「賢明」の定義を理解しよう。知識と正しい活用の仕方を身につける
賢明の類義語とそのニュアンスの違いを理解する
「習うより慣れろ」というように、習得したい言語があれば、その言語が母国語である土地で生活をするのが一番の近道とはよくいわれていますよね。そのことをふまえても、日本人として日本に生まれ育ち日本語環境で育ったのであれば、母国語である日本語は自然と身につくもの。
しかし母国語がゆえ、なんとなく理解しているつもりで使っていた言葉が、実は全く違う意味だったということは往往にしてあります。これが仲間内では笑い話で話の種にもなりますが、仕事の現場だったら気恥ずかしいでしょう。まして、見当違いな的外れの意味で使用していたとしたら、イメージダウンにもつながりキャリアにも決してよい影響があるとはいえません。
さて、「賢明」という言葉を的確に説明ができる人は、どれくらいいるでしょうか。「賢明」は、ビジネスシーンでも使用される頻度の多い言葉の一つです。意味はもちろん、類義語とそのニュアンスの違いも理解し、仕事でも正しく活用して「賢明な判断ができる女性」を目指しましょう。
賢明の定義について理解する
あやふやで自信がない言葉も、一度きちんと定義を学べばそれ以降は実戦でも正しく使いこなせます。まずは「賢明」の基本的な意味を理解しましょう。
物事の判断が的確で正しいこと
私たちは生きて行く上でさまざまな判断をしています。朝起きて何を食べ、何を着て、何時に家を出て、どのルートでどの方法で目的地へ行くのか。全ての人が小さな判断の積み重ねの毎日を生きているといっても過言ではないでしょう。
辞書を引くと「賢明」とは、「物事の判断が的確で正しいこと」とあります。意識的にも無意識的にも繰り返される日々の判断が、毎回どれも的確であるかどうかはさておき、的確な判断とは何かを考えてみましょう。
「的確」とは「的をはずすことなく、肝要な点を確実に捉えていること、まちがいがないこと」です。よって、的確な判断とは「的をとらえておりまちがいがない判断」のことといえるでしょう。
例えば、梅雨のシーズンに朝家を出る際「傘を持って行くか行かないか」。その時点で雨が降っている場合は迷わず持って行きますが、天気予報で50%の降水確率にもかかわらず、青空が拡がっている場合。自分の直感では雨はこのまま降らないかもしれないけれど、季節的なものや天気予報から予測すると急に天候が変わり雨の可能性もある。
そこで、「折りたたみ傘を持ってゆく」と判断したとします。もちろん雨が降ればさせばよいし、このまま降らなくても長い傘のように持ち歩きに邪魔にならず、降ったり止んだりといった曖昧な状態にでもフレキシブルに対応できます。
ということで、どちらの結果にも対応してより後悔の少ない「的確で正しい判断」、つまり「賢明な判断」をしたといえるでしょう。
その判断が道理にかなっていること
賢明には「その判断が道理にかなっている」という意味合いも含まれます。これは調べてみると、「道筋が正しく理論的であり合理的である、人の行いや物事、それが矛盾していないこと」となります。
傘の例でいえば、あらゆる可能性を考慮し対応できるような判断をした結果の、折りたたみ傘を持ってゆくという行動になります。ですからやはり道理にかなっており「賢明な判断」といえるでしょう。
このように「賢明」の一般的な意味をざっくりまとめると「物事のやり方や判断が賢くて適切で道理にかなっていること(さま)」であるといえます。
定義の中には更に深い意味がある
広義の意味を理解したところで、さらに深い意味合いもみてみましょう。「賢明」の使い方のバリエーションも広がります。
賢いだけではなく思慮深さを伴う
賢明という字の表すとおり、「賢い」という意味合いがあるのですが、それだけではありません。「賢い」プラスさらに機転をきかせることで、他人に対する配慮が上手にできること、思慮深いこと、というニュアンスも含まれます。これは、単純にその人の能力だけでなく内面的なもの、人間性にも言及されていますよね。
一を聞いて十を知る
このことわざは有名ですが、その意味を解説すると「物事の一端を聞いただけで全体像を理解できる、全てに対する理解力がある、想像力もあり非常に賢いこと」などとなります。つまり、的はしっかりと押さえてさらに応用も効くのです。
賢明の類義語として使われる言葉
次は「賢明」と一緒に、その類義語も合わせてみてゆきましょう。それぞれの違いを正確に理解することで細かいニュアンスも自由に表現できるようになります。ここでは「聡明」、「知的」、「明哲」にスポットを当てます。
賢明の類義語としてよく使われる聡明
物事の理解が早く賢いこと
「賢明」と「聡明」の比較をしてみましょう。
「聡明」の意味は、「物事の理解が早く賢い人、こと」、「頭が冴えていて分析力や理解力がありするべきことを理解している人、こと」です。意味はよく似ていますが、「賢明」には、理解する能力を使ってさらに「的確に判断する」といったその先の行動までが備わっているといった点で、「聡明」とは違います。
耳で聞き目で見るの意味で先を見通す力のこと
違いをふまえ「聡明」をさらに詳しくみてゆきましょう。
「聡」という漢字には「耳」辺が使われており「耳がよく聞こえる、聞いてよくわかる」つまり「かしこい」といったニュアンスが含まれます。読み方は、音読みでは「そう」と読ませ、鋭敏な響きがあります。訓読みでは「さと」ですがそのルーツは「悟る(さとる)」に起源します。
「明」には「明るいこと、はっきりさせること、かしこいこと、次のこと」といったさまざまな意味があります。「先見の明」という言葉もあるように、明るく先々を見通す力が備わっている感じが「聡明」という言葉にはありますよね。
知識と知性が豊かなことを表す知的
知識はスキルやそれに対する考え方
「賢明」と比較されやすいものに「知的」という言葉もあります。
「知的」とは、知識と知性が豊かなさまで、それを表現する要素の一つ「知識」とは、ある事柄に対して「知ること、認識・理解すること、知っている内容」など、学んできたことや経験値を意味します。「賢明」と比べるとよりアカデミックな雰囲気があります。
知性は知識に対して考えたり判断できる能力
同様に「知的」という要素に含まれる「知性」とは、「知識」を得ることでそれに対して考えたり判断したりできる能力のことです。
また、比較、抽象、概念化、判断、推理などさまざまな機能を駆使して「感覚的所与を「認識」とよべるまでに作り上げる精神的能力」も、知性といいます。(感覚的所作とは、目、耳、口など人間の感覚器官への第一印象のことをさす哲学用語。具体的例は、目に入る光、色、耳に入る音などのこと)
よって、「知識」や「知性」が豊かな人物を「知的」であると表現します。「あの人は知的な人だ」といえば、「あの人は知識と知性が豊かに備わっている人だ」という意味です。
聡明が物事の道理と通じていることを表す明哲
聡明に物事の道理が加わったこと
最後に『明哲』ですが、これは『聡明』に「道理」が加わったことをいいます。「道理(=理論的な道筋)に通じており理解が早く賢いこと、人」という意味の文章語で、会話などの口頭語よりは、書き言葉で使用される割合が多いといえます。
結論としては、どちらの言葉も文章中でも口語でも使用されますが、「明哲」と比較すると「賢明」はより、会話の中で自然と使われる言葉といえるのではないでしょうか。
明哲を使った四字熟語がある
「明哲保身」という「明哲」を使った四字熟語があります。訓読みで「めいてつみをたもつ」と読みます。本来は、「聡明で道理に明るい人は危険を避け身を安全に保つ」という意味です。
ところが、ときどき「保身」という言葉のイメージのために意味が誤解され「自分の身の安全だけを考えて要領よく生きる」といった解釈がされることもあります。
本来はポジティブな意味なのに、なんとなくの理解で正しく知らないがために、まったく違ったネガティブな意味で使ってしまう、というよい例でしょう。気を付けたいものです。
賢明と少し意味の異なる類義語
類義語をいくつかみてきたところで、次は「賢明」と似ているけれど、少し意味の異なる類義語をみてゆきましょう。
頭の回転が早く抜け目がないことを表す利口
「利口」という意味には「頭の回転が早く賢い」という意味に、少々「ずる賢さ=抜け目がない、要領がよい」が加わります。「頭の回転が早く抜け目がなく、機敏に要領よくたちまわる人、さま」といったニュアンスでしょうか。
同じ意味の賢さを表すが中身が異なる
「賢明」の賢さには堅実さがあり信頼できる印象があります。一方で「利口」の賢さには、要領のよさや抜け目がないといった印象が強いため、堅実さや誠実さに欠け信頼できる感じが薄まります。
よって「賢明」と「利口」は同じ「賢さ」を意味しても、その中身は全く異なる内容の「賢さ」を表現しているといえます。
余談ですがこの「利口」は、子供を諭す時にも「お利口さんにしていなさいね」などのように用いられるのをよく耳にしますが、その際の意味は上記とは少し異なり「聞き分けがよくおとなしくしていなさいね」といった意味にとらえられています。
賢明の定義と反義する対義語
次に、「賢明」の定義とは、意味が反対である反義語や対照的な意味にあたる対義語をみてみましょう。
愚かで道理に暗いことを表す愚昧
「賢明」の反対の意味で使われるのは、「愚昧(ぐまい)」という言葉です。「愚かで道理に暗いこと、さま」ひらたくいえば、「ばかで物の道理が理解できないこと、さま」とも言い換えられます。ということで、全く「賢明」とは対照的な反対の意味になります。
「愚昧」を使った「無知愚昧(むちぐまい)」という四字熟語があります。「無知」は知恵や学問がなく愚かなことですから、「知恵や学問がないために物事の道理を理解できない愚かなこと」、さらに「一般常識も理解できないこと」といった意味合いでも使用されます。
よし悪しを判断できず愚かなことを表す暗愚
同じく「賢明」の対義語であり「愚昧」の類義語である「暗愚(あんぐ)」は、「物事のよし悪しを判断する能力がなく、愚かなこと、さま」という意味になります。「愚昧」と同様に、「道理が理解できない」というベースは同じですが、さらに一歩踏み込んで、その是非を判断できない、というニュアンスが付け加えられるようです。どちらも実に「賢明」とは対照的な意味の言葉になります。
賢明と類義語の使い分け方について
「賢明」に関連した多くの言葉について学んできましたが、次はついに実践編になります。具体的な使い方をみていきましょう。
賢明は手段について用いることが多い
アインシュタインの有名な言葉に、「利口な人は問題を解決する。賢明な人は問題を避ける」というものがあります。「利口な人は問題に直面した際にそれを解決する賢さがある。賢明な人は問題自体に直面することを未然に防ぐ賢さがある」という意味です。
この言葉は、「賢明」が人物に用いられている一つの有名な例ですが、大抵の場合「彼は実に賢明な判断をした」や「その医者の賢明な処置により事なきを終えた」などのように、どちらかといえば、その「手段や方法」などについて使われることが多いのが「賢明」です。
聡明や知的と明哲は人物に用いることが多い
一方、類義語の「聡明」、「知的」、「明哲」はどちらかといえば「人物」に対して用いることが多いのです。それぞれに例をあげてみましょう。
- 「彼女は「聡明」な顔立ちをしている」:彼女は「頭が良く理解力もあり賢そう」な顔立ちをしている
- 「彼女はメガネを掛けていてとても「知的」にみえる」:彼女にはメガネを掛けていることから「知識や知性豊かな印象が漂っている」ようにみえる
- 「彼はこの若さで「明哲保身」の術を心得ている」:彼は若いのにすでに「聡明で道理に明るいので危険を避け身を安全に保つ方法」を知っている
ここまでくると、だいぶ感じが掴めてきているのではないでしょうか。
英語は人と手段で使い分けることができる
『賢明』を表す英単語はいくつかあります。バリエーションも多い英語では「人」と「手段」で使い分けもできます。
賢明な人やあなたの賢明さ
「人」に対しての「賢明」を表す例文をいくつかみてみましょう。
- She is the very wise person.:彼女はとても賢い人だ
- A wise person profits by his mistake. :賢い人は転んでもただでは起きない
- She is a sensible person.:彼女は分別がある賢い人だ
- A sensible person is one who uses good sense. :分別があり賢い人というのは良識を動かす人である
賢明な判断や賢明な処置
「判断」や「処置」に対しての「賢明」を表現する例文です。
- He made a sensible decision.:彼は分別のある賢い判断をした
- I leave the matter to your judicious?decision.:思慮深い賢明なる判断にお任せします
- It is very wise to pause the project.:そのプロジェクトを中止したのは賢明だ
最後に、アメリカの小説家O.Henry作品「賢者の贈り物」から抜粋した文章です。
Being wise, their gifts were no doubt wise one.:彼らは賢明な人たちだったので、もちろん贈り物も賢明なものでした。
賢明な人が選んだ賢明な贈り物とは、一体のどのようなものだったのでしょうか。小説を読んでみたくなりますね。
有名作品の引用からも感覚的な掴み方ができる
次は、日本の小説に「賢明」が使われているといった例をいくつかみてみましょう。
- 「私は、賢明なる閣下が、必ず私たち夫妻のために、閣下の権能を最も適当に行使せられる事を確信して居ります。(芥川龍之介「二つの手紙」より)」
- 「早速これを税関に据えつけたと云う事は、最も賢明な処置だと思いますよ。(芥川龍之介「MENSURA ZOILI」より)」
- 「利害の打算から云えば、林右衛門のとった策は、唯一の、そうしてまた、最も賢明なものに相違ない。(芥川龍之介「忠義」より)」
- 「先輩を狼狽赤面させるような賢明な鋭い質問をしてやろうと意気込んでいる奴は、それこそ本当の馬鹿か、気違いである。(太宰治「散華」より)」
- 「大きい失敗の無いうちに引上げるのが賢明である。思慮分別の深い結納のお使者は(中略)どうやら無事に、会津藩士の邸宅から脱れ出ることが出来たのである。(太宰治「佳日」より)」
このように、小説の中で読み解くというのも、より感覚的に「賢明」という言葉の意味が掴みやすくなるかもしれません。
賢明を異なる読み方で表記している書籍
言葉の意味は同じでも、「けんめい」とは異なった読み方をさせる場合もあります。それらの例外もおさえておきましょう。
賢明と書いてさかしらと読む
「賢明」または「賢」を「さかしら」と読むこともあるようです。
- 「松倉十内は苦笑いをした。非人風情のさかしら(賢明)ぶりを感心すると同時に、冷笑してみたくなったらしい。(夢野久作「博多名物俳人探偵」より)」
- 「第一予がたしなみにならぬなり。人の心の變易き、今しかくさかしら(賢)ぶりて、飼鳥の非を謂ひつれど。 泉鏡太郎・泉鏡花「十万石」より)」
賢明と書いてりこうと読む
「賢明」で「りこう」と読ませることもあります。
「今は若い者が学校に行きますお蔭で皆、りこう(賢明)になりました故、そげな馬鹿はアトカタものうなりました。(夢野久作「近世快人伝」より)」
いづれも古典文学の表現に多く使われているようです。
賢明な人物か判断する時に大切にしたいこと
ここまでの知識を生かして、実際に賢明な人物とはどういった人をいうのかを自分でも判断ができるようになると、「賢明」という言葉の意味を本当にマスターしたといえるのではないでしょうか。
「賢明」も類義語も、広義でベーシックな意味は「賢い」ということが共通しています。そしてその「賢さ」にプラスされるその他のニュアンスや特徴などで、最終的に言葉それぞれの意味や個性が決まります。
その物事への見識があり考えが深いこと
「聡明」のような、物事の理解が早くスピード感を伴う種類の「賢さ」ではなく、「知的」といわれる様な、知識が豊富でそれを使いこなす「知性」にも長け、頭のよいことが際立つアカデミックな「賢さ」とも違います。
経験を重ねた上での実践的要素も含まれておりその上で、見識も伴った熟考のすえの最良の判断ができると、いったことが「賢明」というところの「賢さ」になるでしょう。
物事の分別があり賢い判断ができること
そして、要領よく上手にその場を収める解決策をすぐに見出せる「利口的な賢さ」からの判断でなく、その場だけでない先のことをも、経験や想像力を駆使し充分に見通した上で、総合的に分別のある判断ができる、ということが「賢明的な賢さ」に求められる資質でしょう。
相手意識を伴う賢さがあること
さらに、私欲優先などのよこしまな要素を一切含むことなく、公平的で他人に対する配慮もでき、思慮深さを伴う判断ができるということも必要です。
単なる賢さだけではなく、道理をわきまえた深い見識があり、知識だけでなく実経験からも学び、さまざまな視点から考え、最良の判断を人物であるならば、それは間違いなく「賢明な人物」といえるのではないでしょうか。
賢明な人物を目指すために重要なこと
「賢明な人物」に自分もなれるとすれば、もしかすると今えている景色とは違った人生をおくることができるかもしれません。今の自分をより高め、新しい可能性を人生の中に見出してみることは、素敵ではないでしょうか。ここでは賢明な人物に必要な重要なポイントをみていきましょう。
物事の道理を理解した判断力を身に付けること
「賢明な人物」と呼ばれる人は、物事の道理を理解することに優れています。そして、その能力は生まれ持ったものプラスそれまでの経験値から身につく類のものでもあります。
知識はもちろん必要ですが、ただ知識があるだけでは実際に起こりうるあらゆる不測の状況へは対応できませんよね。現実の世界はマニュアル通りにはいかないということも世の常です。ですから、広くて深い知識も持った上で、実践を重ね培っていった経験値から物事の道理を理解する能力、というのが身についていくのです。
賢明に必要な能力は、よい年齢の重ね方、さまざまな経験をしていくことで高められるともいえます。
自分の判断に明確な根拠があること
「賢明な判断」とは、いつでも明確な根拠に基づいています。これは、その場しのぎの判断にならないためにとても重要なことです。ゆるぎない根拠が根底にあるうえでの判断とその場しのぎの判断では、近い将来に雲泥の差がでることでしょう。
では、根拠ある判断をするために必要なこととは何でしょうか。逆を考えてみればすぐにわかりますよね。場当たり的なその場しのぎのそうなってしまう原因は、考えが浅いもしくはあまり考えていないからではないでしょうか。だからとっさにその場をとりつくろうことだけを考えて反応してしまうのではないでしょうか。
自分の判断に明確な根拠をもつ、ということは、常日頃から自分の頭で物事を考える訓練が必然となってきます。
根拠に至るまでの経験や実績があること
自分の頭を使って根拠がある判断ができるようになるには、やはりその根拠に至るまでの経験や、自信をもって判断できるだけの実績も必要ですよね。うわべだけ人の真似をしてもそれはある意味、その場しのぎの判断と同じことです。
自分の知識や経験を基に、自分の頭で考えて生み出すという経緯があっての、判断が必要なわけです。そうして自分で作り上げたものは、かけがえのない自分だけの財産になるのです。豊かな感じがしますよね。
それらを行動に移すことができること
「賢明な判断」を下したならば、実際にそれらを行動へ移すことができる行動力や、それに伴う自信が必要です。口ではそれらしいことを言っていても、実際には自信がない人というのはなんとなく雰囲気で伝わるものです。では、その自信はどうやったら生まれるのでしょうか。
やはりこれも、自分の経験や実績を重ねることで血となり肉となり、自信へとつながってゆくのではないでしょうか。
周囲への配慮や心配りができる人間性
自分では「賢明な人」のつもりでも、周囲からはそうはみられていない場合もあります。それは、客観的に自分を把握することができていないことなので、すなわち「賢明な人」と呼ばれるにはふさわしくはないでしょう。
「賢明な人」というのは、知識や経験に基づいて良識ある判断ができる能力が必要です。そしてさらに、さまざまな立場の視点からも物事を捉えられる力も必要です。
周囲の人たちが何を考えているのかどう思っているのか、配慮や心配りができる人間性が備わっていれば、そんな周囲の意はすぐに汲み取ることができ、自分が「賢明な人」であると勘違いすることはまずありませんよね。
賢明さを伝えるために重要なこと
私たちは社会生活の中で、さまざまな人たちと時間を共有して生きています。身近なところでは毎日出勤するオフィスなどもそうです。そこでは、日々のあなたの言動や立ち振る舞いを通して、上司や同僚は「あなた」という人物を捉えていることでしょう。
もし、そこでのあなたの言動からあなたという人物が「賢明な人」だという印象を与えることができたなら、あなたの価値は今よりも認められ、よいキャリアへとつながることがあるかもしれません。
もちろん小手先だけではダメですが、自分自身をコントロールできる賢さをもって、対社会との関わりも注意深く意識してみることも、実は「賢明な人」へ一歩近づくことができるかもしれません。
知識や情報を共有する
このことは「賢明な人」に必要な深い知識に相当するところではないでしょうか。知識や情報をできるだけ多く共有することで、自分の経験に基づいて提供できるアイディアなども格段に増えることでしょう。
ソクラテスの「無知の知」という言葉があるように、現状の自分の知識に満足せずに貪欲に探求する、すなわち他人と知識や情報を共有することが自分の今ある知識を拡げ、時には誤りにも気づきやすくなることでしょう。
答えが出ない時にはありのままを伝える
基本的に人として正直であることはとても大切です。そしてこのことは「賢明な人」に必要な人間性の部分に相当するのではないでしょうか。
いくら考えてみても現在の自分では自信がある根拠を見出せない、最終的な判断はできない、その場合はありのままに答えが出せないということを伝えるのがよいでしょう。その場だけの「とりあえず」で決めないことが「賢明な判断」です。
目標を掲げやりきるために努力を惜しまない
「賢明な人」は自立した自分自身の考え方に基づき、優れた行動をするものです。例えば、厳しい現状を目の前に適当にその場を乗り切る行動は慎み、今と真摯に向き合い、未来を見据え、目標を掲げやりきる努力も惜しみません。そうした経験からの、ひとつひとつの積み重ねが大きな自分の力になり得るということを「賢明な人」は知っているからです。
賢明の語意を正しく理解し生き方に活用する
「賢明」という言葉を正しく理解し、さらに深く考えてみることで、あなたの知識を、世界を、少し拡げることができるのではないでしょうか。そして、その理解を元に物事の捉え方も少しづつ変わり、生き方に活用し、より豊かな人生を楽しみましょう。