失業保険期間中の就職に必要な手続きとは。再就職の祝い金をもらおう
就職祝い金を受け取るには
失業保険受給期間中に再就職が決まれば、就職祝い金として再就職手当がもらえます。就職祝い金は、雇用保険受給資格者が早期に再就職ができるように、国が設けた制度です。このありがたい手当も、給付されるにはいくつかの手順と条件があります。どのように行動すればいいのか確認しましょう。
給付中に就職できた時の手続き方法
晴れて再就職も決まりほっと一安心ですが、再就職手当をもらうためには手続きが必要です。申請書の提出には期限もあるので注意してください。早めの行動を心がけましょう。
初出勤日の前日までにハローワークへ行く
再就職が決まったら、初出勤日の前日までにハローワークへ再就職の報告へ行ってください。失業保険は再就職先の勤務開始日の前日まで支給されます。
この報告の際、同時に失業認定をしてもらうことになります。下記に必要書類を示していますが、採用証明書など、どうしても前日までに間に合わない場合は、後日の提出も可能です。
必要な書類を提出する
ハローワークへ必要書類を提出しましょう。失業認定の手続きをすると、再就職手当申請書類がもらえるという流れになります。そこで今後の流れの説明を受けるので、なにか不明なことがあれば、ハローワークの職員に質問・相談してみましょう。
雇用保険受給資格者証
失業手当を受け取る資格があることを証明する書類です。失業手当の申請後、雇用保険受給説明会で交付されます。
採用証明書
雇用先に記入をしてもらい提出します。証明書は雇用保険受給資格者のしおりについています。会社によっては就業が始まってから記入をするといったところもあるようです。当日の持参が難しければ、内定通知などの入社日がわかる資料を提出しましょう。
失業認定申告書
失業を証明して再就職の意志があることを申請する書類です。通常は4週に一度、失業認定のために提出する書類。就業日前日分まで、失業手当は支給されます。
提出期限は就職日の翌日から1カ月以内
再就職手当支給申請書は「就職初日の翌日以降」に提出が可能です。提出期限は「就職日の翌日から1カ月以内」です。以前はこの期限を過ぎると申請できなかったのですが、現在は時効が延長され、就職日の翌日から2年の間に支給申請をすることが可能になりました。
しかし、あくまでも原則は「1カ月以内」が申請期限なので、よほどの事情がない限り守りましょう。できるだけ早めに事業主から申請書に署名と捺印をもらい、忘れずに必要書類を提出してください。また、就業時間の関係でハローワークへ持参できない、という人は郵送での提出も可能です。
再就職手当を受給するための条件
再就職手当を受給するためには、厚生労働省が定めている条件をすべて満たしている必要があります。下記以外にも「再就職先で1年以上の勤務が確実であること」も条件に含まれます。どんなものがあるか、また自分が対象になるのかチェックしましょう。
所定給付日数の残りが3分の1以上ある
就職日の前日までの失業認定を受けた上で、基本手当の支給残日数が「所定給付日数」の三分の一以上あることが条件です。たとえば所定給付日数が90日の人の場合、30日以上の給付日数を残しての再就職であれば、給付対象になります。給付日数は年齢や雇用保険の加入期間によって変わります。
また待期期間の就職ではないことも大事なポイントです。7日間の待期期間を満了する前に再就職してしまうと、再就職手当は支給されないので注意しましょう。ちなみに待期期間内に内定をもらっても、就職日が待期期間経過後であれば問題ありません。
待期期間の7日間は、本当に受給者が失業している状態か確認するための期間です。この待期期間は給付制限あるなしに関わらず、全員が対象です。
再就職先で働いたことがない
再就職先が過去に働いたことのある会社(関連企業含む)である場合、支給対象にはなりません。これは再就職手当の不正受給を防ぐための条件なので、会社と資本、資金、人事、取引面で密接な関わりがある会社への就職も受給対象外となります。
たとえ「関連会社に就職する」という自覚がなかったとしても、手当の受給は認められません。再就職手当を申請する場合は、再就職先が前職と全く関係のない会社であることをよく確認して、申請書を提出しましょう。
過去3年間再就職手当を受給していない
再就職の日から過去3年間に再就職手当(事業開始にかかる再就職手当も含む)を受給していないことも必須条件です。再就職手当目的に離職・再就職を繰り返すことを予防するための対策だといえるでしょう。
また、再就職手当以外にも「常用就職支度手当」の支給を3年以内に受けていた人も、支給の対象外です。常用就職支度手当とは、障がい者または就職が困難な人が安定した職業に就いた時に支給される手当のことです。
受給する前から内定が決まっていない
失業保険の手続き以前に、採用が内定していないことが条件です。雇用保険法における「失業」の定義は「労働の意思及び能力があるにも関わらず就業につくことができない状態」のこと。すでに就職が決まっているのに失業保険の申請をすることは不正受給の対象になってしまいます。
失業保険は、失業して収入がない人の、ひっ迫する生活を安定させるために必要な制度である、ということの理解を深めましょう。
厚生労働省が認可した職業紹介者からの再就職
離職理由によっても受給対象条件が変わってきます。離職理由が自己都合退職(給付制限あり)の場合、「待機期間満了後1カ月の期間内」はハローワーク、または厚生労働省が認可した職業紹介事業者(転職エージェントなど、就職を斡旋する会社)からの紹介で就職した場合が対象になります。1カ月以降は、知人の紹介や新聞広告の応募等により再就職が決まっても対象になります。また、自営を開始した場合も、待期期間満了後、1カ月経過後が対象になります。
一方、離職理由が倒産・解雇などの会社都合(給付制限なし)の場合は待期期間満了後であれば、就職の経路は問わず受給の対象となります。
就職祝い金を算出する方法
就職祝い金は早期に再就職をするほど金額が増えます。下記の計算式で簡単に算出できるので、自分がいくらくらいもらえるのか、計算して確認しましょう。平成29年1月1日より就職祝い金の給付金額が変更となりました。
基本手当日額の上限は6,070円
基本手当日額とは雇用保険で受給できる一日当たりの金額のことです。就職祝い金(再就職手当)の金額は、基本手当日額・支給残日数・給付率(60%または70%)から算出します。
「基本手当日額」には上限があります。上限額は60歳未満が6,070円で、60歳以上65歳未満は4,914円です。年齢は離職時のもので計算します。また、基本手当日額の上限額は毎年8月1日に改定されます。6,070円という金額は、平成29年8月1日~平成30年7月31日までの額になります。
計算式に当てはめる
所定給付日数の三分の一以上を残して就職した場合は支給残日数の60%、三分の二以上を残して就職した場合は支給残日数の70%を基本手当日額に乗じて得た額が支給されます。「雇用保険受給資格者証」に基本手当日額と所定給付日数が記載されているので、確認し実際に計算式に当てはめて算出してみましょう。
・計算式:残りの所定給付日数×所定給付日数に応じた給付率(60%または70%)×基本手当日額(1円未満の端数は切り捨て)
たとえば、基本手当日額4,000円、所定給付日数90日(給付制限あり)で支給残日数が90日の場合、給付率は70%になります。その場合、4,000円×90日×70%=25万2,000円、よって就職祝い金は25万2,000円となります。
就職祝い金の申請をしてから約1カ月後、ハローワークから会社への在籍確認があります。そこからの支給手続きなので、実際口座に振り込まれるのは申請後約1カ月~1カ月半後くらいになるでしょう。お金は一括で振り込まれます。
就職が決まったら忘れずに報告しよう
このように就職祝い金を受け取るには、さまざまな条件をクリアして申請をする必要があります。少し仕組みが複雑な失業保険ですが、自分から動かないと受け取ることはできません。早期再就職を促し応援してくれる制度なので、再就職が決まったらハローワークへ忘れずに報告しましょう。
申請書の提出期限にも気をつけて、早めの対応を心がけることが大切です。せっかくもらえる就職祝い金を受給しそびれることがないよう適切な行動をし、制度を上手に活用しましょう。