気象予報士の難易度とは|挑戦すべきか決めたいあなたへ
気象予報士の国家資格取得を目指すために
天気はときに仕事や人々の生活、さらには生命を左右します。そんな天候を、人々に身近な立場からお伝えすることもできるのが、天気予報士という資格です。そんな姿に、あこがれを抱いているという人も少なくはありません。
ですが難関資格と名高く、資格を取るために挑戦すべきか迷っている人も多いのではないでしょうか。ここでは、そんな人のために、気象予報士の資格難易度や学び方について解説していきます。
気象予報士の仕事と国家資格の概要
まずはどんな仕事をするのか、どのような国家資格なのかを知っておきましょう。
気象予報をする業務にのみ必要な資格
天気予報士というと、ニュースに出てくる人を思い浮かべる人も多いかと思います。実は、天気予報士の資格は、すでに予報されたものを伝える業務には必要ないものです。天気予報を予報するという業務を担う場合だけ、気象予報士の資格が必要になります。天気予報の内容も、全国レベルの大きな予報から、地域ごとのピンポイント予報まで、多岐にわたります。
また働く場所も、気象庁だけでなく、民間の気象予報会社や企業という場合もあります。英語が堪能な人なら、海外へ就職する道も開けます。気象データをビジネスに活用しようとする動きもあるので、これから活躍の場が広がる可能性もあるといえます。
1994年に制度が導入され今年で24年目
国家資格である気象予報士ですが、年齢や職業制限は一切ないため、受験者数も多い資格の1つです。20歳以下の受験者も多く、2017年には北海道の小学校6年生の女の子が合格しています。また資格として導入されてからは2018年で24年目ですが、まだまだ全体的な資格取得者の数が少ないというのも特徴です。
※参考:http://careergarden.jp/kishouyohoushi/exam/
難易度が高いといわれる理由
一般的に、国家資格は総じて難易度が高いとされますが、気象予報士はその中でも難しいとされています。データからも、その理由が分かるので見ていきましょう。
合格率のデータと受験者数
2017年1月の総受験者数は2,795人でしたが、その合格率は4.9%ととても低いことが分かります。これは2017年だけに限ることではなく、例年4~4.9%の合格率で推移しています。受験者数から考えても、合格して資格を取得できた人が非常に少ないことが分かります。さらにこの中でも、天気予報士として活躍している人はごく一部であり、その難易度の高さがうかがえます。
資格取得者数は10000人前後
2018年で24年を迎える気象予報士ですが、これまでに資格を取得できた人数が10,000人前後です。試験は学科試験と実技試験があるのですが、合否は相対評価ではなく個々の点数で合否が決定される絶対評価なので、全体の合格点が低かったとしてもそれは結果に反映されません。純粋な実力だけが、試される試験です。
試験内容について
難しいといわれる試験内容とは、どのようなものでしょうか。例年の問題内容から挙げてみました。
一般知識と専門知識の学科試験
1次試験でもある学科試験は、5択から1つを選択する選択式です。大気の構造や気象現象など予報に関わる一般知識と、予報するために必要な観測成果の利用という専門分野の知識から、多岐にわたる内容が問われます。この試験では、一般知識と専門分野、それぞれ15問あるうちの11問以上に正解できた合格者のみ、2次試験に進めます。
2次試験は記述式の実技試験
2次試験は、より実践的な内容になります。出題された天気図を見て、気象予報を文章化するのです。記述式なので天気図の理解はもちろんのこと、気象予報だけでなくその気象が異常であれば人々へ退去を呼びかけるという判断力も求められます。そのため過去問を解き続けどのような問題が出題されるのか傾向をつかみ、実際に自分の考えを記述することへ慣れることが重要になります。
※参考:https://mayonez.jp/topic/3152
実施日程と実施場所
2018年の実施日程はどのような流れになっているのか、日程と試験会場についてチェックしておきましょう。
例年は1月と8月の年2回の実施
2018年の実施日程は、次のようになっています。
平成30年度第1回(通算50回目)試験日程
- 受験資料配布開始:2018年5月18日
- 受験申請期間:2018年6月18日~7月6日
- 受験日:2018年8月26日
- 合格発表:2018年10月5日
平成30年度第2回(通算51回目)試験日程
- 受験資料配布開始:2018年10月12日
- 受験申請期間:2018年11月12日~11月30日
- 受験日:2019年1月27日
- 合格発表:2019年3月8日
受験料は11,400円です。しかし学科試験の全部、または一部に合格した場合は、申請すれば合格発表日から一年以内に限って合格した科目の試験が免除になります。その場合は受験料が変動するため、注意しておきましょう。
実施場所は全国で6か所
試験会場は北海道、宮城、東京、大阪、福岡、沖縄の全国6か所です。2018年4月時点では、まだ詳しい会場の情報は公開されていません。どちらの試験でも、受験資料配布開始になり次第詳しい情報が発信されるので、今年中に受験を考えている人は忘れずチェックしておきましょう。
資格取得にむけての学習方法について
では、実際に資格を取得するとなったら、どのような学習を進めればいいのでしょうか。
通信教育や予備校で学ぶ
難関資格である気象予報士は、いくつかの通信教育や予備校が存在します。平均8~10ヵ月間ほどで、合格の為に必要な学力を効率よく学ぶことができます。予備校や通信教育では知識を身に着けるだけでなく、実践的な内容をどう解くかについても理解が深められるので、忙しい社会人にとっては有効に活用すべきでしょう。
予備校の場合は入学金など諸々をふくめて、30万円ほどの受講料が必要となります。受験のための知識をまんべんなく身に着けられ、先生に実際に質問できるのはもちろん、自分自身に基礎知識が少なければその理解度に合わせた勉強を受けられるという利点があります。ですが予備校がある範囲が限られてくるので、地方在住の場合は受講が難しかったり、時間も取られてしまい社会人だと受講しづらいという面もあります。
一方通信教育の場合は、7万円前後で受講できます。予備校に比べると経済的にもずっとお得ですし、自分のペースでコツコツと勉強を続けられます。しかし自宅で勉強を続けなくてはならないので、モチベーション維持が必要不可欠です。積極的に質問のためのメールや手紙を活用したり、自分からどんどん勉強を進められる人でなければ、1発合格は厳しくなってしまうでしょう。
独学は個人差はあるが2~3年間
受験資格が特に定められていない気象予報士は、独学での合格を目指すことももちろん可能です。しかし、相当な努力が必要となることは覚悟しておきましょう。細かな基本知識だけでなく、近年重要視される防災関連の知識なども幅広く身に着ける必要があります。
また、基礎知識の有無も大きくかかわります。気象予報士は、データを読み解く仕事です。数値の計算や、科学的な根拠を求められることも多々あります。過去問はダウンロードで入手可能なので、ぜひとも活用して1歩ずつ確実に合格に近づいていきましょう。
受験者比率のデータと必要な基礎知識について
お天気キャスターは女性が多いというイメージがありますが、気象予報士はどうでしょうか。受験比率のデータと、天候の勉強を積み重ねるうえで必須の基礎知識をおさえておきましょう。
女性の受験比率は約13%
受験者の男女比は、男性の方が圧倒的に高いのが気象予報士の特徴です。かといって、女性に対して就職面などで窓口が狭い訳ではありません。それは知識量や判断する力が求められるので、体力面など男女で差が付きやすい分野が影響しないためです。なので妊娠や出産を経ても、また戻りやすいというメリットがあります。経験がなによりの実績であるため、しっかりと修業を積めば大きな財産として自らを助けてくれる資格です。
地学や物理の基礎知識が重要
データを読み解いたり、気象の原理を理解するためにも、地学や物理の基礎知識はとても重要になってきます。これまで文系で化学、物理、微分積分の知識が無いとなると、基礎勉強が必至になります。
ここは個人差が大きく出る分野なので、そうした障害を乗り越えてでも「受験したい」「資格を取りたい」と思える人でなければ、そこからさらに上の気象に関する専門知識を身に着けるのは、難しくなります。こうした基礎知識の有無や自身のモチベーションを考えることも、挑戦すべきかどうかを決める1つのポイントです。
難易度と合格率を統合して気象予報士を目指す
気象予報士は非常に難易度が高い資格です。ですがそれは、間違った予報をすることで、時に人々を危険にさらす可能性のある重要な役目を担うからこそでもあります。国家資格として十分魅力的ですが、同時に重い責任を背負うことにもなるのです。
だからこそ、最新情報をチェックし、実際の情報をきちんと調べたうえで、挑戦すべきか否か、自分なりの答えを見つけていきましょう。