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【3】着物が生まれ変わったのと一緒に、自分も生まれ変わったように感じるというお客様の声

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「日本人の心を豊かにしたい」と事業をスタートした山村さん。起業して4年以上経ち、当初の想いが少しずつ実現していると感じることがあるとのこと。お客様から、あきざくらをきっかけに、「自分のためだけでなくモノや周りの人のためと考えるようになった」という声ももらっているそうです。また、2年前からご実家で養蚕にもチャレンジ。着物の絹は、蚕の命を頂いたもの。養蚕の情報を発信することで、「モノを大切にする心」がより育まれると山村さんは考えています。

 

家族の繋がりを深める着物アップサイクル

ーーどんなお客様が、傘の制作を依頼をされるのですか?

30代〜50代の女性が多いです。お母様やお祖母様から着物を譲り受けたものの着る機会がなく、思い出があるから捨てられないというお客様や、ご自身やお子様の七五三や成人式に着たお着物をもう着ないから何かに変えたいというお客様などから依頼を頂いてます。

ーーお客様の反応はどうですか?

完成品をお渡しすると、皆様「こんなに素敵に生まれ変わるんだ」ととても喜んで下さいます。職人と共に柄合わせにとてもこだわっているので、こう喜んでもらえるのはとても嬉しいです。更に「祖母と一緒に歩いているような不思議な気持ちがする。」などと、ご家族を思って温かい気持ちになられるお客様もいます。

ーーご家族との思い出の着物を使っているからこそですね。

そうですね。ご依頼をきっかけに、家族内で亡きお祖母様の思い出話をされたり、離れて暮らすご両親に連絡を取る機会になったりと、家族の繋がりを深めるお手伝いが出来ていると感じています。

お客様から、周りの人のためと考えるようになったという声をもらう

ーー今までで1番思い出に残っているご依頼はどんな依頼ですか?

どのお客様も思い出に残っていますが、あえてで言うと、長野県のお客様からの、お母様から受け継いだお着物で日傘を作りたいというご依頼です。完成品をお送りした時に、「最初は、私の母親の着物をもらって困っていたのですが、日傘にすれば日常に使えると思って依頼しました。しかし今は私の日傘を見て誰かが癒されたらいいなぁと思うようになりました。」というお礼のメールをもらったのです。まさに、私がやりたかったことと、とても感動しました。

ーー誰かを癒したいという素敵なお客様の声ですね。

私は、人が1番幸せを感じるのは、誰かを幸せにした時だと思っています。そして、私が考える心が豊かな人って、人を幸せにしている人なんです。あきざくら自体がお客様を幸せにすることはもちろんやっていきますが、お客様やあきざくらに関わってくれた方が、その方の周りの人を幸せにするきっかけを作っていきたいと思っています。

ーー「日本人の心を豊かにしたい」という事業立ち上げの時の想いが形になっていますね。

そうなんです。他にも「傘の魅力を引き立てる人になることが小さな目標です。」とか「傘を使うと背筋が伸びます。」など傘を大切にしているからこその言葉も頂きます。

「モノを大切にする」の意味を伝えるため養蚕にもチャレンジ

ーーあきざくらを立ち上げた前と後で、「モノを大切にする心」への意識は何か変化しましたか?

あきざくらを始めて、改めて着物の勉強をした時に、着物は絹で作られているからと、生糸や養蚕についても学びました。絹の元となる生糸は、蚕の繭を煮て製糸したものです。つまり、蚕が命をもらって作られた糸です。食事で肉や魚を頂くのと同じように、絹も蚕の命を頂いていることになるんですよ。

ーー今のお話を聞くと、改めて絹は貴重な素材であると感じます。命をいただいているからこそ、大切に扱わなければなりませんね。

そうですね。こういうことをただ発信するより、実際に生きた蚕の様子を伝える方が伝わると思い、長野の実家で家庭菜園レベルですが、両親に協力してもらって養蚕を始めました。蚕の食事である桑を育てるところから始め、繭まで育て上げてますが、養蚕農家の大変さがよくわかります。

ーー実際養蚕を始めて、どんな気づきがありましたか?

着物は、蚕の命だけでなく、養蚕農家、そして、製糸工場、絹を織る工場、染め工房、和裁士、などたくさんの人の時間を使って出来ているものだと実感しました。私自身あきざくらを通じて、モノの背景を考える想像力が上がったと思っています。モノを大切にすることは、モノ自体を愛するだけでなく、モノの背景にいる人、そのモノを所有する自分を愛することにつながります。これからも、周りの人もモノも大切にする、心が豊かな日本人を増やしていきます。

モノを大切にすることで、モノの背景にいる人、そのモノを所有する自分を愛することにつながる

お客様から、周りの人のためと考えるようになったという声をもらい、想いの実現に少し手応えを感じているという山村さん。養蚕にも挑戦したことで、モノの背景を考える想像力が上がり、「モノを大切にすることは、モノの背景にいる人、そのモノを所有する自分を愛することにつながる」と気付きました。次回は、山村さんと「あきざくら」の今後に関するお話です。

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