食生活アドバイザーが活躍できる仕事とは。難易度や試験内容を確認
食生活アドバイザーとは
近年、「食育」という言葉をよく耳にしませんか。食べることは、全ての人にとって欠かせないもの。健康的で活気のある豊かな人生を送るためには、よりよいものを食べていきたいものです。食生活アドバイザーは、幅広い食の知識を身に付け、さまざまな場所で活躍できる「食のスペシャリスト」です。
食生活アドバイザーの資格取得を推奨している企業も増えています。もちろん、家庭でも役に立つこと間違いなし。資格を持っておくと、今後の家族の健康促進や転職、昇給などの可能性も広まっていきます。
食生活アドバイザーの仕事内容
食のスペシャリストとなる食生活アドバイザー。活躍できる仕事とはどのようなものなのかチェックしていきましょう。
食品売り場で食材の提案
食生活アドバイザーは、食に関する幅広い知識が必要となります。その知識を生かしてスーパーやデパートでお客様への商品説明や、旬の食材をよりおいしく食べるために調理法を提案するなど、さまざまな提案をすることができます。
近年、不規則な生活をくり返すことによって食生活が乱れ、糖尿病や高血圧症などの生活習慣病が増えていることが社会問題となっています。生活習慣病によって一番大切なことは食事療法となるため、食事と社会生活についての知識を利用して、そういった人たちの食生活のアドバイスを食品売り場ですることも、大切な仕事になるのです。
また、品物の温度管理などの知識を生かして、安心、安全で新鮮な品をお客様に届け、その食材を利用したレシピ提案などの販売促進のアドバイスをおこなうことができるようになります。
飲食店での食材管理
食生活アドバイザーは、もちろん飲食店でも活躍できます。メニュー考案、レシピ作成や食材を調達し適切な温度などでの食材管理もおこなえるようになります。食生活アドバイザーには、3級と2級がありますが、どちらも取得することにより、店側、お客様の両視点から店舗運営に関する提案もできるようになります。
飲食店では、衛生管理が必要不可欠なため、そういった助言も食生活アドバイザーの知識を生かしておこなえるようになるでしょう。飲食店で働いている人も開業している人も必ず役に立つ資格といえるでしょう。
医療施設で健康メニューの考案
健康な生活を送るために栄養管理のアドバイスや、食文化などについても知識を身につけている食生活アドバイザーは、介護施設や医療の現場でも活躍できます。これまでの生活習慣を取り入れ、健康的でおいしい食事の提案や一人一人の体調、症状に合わせた健康管理や食事などの助言ができるようになります。栄養士や調理師の資格を取得してさらに食生活アドバイザーの資格を取得する人も多くいるようです。
食生活アドバイザーの資格だけではなく、医療や介護の資格を持っているとさまざまな疾病や症状に合わせて食生活の提案などができるようになり、スキルアップに繋がります。食生活アドバイザーは、食文化や行事の知識も身につくため、イベントごとの行事食を提案し、楽しくおいしいという幸せな雰囲気のなかで食事をしてもらう環境作りもできるようになるでしょう。
食品メーカーで商品開発
近年、多くの食品メーカーでは、食について正しい知識が身につく食生活アドバイザーの資格取得を推奨しています。食事だけではなく食材、食品の知識を身につけられるため、商品開発のポイントになったりするのです。
また、3級2級と両方取得しておくと、消費者目線や提供する側の目線から食について理解でき、マーケティングプランや販売促進の提案もできるようになるでしょう。食中毒にならないために温度などの衛生管理方法や、流通や物流についても食生活アドバイザーとしての知識を発揮し、活躍できるのが食品メーカでの仕事です。
食生活指導の講師として独立
食のスペシャリストとよばれている食生活アドバイザーは、さまざまな実務経験を経て、食生活指導の講師として独立し活躍できる資格です。日本では、「食育」が課題となっていて、正しい食の情報を通して心身の健康を維持・向上させ、一人一人の生活・生き方の手助けをする立場となる食生活アドバイザーのニーズは、年々高まっています。
安心、安全な食事を求める声が多いなかで、食のさまざまな知識を持っている食生活アドバイザーは、コンサルタントとしての活動や勉強会、セミナーなどで多く活躍できるといえるでしょう。そのために、まずはしっかりと知識を身につけ、実務を経験しながら食生活指導講師として独立するキャリアプランを立てていきましょう。
食生活アドバイザー試験の概要
食生活アドバイザーの試験には、受験資格が必要なのか、試験会場はどこにあるのかなど概要を解説していきます。
2018年の試験日は7月8日と11月25日
2018年度の食生活アドバイザーの試験日程は、第39回にあたる7月8日(日)と、第40回の11月25日(日)です。第39回は、願書の受付期間が5月25日(金)までで、受験票発送が6月28日(木)到着予定です。合格通知の発送が7月30日(月)となっています。
第40回の願書締め切りが10月12日(金)まで、受験票発送は、11月15日(木)、合格通知発送は12月21日(金)となります。詳しく知りたい場合は公式サイトをご覧ください。試験を受けてから約1カ月ほどで合格通知が発送されるため、比較的早く結果を知ることができます。
試験時間は90分
試験時間は、2級も3級も90分間です。同じ日に午前と午後に分かれて試験が開催されます。栄養と健康、食文化と食習慣、食品学、衛生管理、食マーケット、社会生活が出題科目で2級も3級も共通しています。
解答し終えて、時間が余った場合は、40分を過ぎれば退室してもよいといわれていますが、その都度変わる可能性もあるため確認してください。早く終われば、なんども見直し確認をしましょう。食生活アドバイザーの資格のニーズがどんどん高まっているため、今後試験内容や時間などに変更がでてくる可能性もあります。
受験料は3級4,700円 2級7,300円
資格は、現在、2級と3級のみで1級は存在していません。受験料は、2級7,300円で3級4,700円。一つずつ受けることももちろんできますが、3級は午前、2級は午後と同日に試験をおこなうため、併願も可能です。2級3級併願の場合は、受験料は12,000円になります。いずれも税込です。
3級は、50問の5択選択のマークシート方式で出題されます。1問2点で100点満点です。2級は、42問の6択選択のマークシート方式と記述筆記問題が13問出題され、マークシートは1問2点、記述筆記は1問3点で、123点満点となります。
合格基準が設定されている
試験にはそれぞれ合格基準が設定されています。3級は60点以上で、問題が50問で30問以上正解で合格となります。2級は42問のマークシート方式で1問2点で合計84点。
2級には、記述の筆記問題が13問あり、1問3点で合計39点。全ての点数を合計すると123点となり、3級よりも少し複雑になります。2級も60%以上の点数、つまり74点以上で合格となります。3級にはない、記述の筆記問題が1問3点と高得点なため、しっかり対策をしておきましょう。
試験会場は全国に点在
試験は年2回実施され、試験会場も全国に点在しています。札幌、仙台、東京、大阪など14箇所で実施されていますが、試験会場は変更になったり増加したりするようです。試験会場へ行くときは必ず受験票を持参してください。
3級は午前、2級は午後からとなっているため、併願する人も1日にまとめて同じ場所で受験できます。試験日や試験会場は毎年変わります。公式サイトで願書を請求すると試験会場と試験日が記載されたものが届きますのでチェックしておきましょう。
栄養士や調理師でも免除科目はない
受験資格がなく、食に興味のある人なら誰でも受験することが可能です。2級も3級も合計点数の60%以上の得点を取ると合格となります。栄養士や調理師の資格を持っていたとしても、免除科目はないので注意してください。
3級の合格率は60%を超えていますが、2級の合格率は35%ほどですので、まずは3級取得を目指してみてはいかがでしょうか。また上記にも記載した通り2級、3級と同時に受験することも可能です。
食生活アドバイザーの合格率
誰でも受けることができる食生活アドバイザーの試験。では、合格率はどのくらいなのでしょうか。
3級が65%
食生活アドバイザーの3級難易度偏差値は37。比較的取得しやすい資格といえます。同じ難易度偏差値の資格は、惣菜管理士2級や認定子育てアドバイザーなど仕事にもプライベートにも役に立つ資格があげられます。
公式サイトでは、食生活アドバイザー3級の合格率は約65%といわれていますが、ユーキャンでは約58%。両方を平均すると約60%の合格率になっているため、2人に1人が3級に合格できるといえるでしょう。3級の試験は、5択選択のマークシート方式、解答もしやすく正解率も高いようです。
2級が35%
3級は、受験した半数が合格するといえますが、2級の合格率はかなり低めになります。2級の難易度偏差値は45になり、英検2級やフードアナリスト3級、高等学校卒業程度認定試験と同じ難易度偏差値になっています。3級に比べて難易度偏差値がレベルアップしていることがわかりますね。
公式サイトでは、食生活アドバイザー2級の合格率は35%、ユーキャンでは38%前後となっていて、2つの数字を比べるとあまり大きな差はみられません。しかし、3級の合格率が約60%だったのに対し、2級は平均しても40%に達しないので、2級合格は狭き門となるといえるでしょう。
合格率は実施回によって多少変動する
公式サイトとユーキャンの合格率を平均すると、3級は約60%、2級は約36%ほどでしたが、これはあくまで今までの試験の平均値となり、合格率は実施回によって変動します。
3級の第36回試験では、合格率約56%、第37回では、約48%、第38回は約54%となっています。第37回の試験では50%を下回っていますが、だいたい受験者の2人に1人が合格となっています。
2級の第36回の試験では、合格率約26%、第37回は約39%、第38回は約32%となり、3級の合格率に比べて大幅な差があり、しっかり勉強時間を確保し、知識を増やしておかなければ合格は難しいといえるでしょう。
食生活アドバイザー2級と3級の違い
食生活アドバイザーの資格には2級と3級がありますが、試験内容などにどのような違いがあるのでしょうか。
3級は食生活の見直しが目的
3級の概要は、消費者の立場に目線を向けてカリキュラムが組まれています。健康になるための3本柱、栄養、運動、休養の観点から健康管理の基礎を学んだり、おもてなしについて、スーパーなどでの買い物や食の安全性について学びます。
また、食中毒や環境問題について家庭の食卓をテーマに学習、社会の情報を日常生活の知恵にする方法、流通など小売の形態について、消費者目線から学ぶなどさまざまなテーマについてカリキュラムが組まれています。
2級は食ビジネスなどの実務的な内容
2級は、3級のカリキュラムと食を提供する側の目線でカリキュラムが組まれています。栄養と健康、食文化や習慣、食品学、衛生管理、食マーケットや社会生活について学習していきます。
食品学では、食品の期限表示や環境問題、安全性や遺伝子組み換え食品などについて、食マーケットでは、外食産業を中心としたサービスやメニューメイキング方法について、社会生活では経済と消費の仕組みについて勉強し、3級よりもビジネスなど実務的な内容になっているようです。
3級の試験開始時間は午前で2級は午後
試験は、7月の第2日曜日と11月第4日曜日の年2回実施され、3級の試験開始時間は午前、2級は午後になっています。いずれも試験時間は90分です。1日のうちに3級、2級と両方の試験が実施されるため、併願も可能となっています。
時間やお金に余裕のある人は、併願することをおすすめします。理由として、3級で学んだことは2級の試験内容にも入っており、7月と11月に分けて試験を受けるよりも一気に受けたほうが、2級を受けるために「3級のテキストを見直すところから始める必要はなくなる」からです。3級、2級と両方一度に受験することを検討してみてください。
3級は検定範囲が広い
3級は、3大、5大栄養素や消化と吸収、ダイエットや生活習慣病について栄養と健康に関する基礎知識が必要になります。次に郷土料理や旬について、食事や箸の使い方のマナーなど食文化や食習慣について、消費者目線で大切な加工食品の種類と表示について、食品マークの種類について遺伝子組み換えについて、食中毒、HACCPについてなど、細かく広範囲に勉強する必要があります。
3級はさまざまなテーマで、たくさんの用語などを暗記しなければなりません。最初はとても大変ですが、一度暗記してしまえば、2級の試験を受けるときにも3級の知識は必要になるため、しっかり学んでおきましょう。
2級のほうが合格難易度が高い
3級は、検定範囲がとても広いのですが、食生活アドバイザー2級のほうが合格難易度が高いのです。2級は、3級の知識プラス食を提供する立場から、食ビジネスの目線も試験内容になります。飲食店の経営管理や利益計画、流通や経営戦略など食マーケットに関する知識を身につける必要があります。
3級の試験は、50問出題され全て5択のマークシート方式ですが、2級の試験は「6択」のマークシート方式問題が42問、記述式問題が13問出題され、試験内容も3級よりハードであるため合格難易度が高いといえるでしょう。
3級の内容と基礎知識をしっかり身につけておけば、合格の可能性もあがるため、継続して勉強することがとても大切です。
食生活アドバイザーの勉強方法
資格取得に向けてどうやって勉強したらいいのかわからない人もいるかもしれません。食生活アドバイザーの勉強方法についてチェックしておきましょう。
食に関するニュースのチェック
日頃ニュースはチェックしていますか?今はネットもとても普及しているため、ネットニュースや雑誌、新聞などでも食に関するニュースはたくさんあります。ニュースをチェックしてみてわからない用語や単語がでてくればどんどん調べてください。
それが食生活アドバイザーの資格試験にでてくることもあります。また、食を取り巻く社会環境にもしっかりと目を向けることをおすすめします。たとえば、長時間労働によって調理時間が取れなくなり、外食などが増えていること。家族間で生活リズムにズレがあり、食卓を家族全員で囲む時間の減少や、脂質過多、野菜の摂取不足など食に関する問題があるのも現状なのです。
過去問題を公式サイトから申し込む
公式サイトから過去問題の教材を申し込むことができます。本屋やネット通販では、過去問題の教材は販売されていません。公式サイトでは、受験案内ともに過去問題集の申し込み用紙が送られてくため、活用しましょう。
過去問題集のテキストには、隅のほうに重要なことが書いてある解説が載っているため、しっかり読む必要があります。市販の問題集をいくつも購入するより、公式サイトでしか申し込みすることができない過去問題をじっくり解くほうが、合格に繋がる可能性が高いかもしれません。
公式のテキストや問題集を解く
勉強をしたいけれど、講座に通う時間もお金もないという人は多いかもしれません。その場合は、独学で学ぶことをおすすめします。食生活アドバイザーの公式サイトでは、公式のテキストが販売されています。3級は、1,800円+税、2級は2,000円+税となっていて一冊あれば、しっかりと食生活アドバイザーについて学ぶことができます。
また、試験にでる公式重要用語辞典などもあるため、気になる人は購入してみてください。書店などでほかの問題集などを購入して解くより、公式のテキストや問題集をしっかり理解することでより身になる勉強ができるでしょう。
協会が開催する合格講座に参加する
時間やお金に余裕のある人は、FLA協会が開催する合格講座に参加することで、より高い確率で合格を目指すことができます。1回ごとに作成された擬似問題集を使いながら、詳しい解説や出題傾向の把握など1日間で集中して学ぶ講座です。
受講料は、3級が12,000円、2級が18,000円。いずれも公式のテキストが必要になり、講座当日のテキスト販売はされていないため注意してください。食生活アドバイザー試験第38回の合格率は、3級が約61%、2級が約31%だったのに対し、合格講座に参加した人の合格率は3級、2級とも84~85%となっています。講座を受講することにより、合格率もとてもあがっています。
通信講座を受講する
合格講座に行く時間もなく、独学で勉強するのは少し不安という人は、通信講座をおすすめします。食生活アドバイザーの通信講座でもっとも人気なのは、ユーキャン。費用は、39,000円で受講期間は、3級2級合わせて4カ月間です。紙のテキストとデジタルのテキストがあり、スマホやタブレットでいつでもどこでも学べるようになっています。
さらに、3回の添削や勉強中にわからないことがあればメールや郵便によって質問でき、受講開始から最長1年間のサポートをしてくれます。また、ユーキャンでは教育訓練給付制度を利用すれば、費用の20%が支給されるためお得です。勉強に不安がある人は、ユーキャンで学ぶことを検討してみてください。
資格を取得して着実にスキルアップしよう
食に興味のある人は誰でも挑戦することができる食生活アドバイザーの資格試験。仕事にもプライベートにも役立てることができます。
小さな子供がいる人や大切なパートナーがいる人も食生活アドバイザーの資格を生かして自分はもちろん、周りも食を通して幸せになることができるでしょう。3級、2級と資格を取得して、食生活アドバイザーとしてより豊かな人生を歩みましょう。