一級建築士の年収や仕事内容とは、難関国家資格のお金の実態
一級建築士を目指したい、実際の給料を知ってみよう
?一級建築士とは、建築士法2条2項によれば、国土交通大臣の免許を受け、一級建築士を名乗ったうえで設計工事監理等の業務を行う人のことを指します。その仕事内容は、一般的な住宅からオフィスが入るようなビル、市町村などの公共建築物まで、ありとあらゆる建築物を企画し、設計し、さらに工事監理をすることが主な仕事となります。
それだけ責任感のある仕事である一級建築士は、どんな仕事で、実際どのくらいのお金を稼げる職業なのでしょうか。目指すからには、そうした細かいところも知っておきたいものですよね。そこで、この記事では一級建築士の年収について、詳しく解説していきます。
一級建築士の給料についてチェック
まずは一級建築士の給料について知っておきましょう。ここでは平均年収、平均月収給料、生涯年収はについて解説しています。
平均年収
年収ラボのランキングによると、平成27年度の一級建築士の平均年収はおよそ644万円です。しかしこれは全体の平均年収であり、男女別、年代別に見るとまた差が出てきます。
男女間でも差があるのが特徴で、男性の方が653.4万円、女性の方が514.6万円と女性の方がやや低い傾向にあります。しかし全体的に女性の方が一級建築士として資格を持って働いている人数が非常に少ない、一級建築士として女性より男性の方が長期間勤務できていることが多い、など女性側の年収が低くなる要因はいくつかあると考えられています。
年齢別の場合、20代は250万~350万円、30代は390万~460万円、40代以上となると470万~760万円となっています。年齢が上がるごとに給料もアップこそしますが、一級建築士の場合、独立という道もあります。そうなると年収の幅は更に増え、200万円から年収1500万円を超える場合もあります。
参考URL:https://nensyu-labo.com/sikaku_kentikusi.htm
平均月収給料
一級建築士の平均的な月収は平成27年の場合、42万円です。手取りにすると、30~40代ごろが最も高く36万円台になります。反対に50代ごろになると月収も下がり、年収も変化するようです。
なお、平均月収はどこに勤めているのかによって、大きく変化します。たとえば積水ハウス、大和ハウス工業、清水建設など大手企業の場合、新卒でも大学卒で20万~22万円が初任給として支払われます。一級建築士を取得するためのサポート制度も充実しているので、資格が取得できれば40万円台まで収入がアップする可能性もあります。
生涯年収
一級建築士の生涯年収は、年収ガイドによれば20~59歳までの年齢で計算すると2億4463万2900円となります。ただしこれは男性の生涯年収であり、女性に関してはまだまだデータが少ないこともあって記載されていません。男女差があることや、妊娠・出産による産休・育休などライフステージイベントを考慮すると、女性の生涯年収はこれより少なくなる可能性はあります。
また独立して年間1000万円近く稼いでいる一級建築士の場合は、より増える可能性もあります。
参考URL:https://www.nenshuu.net/shoku/cnt/shoku.php?shoku_id=%E4%B8%80%E7%B4%9A%E5%BB%BA%E7%AF%89%E5%A3%AB
一級建築士は他の仕事とくらべて高い?それとも低い?
難関資格である一級建築士は、取得するまでにかなりの時間がかかることでも知られています。まず基本的に、求められる単位を取得できる大学を卒業してから実務経験を積み、ようやく資格を取得する権利が与えられます。
もし建築関係の大学を一切出ず、実務経験のみで受験する場合にはトータル11年もの年月がかかってしまいます。試験にも、必ず合格できるとは限りません。有資格者こそ30万人を超えますが、合格率は例年10%程度ととても低いので、何度も試験を受ける可能性もあります。
ですが、それだけ苦労して取得するだけあって、他の資格に比べても高い給与を誇っており、歯科医師など医師には届かずとも、放射線技師や薬剤師、看護師よりも給与が高い傾向にあります。ですから、他の仕事と比べると、かなり高いほうといえます。
一級建築士で年収1000万円は可能?
一級建築士の年収は、勤めている会社の規模にもよりますが、年収1000万円も夢ではありません。大手ゼネコンの部長職、建築事業所の所長などは、年収1000万円以上になることも多いと言われています。ただ2018年現在、年収も下降気味と言われており、かなり上の役職にいかないと年収1000万円は厳しいようです。
また独立して個人事務所を開き、公共施設などを手掛けているような人なら、中には年収1000万円を超えることもあるようです。ただ女性の場合はまだまだ人数が少ないことや、地方だと独立しても仕事がない可能性が高いといった理由から、年収1000万円は厳しい道のりといわれています。
一級建築士の仕事概要
仕事内容を簡単にいうと、建物を設計し、建設し、必要とする人の為に用意するというものです。その規模は小さな個人宅から、巨大な商業施設まで幅広く、請け負う内容によって大きな差がでます。1つの建物を建設する中で、要所要所の重要な役目を担うため、一級建築士は資格として重要視されています。
また二級建築士との違いは、とても大まかにいうと、扱える建物の広さの違いです。一級建築士は500平方メートル以上の大型建築物を扱うことができるので、大きなビルを建てるような仕事にも関わりやすくなります。自分が死んだ後も何年も残り、人々の役に立ち続け生活を支えられる建物を作ることこそが、一級建築士の大きな魅力でもあります。
一級建築士になるための勉強や資格
一級建築士のみならず、建築士という資格では「学歴」と「実務経験」が非常に重視されます。それは建設業界が実力重視の非常に厳しい世界であることを反映しており、中でも一級建築士は取得まで長い時間が必要。そのため勉強も資格取得も、計画性を持つことが重要です。
資格取得のためには、まず試験を受ける受験資格を得る必要があります。最短コースは一級建築士になるために必要な科目が受講できる4年制大学に入学、卒業後2年間の実務経験を得ると受験資格をもらえます。また2年制短期大学なら4年、3年制の専門学校などなら3年間の実務経験が必要です。すでに、二級建築士の資格を所持している場合は、資格取得から4年以上の実務経験があれば、受験資格をもらうことができます。
試験内容は筆記試験と設計製図の試験があり、筆記試験に合格できなければ次の試験には進むことができません。筆記試験はかなりの難関で、建設に関するあらゆる知識が幅広く求められます。また設計製図の試験では事前テーマに合わせた設計を、当日与えられる条件に沿って時間内に書き上げるという難しい試験内容になっています。
女性は働きやすい仕事なの?
もともと一級建築士は女性の数が非常に少なかったのですが、ここ数年、女性だからこそできる細やかな配慮のある設計の需要が、非常に高まっています。また、インターネットを介して育児中も仕事ができるという環境が整っているので、一度産休で仕事を休んだとしても、復帰が容易であるケースが多いようです。
女性の人数が少ないからこそ、一致団結して仕事環境を改善していく動きが見られており、今後ますます活躍が期待されている仕事です。
一級建築士を取得して自分らしく生きてみよう
資格取得自体は難しいものの、収入も多く仕事への復帰も容易なのが一級建築士の特徴ともいえます。また建物という生活に欠かせないものを作るため、就職においても強い武器となってくれるので、女性にとって自分らしく生きるのにぴったりな資格ともいえます。
建築に興味がある、今持っている資格をより活かしたい、と考えている女性は挑戦を検討してみてはいかがでしょうか。