【1】きっかけはテレビドラマ! 目指すはホテル清掃のプロだった!?:西山貴代さんインタビュー
ホテル清掃に関わる「clean next(クリン ネクスト)」という会社を立ち上げた西山貴代(にしやまきよ)さん。彼女の“客室清掃コンサルタント”という職種は、一般的にはあまり馴染みがないのでは。そこでこの仕事を思いつくきっかけとなった、小学生時代の原体験や、学生時代のバイト経験で培ったスキルについてお聞きしました。
きっかけは、ドラマ「HOTEL」で見たベッドメイキングへの憧れ
―まずは、ホテル清掃をやりたいと思ったきっかけから聞かせてください。
「小学生時代に高嶋政伸さん主演の『HOTEL』というドラマで、ハウスキーパーさんがベッドメイクをしているシーンを見たことです。何層にも重ねたシーツを一気に広げ、あんなにきれいにするなんて『すごい! カッコイイ!』と感動し、そこからホテル清掃の仕事に憧れていきました。」
―そこから、まずはホテル清掃のバイトをしていったわけですね。
「大学時代に、ファーストフード店のバイトと掛け持ちで、ホテル清掃のバイトもやっていました。午前中にホテルで働いて、夕方からはファーストフード店に入っていたんです。ホテル清掃では、いろんな現場へ行かせていただきました。特に、ベッドメイクは私のなかでも一番思い入れが強い仕事で、すごくやりがいを感じました。
最初は上手くいかなかったのですが、練習してスキルを磨いていくうちに、ものの3分でできるようになりました。ピンと張った状態のベッドを見ると、本当に気持ちが良くて。だんだんクオリティーにもこだわっていきました。」
バイトで臨んだ技能コンクールでまさかの優秀賞!
―大学を卒業してからは、どういう進路を選んだのですか?
「社会人になってからは、平日に事務をし、土日・祝日はホテルに入っていたほか、『博多座』という劇場の清掃も掛け持ちでやっていました。とにかくお掃除が大好きで、どの現場にも魅力を感じていました。」
―やはりホテル清掃のお仕事は続けたいと思ったわけですね。その後、どんな転機があったのでしょうか?
「転機となったのは、2016年に藤田観光の技能コンクールに参加させてもらったことです。当時の私はまだ、土日のバイトでしたが、予選を通過したあと、全国からホテル清掃のプロである方々が集った本選に出て、施設部門ベッドメイクでの優秀賞をいただきました。客室に入る瞬間から、お辞儀や挨拶など、いかに人に見られているのかを意識できたという点は、サービス業をしてきた視点が活かされたのかもしれないです。」
―バイトでいきなり優秀賞を受賞という点がすごいですが、さらに翌年も施設部門ハウスキーピング審査員特別賞を受賞されています。
「ただのバイトだった私を参加させてくれた当時の上司には本当に感謝しています。その賞をとった後、起業をしましたが、2年目も賞をいただけたのはありがたかったです。」
接客業の経験と日頃のアレンジ術が起業につながった
―仕事に向き合う上で、常に環境を良くしようとする意識が働くのではないかと。
「私自身、仕事や家事で、アレンジをすることがすごく好きなんです。『前例がない』という言葉がありますが、そもそも前例って何だろう?と思ってしまう。仕事をしてきたなかで、やはり古い体質の会社もありましたが、例えばDM1つとっても、それってちゃんとお客様の目線で見ているのだろうか?と考えたりもしました。そういう時、『こういうやり方もあります』と、アイディアを出したりします。」
―そのアイディアが、お金に結びついたわけですね。
「例えば、家事においてもやりづらいなと思うことがあれば、改善します。それは、自分自身が手抜きをしたいというよりは、ショートカットして負担を軽くしたい、もっとやりやすくしたいという想いが根底にあるのかもしれません。改善することで、両方がハッピーになれるのならいいのかなと。」
【まとめ】自分が興味を持ったものがビジネスに発展する
西山さんがホテル清掃に興味を持ったのは、テレビドラマがきっかけでしたが、自分がやりたいと思ったらちゃんと行動に移せるというフットワークの軽さも素晴らしいと思いました。また、やってみて面白ければ、とことん追求していく姿勢だけではなく、いろんなことを創意工夫し、自分なりにアレンジするという点が、ビジネスにつながった気がしました。
そんな西山さんですが、結婚と出産とプライベートでもビッグウェーブがやってきたようです。次回は彼女がその大波にどう乗っていけたのかを伺います。