースに遭遇することにより、経験を積み重ねられます。介護福祉士の資格を取得するだけでなく、よりよい介護を提供するためには、長く続けることが大変重要です。

介護のスペシャリストとして活躍しよう

介護職は需要がとても高く、社会から求められている仕事です。現場で人と接する仕事ですし、要介護者にとって必要なことを見極めて、適切な介護を提供しなくてはなりません。介護のリーダー的存在である介護福祉士を目指すためには、国家資格に受かり、加えて現場での長い研修が必要です。

これからますます高齢者人口は増えていき、需要は増していきます。今から介護のスペシャリストになるべく準備をし、高度な介護技術を提供できるスペシャリストとして活躍しましょう。

LITORA編集部

自分らしい生き方を見つけたい。大好きなものに囲まれる生活をしたい。暮らしや仕事、オシャレも美容も恋愛も“自分らしく心地よく”を軸に自分のライフスタイルに合わ...

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