独身であることは幸せなのか。一人を選択する価値を掘りさげてみよう

【特集】自立する女性のそれぞれの形

生涯を独身で過ごす人の幸せはなにか

少なくとも90年代ごろまでは、適齢期になったなら「結婚して家庭や家族を持つ」ことが人生の幸せである、という価値観を持つ人が多かったのではないかと思います。時代の変化とともに「個人主義」や「価値観の多様性」が認められるようになり、生涯を独身で過ごす選択をする人も増えてきました。生涯独身であることを選んだ人たちの、幸せのありかをひもといていきたいと思います。

生涯独身である人の割合

5年ごとにおこなわれる国勢調査の項目のなかでも2000年以降、回を重ねるごとに増加しているのが未婚率です。特に35才以上では、5年前に未婚だった人が横ばいかわずかに減少して5年後を迎えており、ずっと未婚の状態が続いていることがわかっています。

また、50才になったときの未婚率を「生涯未婚率」といい、50才で未婚だった人はそのあとに結婚する割合が少ないことから、生涯独身者を測る指標とされています。この生涯未婚率も増加の一途をたどり、2010年は男性が18.9%、女性が9.7%ですでに高い割合だったところが、2015年の調査では男性が23.37%、女性が14.06%と、さらに急激に増加しているのです。

つまり、男性の4人に1人、女性の7人に1人が、一生に一度も結婚をしないという計算になり、2000年以降の「結婚離れ」は非常に加速しているといえそうです。

独身女性と独身男性の結婚への価値観

独身であることを選ぶ人たちが、結婚を選ばない理由にはどのようなものがあるのでしょうか。

恋愛より仕事

恋愛よりも仕事が充実している人は、仕事により多くの時間を使いたいと思っているようです。仕事をしている時間のほうがやりがいがあり、恋愛や結婚をすると仕事に使える時間が減り、それが仕事の成果の低下につながるかもしれないからです。また、仕事で忙しすぎて、恋愛をする暇がないという声もあります。

恋愛に魅力を感じない

恋愛そのものを面倒くさい、わずらわしいと考えている人は、結婚して家庭を築き、子供を育てるというプロセスにはさらに興味がわかなくなります。こういうタイプの人は、出会い自体を求めていないし、他人と関係性を築くことが疲れると思っていることが多いようです。

また、恋愛はしたとしても、結婚に必要性を感じない人もいます。男女とも働いて自立した生き方ができるようになったため、経済的な理由で結婚する必要もなくなりましたし、結婚することで親戚付き合いや定期的に帰省しなくてはならないなど、縛られることが嫌だという人もいます。

趣味に没頭できる

趣味を持っている人にとっては、独身のほうが、誰にも文句をいわれずに「自分のやりたいように楽しめる」という意見もあります。

結婚すると、時間やお金の使い方もこれまでのように自分一人の判断ではできなくなります。趣味のお金を家計や子どものために回さなくてはならないことも。趣味に没頭したい人は、独身でいるほうが幸せかもしれません。

結婚するよりも遊びたい

結婚すると、今までのような友達付き合いや社交が楽しめなくなることも。子供が生まれたら子供に合わせたスケジュールになり、夜に外出したり仲間と旅行に行ったりもしにくくなります。

家庭で時間を過ごすよりも、まだまだ友人たちと遊びたいから、結婚はしばらく考えたくない人も多いようです。

今が幸せ

今の自分が置かれている環境が幸せだと思っていると、その環境を変えてしまうことがマイナスと感じてしまいがちです。結婚することで得るものよりも、失うことのほうが大きいのなら、結婚しないほうが幸せなのです。

特に女性は結婚によって仕事を辞めたり、住む場所が変わったり、親や友人となかなか会えなくなったりと、ライフスタイルを変えざるを得ないことが多いため、その傾向は強いかもしれません。

独身の利点

結婚した場合とくらべて、独身であることでどのような利点があげられるでしょうか。

金銭面の心配が少ない

一番大きいのは金銭面ではないでしょうか。家庭を持つと、それまでより広い部屋に住んだり、ローンを組んで住居を購入する場合もあります。毎月の返済や、光熱費も増えますし、子供が生まれたら学費なども支払うことになります。それに比べたら独身者は明らかに少ない出費ですみます。

独身であれば、自分が使うお金のことだけを考えていればよいため、趣味や旅行や貯金にあてることもできますし、家族のためになにかを買う、あるいは節約することもなく過ごせます。

時間に融通が利く

時間の使い方についても、独身者のほうが圧倒的に自由がききます。家族との約束や、子どもの世話や保育園のお迎えなどに時間を取られることがないからです。家族に遠慮して仲間との趣味や飲み会の誘いを断る必要もなくなります。自分の都合でスケジュールを組むことができるのです。

また、男性は平日は会社で長時間働き、休日はのんびりしたり趣味を楽しみたいところなのに、家事や育児の手伝いをしなくてはならないことが多く、休日を思いきり楽しめないという傾向もあります。そのため時間の融通の面では独身者が幸せというのも納得できそうです。

家事は最低限でよくなる

結婚すると、「家事分担」をどうするかが課題となることが多いようです。配偶者と同居していることで、分担したのにやっていない家事が目立ってしまい、怒られてしまうことも。

これが独身であれば、自分の時間のあるときに、できる範囲でやれば問題なく、チェックする人もいませんから、ストレスフリーで気楽に生活できそうです。

既婚と独身、どちらが幸せか

果たして既婚と独身のどちらが幸せなのか、考えてみたことはあるでしょうか。既婚であれば、愛するパートナーや家族を得て、安定した生活や精神的な安心感を得ることができます。

しかし、家庭のために時間とエネルギーを使い、子供を育てるという大きな仕事が増え、自分のことだけではなく配偶者の両親のサポートもしなくてはなりません。世帯をまかなうためには独身時代よりお金も必要となり、不安は独身のとき以上かもしれません。

一方独身でいた場合も、自分のお金や時間を自由に使えて、制限なく仕事や恋愛を楽しめるイメージですが、病気をして働けなくなったり、親が倒れた場合は、今の生活を維持できなくなる人もいます。子供を持たない人生や老後に対する孤独感もあるでしょう。自分の生活や精神面を支えてくれる人がいないというのは、見えない将来への不安でいっぱいになることもあるはずです。

結局、既婚と独身のどちらを選んでも、メリットと悩みの両方があり、自分と立場の違う人を、つい羨んでしまうのが人間です。結婚が必ずしも幸せを生みだすものではないとすると、幸せの根拠をどこに持てばよいのでしょうか?

それは、自分が自分で幸せだと思える生き方を選択するということです。幸せとは、自分の心が満たされているときに感じるもので、世間の価値観や他人が決めることではありません。自分が幸せだと思えることが人生にあれば、既婚でも独身でも幸せな人生だといえるはずです。

子供を育てる自信がない人が子育てをするのは幸せではないでしょうし、やりがいのあった仕事を結婚のためにあきらめたのであれば幸せではないかもしれません。逆に、パートナーはいなくても夢中になれる趣味があったり、友人や仲間に恵まれて孤独感を感じない人生なら、独身でも幸せなのです。独身か結婚の選択ではなく「自分の人生になにが必要か」を選びとると、幸せな人生が送れるのではないでしょうか。

独身を幸せにするために必要なこと

それでは、独身生活を幸せにするためには、どのような心がまえが必要なのでしょうか。

独身を恥じない

今は独身を恥じる時代ではありません。多様な生き方、多様な選択肢が認められているからです。「結婚できない」のではなく「結婚を選んでいない」という、ひとつの意思表明をしているにすぎません。

独身でいることのメリットもあるのですから、自分が選んだ生き方であると、自信を持ちましょう。

パートナーがいる場合

現在パートナーがいる場合は、お互いが結婚を望んでいるのであればそうすればよいですが、独身でいることにメリットを感じているのであれば、無理に結婚を意識しなくてもよいのではないかと思います。

籍を入れなくても、お互いの合意ができていれば「事実婚」というスタイルもありますし、結婚した場合も、別居婚や週末婚など、お互いの時間を束縛しない形もあります。今の幸せを維持できるパートナーシップの形を探していきましょう。

夢中になれることをみつける

幸せを感じるには、自分の心が満たされてワクワクするものがあるといいでしょう。夢中になれることがまだみつかっていない人も、新しい趣味や学びをスタートしてみてはいかがでしょうか。

趣味や学びに熱中するなかで、気が合う仲間をみつけることができるかもしれません。

堂々と自分の楽しみを満喫して幸せになろう

独身でいることの利点や価値はその人の考え方次第です。時代は変わり、独身生活は生き方の選択肢のひとつとして、認められつつあります。結婚して家庭を持っている人たちと違う生き方だからといって、負い目に感じることはありません。自活力を身につけ、堂々と自分の楽しみを満喫して、心から幸せと思える人生を実現していきましょう。

LITORA編集部

自分らしい生き方を見つけたい。大好きなものに囲まれる生活をしたい。暮らしや仕事、オシャレも美容も恋愛も“自分らしく心地よく”を軸に自分のライフスタイルに合わ...

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