こだわりのコーヒーカップの見つけかた。種類やブランドを知ろう
普段使いのコーヒーカップにこだわりを持とう
ついつい、雑貨店などで素敵なコーヒーカップに出会うと買ってしまいます。しかしデザインだけで選ぶのはちょっとお待ちください。コーヒーカップのタイプによって、コーヒーの味わいさえ変わってしまうというのを知っていますか。
普段よく飲むコーヒーは、どのような種類のコーヒーか。エスプレッソか、カフェラテか、アメリカンか。熱々を長く楽しみたいのか、それとも猫舌なので冷めやすいほうがよいのか。アウトドアで使用したいのかなど、自分のコーヒーを飲むスタイルに合わせて、コーヒーカップも変わってきます。
どのようなタイプのコーヒーカップがあるのかを知り、自分なりのこだわりを持って選択してみましょう。また人気のあるブランドを知ることで、自分にふさわしい普段使いのコーヒーカップがみつかるかもしれません。
カップには種類がある
コーヒーカップには、その用途や飲むコーヒーの種類などに合わせてさまざまな種類があります。それぞれの特徴を知り、普段使いにふさわしいものを選びましょう。
エスプレッソに使用するデミタスカップ
エスプレッソは、短時間でエスプレッソ豆を圧力をかけて抽出したコーヒーです。濃厚でうまみ成分も多いコーヒーですが、慣れないと苦くて飲みづらいかもしれません。量が少ないために、専用のデミタスカップを使用します。
缶コーヒーなどでデミタス缶コーヒーと呼ばれるものがありますが、通常サイズより少し小さめの缶が用いられていて、このデミタス(Demitasse)とはフランス語で「小さいカップ」という意味があります。
よく雑貨店などで売られているマグカップのサイズは、200cc~250ccくらいですが、デミタスカップは半分以下の45cc~65ccくらいしかありません。使用用途としては、主にエスプレッソやトルココーヒーを飲む際に使用します。
お洒落な高級カップなどもあり、インテリアとして棚に飾られることもあります。
大型で取っ手のついたマグカップ
レギュラーカップのサイズは、150cc~200ccくらいですが、マグカップはそれよりも少し大きめで200cc~のものになります。大型で取っ手がついているのが特徴です。「マグカップ」とよぶのは日本だけで、海外では短く「マグ」とよばれています。
量を多く入れるのに向いている、コーヒー量の少ないカフェオレやアメリカンに適していますが、特になにを飲むと決まっているわけではありません。
家庭用のマイコーヒーカップとして、1つ持っていてもよいかもしれません。ただし来客用にはマグカップよりも、レギュラーサイズの少し高級感あるコーヒーカップを出したほうが無難でしょう。
大きめなのでデザイン性も豊かです。1970年代以降にアーティスティックでモダンなデザインのものが市場に出始めたのをきっかけに、家庭用としてマグカップは普及しました。
カフェオレに使用するカフェオレ・ボウル
カフェオレ・ボウルはまだあまり日本に普及していないかもしれません。一部のお洒落なカフェなどで少しずつ流行り始めています。その名の通り、マグカップやレギュラーカップと形がことなり、どちらかというとシリアルなどを入れて食べるのに適したような、おわん型の丸みのある形をしています。
コーヒーをミルクで等分に割って作るカフェオレを飲むのに使用しますが、それ以外にもさまざまな用途があり、フランスをはじめとするヨーロッパで幅広く使用されているこのコーヒーカップは、海外ではカフェオレやコーヒーを飲むだけではなく、シリアルやフルーツを入れて食べるのにも使われています。
シンプルな無地の陶器のものから、高級感のある模様が描かれたデザインまで幅広くあるので、来客用に揃えてみてもよいかもしれません。コーヒーがカフェオレボールで出てきたら、それだけでおしゃれです。
コーヒーカップの材質
コーヒーカップの材質もさまざまです。材質により保温性の高さなども変わってくるので、用途に合わせて選択するとよいでしょう。
圧型で冷めにくい陶器
陶器は粘土状の土を材料にして、低温で焼いて作られています。そのため陶器で作られたコーヒーカップは、圧型で温かみのある素朴な風合いのものが多いです。
信楽焼きなど「〇〇焼」という表現のものは、陶器。古民家カフェや和カフェなどで出されることが多いコーヒーカップはこのタイプです。わびさびの表現豊かな信楽焼、モダンスタイルのものなども豊富な美濃焼、耐久性のある有田焼などもさまざまなスタイルの陶器のコーヒーカップがあります。
実用性でいえば、保温性が高く、酸化することで味に深みがでる豆では、陶器のコーヒーカップのほうがよりおいしさを感じられるようです。表面に凹凸があったりするので、汚れが定着してしまわないように、ときどき漂白するとよいかもしれません。
高級感のある磁器
磁器は、陶石を砕いた石の粉が主な材質で、それだけでは形にならないので粘土に混ぜて焼いています。表面が白く滑らかで美しく、そして薄型で軽くて丈夫です。実用的なため、高級なコーヒーカップから、コーヒーチェーンまで幅広く使用されています。
陶器よりも薄型なため、中のコーヒーは冷めやすいです。猫舌など熱い飲み物が苦手な場合は、陶器のコーヒーカップが適しているかもしれません。
また唇に当たる部分が薄いほど、繊細な味の変化を楽しむことができます。高級感のあるコーヒーカップが多いので、セットでそろえておくと急な来客がきても困りません。
キャンプに最適なステンレス
コーヒーカップの材質がステンレスでできているタイプです。このコーヒーカップの特徴は、陶器や磁器と異なり非常に頑丈なことで、落としたくらいでは割れません。また錆びにくい材質なので、キャンプなどのアウトドアに最適です。
直火にかけることもできるので、寒い日のキャンプで体を温めるときにコーヒーをつくるのにも便利。構造が1重構造のものと2重構造のものがあります。軽さを求めたい人は1重構造。保温性、保冷性を求めたい人は2重構造のものが向いています。
アウトドア向きのステンレス製のコーヒーカップは、コーヒー以外のさまざまな飲み物やスープを飲むのにも使えて便利です。アウトドア派なら1つ持っていても損はありません。
中が見えコントラストがきれいなガラス
コーヒーカップの材質が、耐熱ガラスでできているタイプです。なんといっても特徴は、中の液体が透けてみえること。コーヒーの色自体を目で見て楽しむことができます。ヨーロッパでカフェに入ると、たいていガラス製のコーヒーカップで出てきます。
そしてカフェアートなどもとても映えます。シンプルで飽きがこないデザインのものが多いガラス製のコーヒーカップですが、コーヒーを注ぐとお洒落に様変わりします。コーヒーとミルクの層がグラデーションになっている様子が側面からみられたりするのは、ガラス製のコーヒーカップくらいではないでしょうか。
また耐熱ガラスは保温性も高いので、実用的でもあります。特に二重構造のガラス製のコーヒーカップは、保冷・保温両面において優れています。
アイスコーヒーなら銅
昔から、日本の伝統的な喫茶店のアイスコーヒーは、よく銅の材質でできたコーヒーカップで提供されてきました。アイスコーヒーが日本の喫茶店に普及してきた歴史は浅く、1970年代以降のようです。そのため銅製のコーヒーカップが出回り始めたのもそのころでしょう。
金属でできているために、手で持ったときにアイスコーヒーの冷たさがそのままダイレクトに手に伝わってきます。そのため夏の暑いなか、ひんやりとした心地よさを手のひらに感じることができます。
ただし同じ理由で熱いコーヒーを入れてしまうと、持てないほどコーヒーカップの表面が厚くなってしまいます。そのため、アイスコーヒー専用のコーヒーカップとして考えたほうがよいでしょう。
オススメのコーヒーカップ
有名なブランドや、伝統あるブランドはそれだけ人々からの指示を集める要素があるということ。よく名前の知られたオススメのコーヒーカップを見ていきましょう。
欧州一の名窯「MEISSEN」
ドイツのコーヒーカップ高級ブランド「マイセン(MEISSEN)」は、名実ともにヨーロッパ屈指のブランドです。
マイセンの発祥は、ザクセン選帝侯アウグスト強王が、錬金術師ヨハン・フリードリヒ・ベドガーに研究させた17世紀から18世紀にまでさかのぼります。現在までに23万種類以上のの硬質磁器を生み出し、ドイツの古き良き伝統を今に伝えています。
有名なのが、交差した2本の剣のトレードマークです。白地の美しい磁器のコーヒーカップに、上品に浮かび上がる剣の絵は秀逸です。これは1723年以降、偽物を作らせないために刻印されるようになりました。
恋人や夫とゆっくりと語らいながらコーヒーを楽しむときに、素敵な友人と午後にゆっくりとコーヒーを飲むときに、そんな大切な時間を過ごすためにペアセットで購入してはいかがでしょうか。
優美なデザインと、職人が丁寧に描いた美しい青い線。それらは大切な人と過ごす時間を鮮やかに彩ってくれるはずです。
色合いとデザインが特徴的な「WEDGWOOD」
イギリスのコーヒーカップ高級ブランド「ウェッジウッド(WEDGWOOD)」は、その乳白色の色合いとデザインが特徴的です。
ジョサイヤ・ウェッジウッドが修行を積み、1754年にトーマス・ウィルドンと共同経営に取り組みました。白磁がメインだった陶器の世界に、当時難しかった乳白色を生み出し、1766年には「女王陛下の陶工」という称号を英国王妃シャーロットから拝命しています。
ウェッジウッドといえば、「ワイルドストロベリー」のデザインが有名です。自然をモチーフにしたデザインは、特にイギリス人の女性に好まれました。他に、ユニークなデザインもさまざま生み出しており、ギリシア神話をモチーフにしたものや狩りを描いた「ハンティングシーン」など、心弾ませるデザインがあります。
日本から世界へ「ノリタケ」
コーヒーは海外の文化なので、コーヒーカップのブランドも海外のものがメインですが、その中にあって輝きを放っているのが日本の老舗ブランド「ノリタケ」です。ノリタケは、愛知県の「則武(ノリタケ)」とい地名から取られている名前で、この場所が創業地です。
森村左衛門が1904年に日本陶器合名会社を設立。日本初、洋食器を生産する会社が誕生しました。これがノリタケの起源です。
コーヒーカップだけではなく、ティーカップとしても使用できそうなフォルムを持ったブルーソレンティーノのペアセットなどは、伝統的な更紗と呼ばれる文様染めを、乳白色の陶器にエレガントな青色で描いていてとても美しいです。
またノリタケの中でも、ノリタケの前身である日本陶器合名会社の時期の作品は「オールド・ノリタケ」とよばれ、絵付けはすべてハンドメイドです。オールド・ノリタケはコレクターの中では大変人気です。
北欧を代表する陶磁器ブランド「iittala」
フィンランドで生まれた北欧を代表する陶磁器ブランドが「イッタラ(iittala)」です。1881年に創設されたガラスメーカーは、実用的ながら洗練されたデザインの陶磁器を作っています。
特徴としては、まさに「シンプルモダン」といえるでしょう。イッタラの陶磁器は無地のものが多く、毎日使う中で飽きがきません。シンプルだからこそ、食事や飲み物を入れたときにオリジナルのテーブルアートができあがるのです。
その実用的なイッタラのコーヒーカップの代表作ともいえるのが、デザイナーのカイ・フランクが手がけた名作の「ティーマ」です。絵柄はなく、その豊富なカラーバリエーションで楽しませてくれるマグカップです。
来客用というよりは、日常使いで朝食などにコーヒーを飲む際に使う、お気に入りのマイマグカップによいかもしれません。家族で異なるカラーバリエーションのものを揃えてみても素敵です。
北欧柄が特徴の「ARABIA」
名前から中東をイメージしてしまいそうですが、「アラビア(ARABIA)」はフィンランドを代表する陶磁器メーカーです。スウェーデンの陶器メーカー、ロールストランド社の子会社として1873年にヘルシンキのアラビア地区で創設されたために、このブランド名がつきました。
フィンランド陶芸界の中で代表的なデザイナーとして知られる、カイ・フランクや、ビルイエル・カイピアイネンなどが手掛けるデザインは非常に美しい北欧柄を特徴としています。
また、絶大な人気を誇るのがムーミンが描かれているマグカップシリーズです。このコラボレーションアイテムの限定ムーミンマグはすぐに売り切れてしまうほどの人気となっています。
北欧柄が鮮やかな代表作としては、ビルイエル・カイエンの「パラティッシ(Paratiisi)」が挙げられるでしょう。パラティッシはフィンランド語で楽園。その名の通り、みずみずしく鮮やかな色彩で描かれた果物や草花が人々を魅了します。普段使いだけでなく、食器棚に並ぶことでインテリアとしての役割も担ってくれるかもしれません。
こだわりのコーヒーカップでティータイムを優雅に演出
優美で繊細なものから、アウトドアでも使用できる丈夫なマグカップ、シンプルモダンを追求したような飽きのこないデザインなどさまざまな種類のあるコーヒーカップ。
コーヒーをゆっくりと飲む、その時間をさらに気持ちのよいものにするために、コーヒーカップ選びは意外に大切です。どのようなものがあるのかを知り、こだわりのコーヒーカップを手に入れてください。人々を魅了するコーヒーカップは、その存在だけでティータイムを優雅な時間に変えてくれます。