パワハラの相談窓口や機関の探し方|悪化前に効果的な対処をしよう
パワハラをどこに相談すればよいかわからない
職場でのパワハラに対し、追い詰められてはいないでしょうか。パワハラ被害に遭っているなら、対策を行う必要があります。しかし、具体的にどのような対策をすればよいかわからずに、悩んでいる人もいるでしょう。実は、パワハラを相談できる公的な機関もたくさんあります。
また相談をすれば、助けてくれる人が周囲にいるはずです。どこの誰に相談すればよいか分かれば、パワハラに対して我慢することもなくなり、問題解決に向かって歩きはじめられるでしょう。
パワハラを受けた場合まずは誰に相談すべきか
パワハラを受けた際に、誰に相談するべきかを理解しておく必要があります。その際、話が外にもれないよう、本当に信頼できる人に相談することが大前提です。
身近な家族や友人に相談する
会社の人間関係に関係のない身近な人は、相談すべき第一候補です。まずは、家族や友達に相談するとよいでしょう。家族や友達だと、一緒に怒り共感してくれます。
パワハラ被害について、誰にも話ができずに我慢を続けると、爆発する危険性が高まります。誰かに話を聞いてもらえるだけでも、心が休まることは多いです。本当に信頼できる家族や友人に、自分がどのような状態で、どんな心境なのか話を聞いてもらいましょう。
会社の同僚または上司に相談する
会社の同僚や上司も、相談相手の一人です。もちろん、信頼できる人でなければなりません。ワンマン社長や、上司がパワハラの加害者の場合、自分以外にも加害者がいる場合もあります。
同じくパワハラ被害にあっている立場の同僚がいたら、仲間になってくれる可能性が高いです。一人では弱くても、集まれば大きな力になるでしょう。
例えば、パワハラの加害者が直属の上司だったとします。その場合、直属の上司よりも、立場が上の人に相談することが大切です。もし、所属外の部署で、立場が上の人間にパワハラを受けているなら、加害者が所属している上司に相談するのもよいでしょう。すると、適切な対処をしてもらえる可能性があります。
ただし、直属の上司とその上の上司の関係は、慎重に見極めなければなりません。パワハラをなくしてもらおうと相談したのに、今度は相談相手も加わって、二人から攻撃を受ける可能性があるからです。
会社に設置されている相談窓口に相談する
会社にコンプライアンス窓口や、ハラスメント窓口があれば、そこに相談しましょう。パワハラなどのハラスメントに関する問題は、社会的にも広く知られるようになりました。ハラスメントが、日常茶飯事となっている状況が外に漏れれば、企業自体の信用問題につながります。
あの会社では、パワハラが横行しているとなれば、顧客離れも否定できず、企業自体が揺らぐ問題に発展します。このことから、企業もパワハラに関しては神経質になっているのです。相談窓口が設置されているなら、選択肢のひとつとして頭に入れておきましょう。
会社の人事部に相談する
職場内でのパワハラに関する問題は、人事部が対応してくれる場合もあります。人事部は、採用や異動に関する業務を担当する部署です。他にも、労働時間や勤怠管理、人員計画、社会保険や福利厚生など、多くの仕事を担っています。その中には、左遷や降格など個人の処遇も含まれているのです。
人事に相談することでパワハラが問題となり、上司が違う部署に異動となるケースも。ただし、その際には注意点があります。人事部は、会社の一部署ということです。そのため、会社の都合を優先させる傾向があります。状況によっては、希望が叶えられない場合もあることは、忘れないようにしましょう。
ただし、被害者がどのような状態かによっても、対応が変わる可能性もあります。うつ病や自律神経失調症といった、病気の診断書が出ている場合、企業イメージを考える必要があるため、人事部も無視はできないでしょう。
自分が壊れてしまう前に、逃げる勇気を
誰かに相談をして解決すればいいですが、かえって悪化するリスクもあります。朝、会社に行くのがつらい、なかなか起き上がれない、頭痛吐き気など心身に不調が出始めているなら、一刻も早く仕事を辞めるのも一つです。
パワハラを受け精神的にコントロールされていると「私が悪い…」「私がもっと頑張れば…」「他に雇ってくれるところなんかない…」と自分を責め、会社に長く居続けてしまう傾向にあります。一度、カラダや精神を壊してしまうと立ち直るまでに何年もの時間を要してしまいます。
人生を無駄にしないためにも、時には辞める勇気も必要です。
上司が怖い、会社に辞めると言い出せない人は、退職代行というサービスもあります。一度相談してみてはいかがでしょうか。
パワハラの定義パワハラとは
職場におけるパワハラ、つまりパワーハラスメントには定義があります。
これがパワハラの定義です。平成24年3月に「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」で、取りまとめられました。特徴は、「職務上の地位、人間関係における職場内での優位性を背景にした行為」と具体的に定義されていることです。
ただし、「業務の適正な範囲を超えて」という文言には留意しておきましょう。これは、業務を行ううえで必要な指示、注意、指導は、パワハラに当てはまらないことを示しています。
パワハラの6類型の紹介
パワハラに該当するものとして、次の6類型があります。パワハラ被害にあっていると感じている人は、自分に当てはまっているか、チェックしましょう。
1、暴力などの身体的な攻撃
叩く、蹴る、殴る、身体へ危害を加える行為は「身体的攻撃型パワハラ」です。職場での優位な立場を利用して、暴力などの身体的な攻撃を行うことが当てはまるでしょう。また、ものを投げつけるなども含まれます。
ものを投げつける場合、例え書類のような柔らかいものであっても、関係ありません。投げつける行為そのものが威嚇になるからです。このような行為や態度で、立場が下の人間を従わせようという意図があります。
2、暴言などの精神的な攻撃
職場上の優位性を前提にした「バカ」「アホ」「のろま」といったさまざまな暴言も、精神的な攻撃としてパワハラになります。「無能」といった言葉も侮辱にあたり、業務を行ううえで必要な言葉でもありません。そのため、適正な範囲を超えたパワハラとなります。
このようなパワハラの場合、他の同僚がいる前でわざと行い、恥をかかせることも含まれます。また、その状況を目撃した周囲の人間が、怯えることも多いです。結果、職場内の雰囲気が悪くなります。
3、無視などの人間関係からの切り離し
仲間外れや無視なども「人間関係からの切り離し」というパワハラとなります。他の部屋に、一人だけ席を置かれる隔離も当てはまるでしょう。会社で孤立することで、精神的に追い詰められます。
一人だけ忘年会や送別会に呼んでもらえない、話しかけても無視をされるなども含まれるのです。会社や部署ぐるみで行う無視は、仕事をスムーズに行うためには必要ありません。
4、できない仕事をさせるなど過大な要求
明らかに、できない仕事をさせることもパワハラです。個々の能力はそれぞれ異なります。ただし、明らかに1日では終わらせられない量の仕事を強制する、優先しなければならない仕事の妨害をするような行為は、パワハラに該当するでしょう。
さらに、懲罰やみせしめ、明らかに能力や経験が不足しているのに、困難で無理な指示を出し、業務を行わせることも、過大な要求としてパワハラに当てはまるのです。
5、能力以下の仕事を与えるような過小な要求
過大な要求とは逆に、能力以下の仕事を行わせることもパワハラになります。業務上の合理性があるかないかも、判断のポイントです。
わざと仕事を与えない、本来の業務は営業なのに、1日中、窓拭きを行わせる行為などがあげられます。さらに数日、数カ月も続いているような状況も、パワハラかどうかの判断材料です。
6、私的なことに立ち入るような個の侵害
私的なことに対して深く立ち入りすぎることも、パワハラとみなされます。例えば、有給休暇で、誰とどこへなにをしに行くのかなど、根掘り葉掘り聞くような行為です。その理由で、有給休暇を認めないとなれば、立派なパワハラとなります。労働基準法では、休暇の理由を申し出る必要はありません。また、携帯電話やロッカーなどを、勝手に見るなども当てはまります。
交際相手について、しつこく質問する行為も問題です。また本人だけではなく、家族への中傷や、人格攻撃も当てはまるでしょう。これらの行為は、会社の業務と関係ありません。そのため「個の侵害」というパワハラとなります。
内容次第で刑事上の責任や民事での損害賠償がある
パワハラはあくまで会社内のことで、被害者に謝罪をすれば、それで解決と考える人もいるかもしれません。しかし内容次第では、暴行罪や脅迫罪、侮辱罪などが適用されることもあります。
暴行罪などに関しては、刑事上の責任が問われることもあるのです。民事上では、損害賠償責任を問われることも少なくありません。
パワハラを社内で相談するメリットとデメリットについて
パワハラを相談する場合、社内も対象に含まれます。ただし、部署内で相談する場合、メリットとデメリットもあるので、慎重さと丁寧さが必要です。
メリットは状況をよく理解してもらえる
部署内で相談した場合、自分だけでなく、他にもパワハラを受けている人が見つかる場合があります。一人で訴えても、相手にされない場合も多いですが、他にもいるなら、パワハラへの悩みについて共感される可能性があります。また、上司などに相談する場合、一人より複数のほうが、適切な対処をしてもらえることが多いです。
それでも企業が対応してくれない場合もあります。そのときは、パワハラを受けた人たちと、集団訴訟を起こすことも可能です。一人より説得力が増して、パワーも大きくなります。
集団訴訟
他にもパワハラ被害に遭っている人がいたなら、被害者の会を設立することを検討してもよいでしょう。その際には、ホームページを作ったり、会員とやりとりしたりなどを行わなければならず、手間はかかります。また、弁護士との相談も行う必要もでてきます。ただし、相手が企業という大きな存在となれば、大きな力になることは必然です。
デメリットは状況が変わらない場合もある
パワハラ加害者が、企業内で高い地位にいる人だとします。その場合は社内で相談しても、まともに対応してもらえないことも多いです。
相談される側としても、自分が巻き込まれる、加害者に敵視されることを避けようとします。助言により加害者と人間関係を悪くしないと考えることは、自然なことでしょう。そのため、当たり障りのない対応に、終止するだけという場合も少なくありません。
社内の相談窓口に相談した場合
社内の相談窓口に相談し、パワハラの疑いが高いと判断された場合、担当者は事実関係の聞き取りを行います。被害者の同意を得て、パワハラ加害者に話を聴くという流れです。そのとき、同僚にも話を聴くこともあります。
結果、パワハラの事実が認められると、加害者に重い処分が課せられます。具体的には、懲戒処分、配置変換、謝罪などがあげられるでしょう。
機能していない場合もある
相談窓口といっても、担当者の能力や経験に左右されることもあります。被害者の訴えに対し、よく調べずに勝手に判断するケースもあるのです。例えば、被害者側が勘違いしている、誤解だろうと一方的に決めつける場合があります。
担当者が被害者の了解を得ることなく、自分だけの判断で、加害者に事実確認を行う場合もあります。また、加害者側がその話を周囲にもらして、部署内に噂が広まるケースもゼロではありません。そのため、ますます被害者が居づらくなる場合もあります。このように、担当者の力量次第で、相談しても無意味なことがあるのです。
社外の機関に相談するメリットとデメリット
パワハラについて、社外の機関に相談する方法もあります。社外機関に相談するメリットやデメリットには、なにがあるでしょうか。
メリットは会社の人に知られなくて済む
会社にも相談窓口はあります。ただし、相談窓口から情報が、上司に知られてしまう危険性があることは無視できません。告げ口をしたと逆恨みをされ、被害がエスカレートする可能性もあるでしょう。
しかし、社外機関は会社とは関係ないので、会社の人間に伝わたる可能性は低いです。そのため、素直に自分がされたこと、気持ちなどを伝えられます。
会社についての理解が薄い
社外機関に相談しても、完璧に対応してくれるとは限りません。まず、会社への理解不足があるからです。同じ会社の同僚なら、社内事情もよく知っているでしょう。また、風土や文化も理解しているはずです。しかし、社外機関は被害者の訴えからしか情報を得られません。被害者の状況がどういうものか把握するのに、時間がかかります。そこで、イライラしてしまう人もいるでしょう。
中には、親身になってくれる相談員もいます。ただし、熱心に相談に乗ってくれない相談員に当たると、話が噛み合わずに、解決から遠ざかる場合もあるのです。社外期間はひとつだけではなく複数あり、担当者もさまざま。よって、ひとつの社外機関が合わなければ、他の機関に相談してみるのもよいでしょう。
主なパワハラ相談窓口の紹介
同僚や社内の相談窓口で相手にしてもらえないなら、パワハラに対応してくれる相談窓口を利用してみましょう。それがきっかけとなり、突破口が開ける場合もあるからです。
親切丁寧がモットーのNPO法人 労働相談センター
- 受付時間 月曜~金曜の9時から17時
- メール相談は常時
NPO法人労働相談センターは、労働問題における労働者の相談に対応しています。電話やメール、面談による相談が可能です。パワハラだけではなく、いじめやいやがらせ、セクハラ、労働に関する問題の相談も対応可能です。
メール相談は、スタッフやボランティアが協力して行っています。また専門スタッフだけではなく、弁護士や、医師、産業カウンセラーも参加していることもポイントです。
【参照URL:NPO法人労働組合 作ろう!入ろう!相談センター】
厚生労働省にある総合労働相談コーナー
- 相談窓口の取扱時間9時から17時までです
- 有楽町総合労働相談コーナーは、9時30分から17時30分まで
- 土・日・祝日・年末年始 12月29日から1月3日は休み
- フリーダイヤル 0120-601-556
厚生労働省には、「総合労働相談コーナー」が設けられています。解雇や労働条件、いじめ、セクハラなど、あらゆる労働問題に関し、専門の相談員が電話や面談で対応してくれます。事案によっては、担当行政機関への案内も行っていることが特徴です。国の機関であり、心強い味方になってくれるでしょう。
【参照URL:厚生労働省 総合労働相談コーナー】
紛争解決手続きができるかいけつサポート
「かいけつサポート」という認証紛争解決サービスがあります。これは法務大臣による、裁判紛争解決手続の認証制度です。メリットは、時効の中断が認められることでしょう。
労働に関するかいけつサポートで相談できる内容としては、賃金の未払い、各種ハラスメント、職場環境や解雇、退職までさまざま。利用する価値はあるでしょう。
【参照URL:かいけつサポート】
法務省のみんなの人権110番
- 受付時間 平日8時30分から17時15分まで
法務省では、「みんなの人権110番」という、全国共通人権相談ダイヤルが設けられています。パワハラだけでなく、差別、虐待も含め、人権問題に関する相談を受け付けています。電話をかけると、法務局や地方法務局につながり、法務局の職員や人権擁護委員が対応してくれ、秘密は厳守されるので安心です。また、法務局や地方法務局、さらに支局では、窓口で面接での相談にも対応しています。
【参照URL:法務省みんなの人権110番】
パワハラ訴訟を考えている場合
パワハラの被害に遭い、上司に相談したり、人事部にかけあったりしたけれど、まったく相手にしてもらえないことも少なくありません。精神的に大きなダメージを受け、病院に通う羽目になる場合もあります。
我慢できず、企業や上司に対し、訴訟を検討する段階に進んだ人もいるでしょう。そうなると、次は弁護士や公的機関に相談しなければなりません。
法律に詳しい弁護士事務所
弁護士に相談することで、パワハラが停止する場合もありますし、損害賠償請求も行えます。パワハラについて、上司や人事部に相談しても、問題の解決どころか場合によっては、エスカレートする危険性も無視できません。そうなると、パワハラの加害者と被害者だけの話ではなくなります。
事実として、パワハラによる企業への訴訟が発生した例は少なくありません。弁護士に相談すれば、企業も無視はできないでしょうし、パワハラについて企業と対等に協議や交渉を行えます。暴行や侮辱などがあれば、刑事告訴も選択肢に入り、被害届などの手続きも代行してもらえるのです。また裁判の結果、パワハラと認められれば、損害賠償金も得られる場合もあります。
費用を抑えたい場合は法テラス
弁護士にいきなり相談することは、ハードルが高いと考える人もいるでしょう。実際、弁護士に相談する場合、30分で5,000円もかかる場合があり、経済的な負担も大きいです。それなら、「法テラス」にまずは相談してみましょう。
法テラスでは、3回までの相談なら無料で、4回目からは有料です。また予約制なので、相談時間を簡単に延長できません。それでも、本格的な弁護士への相談を考えるなら、まず法テラスで話を聞いてもらってもよいでしょう。パワハラに強い弁護士を紹介してもらえるからです。
証拠をそろえる必要がある
パワハラは、被害者が訴えれば、すぐに認めてもらえるものでもありません。逆恨みなどで「あの人にパワハラをされた」と言って、そのまま認められるのであれば問題です。被害者の誤解がある可能性も否定できません。そのため、パワハラでは証拠が常用視されます。
裁判官は、客観的な事実を重視するからです。裁判所は法律に則って判断する、中立的な立場なので、証拠がなければ判断ができません。したがって訴訟を検討するなら、証拠集めを必ず行いましょう。
証拠になるもの
録音などが、一般的によく使われる証拠のひとつです。ICレコーダーや携帯電話の録音機能などで、音声による記録を残せます。
他にも、パワハラを受けたら、その時にノートやメモ帳に記録することも有効です。ただし、内容だけではなく、いつ、どこで、誰が、どんなことを言ったか、なにを行ったか、そのことに対しどう思ったかなども、文字で記録しましょう。このような証拠があるかないかで、訴訟の結果も大きく変わります。
健康やメンタルヘルスに関する相談
パワハラでは、健康やメンタルにダメージを受けることも少なくありません。そのダメージは、会社を辞めたとしても続くことが多いです。健康やメンタルヘルスの問題が生じているなら、専門機関に相談することをおすすめします。
心の悩みを相談できるこころの耳
こころの耳は、厚生労働省委託事業として、一般社団法人日本産業カウンセラー協会が受託し、開設されたポータルサイトです。職場のメンタルヘルスへの対策、過重労働や、事業者、労働者だけではなく、家族に対して、正しい情報を提供するための基盤整備も行っています。
パワハラによってひどく傷ついた人のために、メールや電話などで悩みを相談できる、相談窓口などを紹介してくれます。支援を受けたくても、どのような機関で取り組んでいるかは分からないものです。そのような悩みを解消するために、心の耳があります。
診断書を出してもらえる病院
パワハラや職場いじめで体調を崩した場合、口頭で訴えても、企業は相手にしてくれません。声を届けるためには、客観的な証拠が必要です。その中に、病院からの診断書があります。
診断書を得るためには、医師に事情を説明しなければなりません。パワハラ行為で症状が出ていることを、診断書に記載してもらう必要があるのです。診断書を出したことで、企業もようやく重い腰を上げるしかなくなります。
さらに、労災認定を申請する際にも、治療日数や、医師の証明印が押された診断書が必要です。パワハラで心身の不調が生じたら、まず医師に相談してみましょう。
パワハラで労災を得る方法
パワハラで労災を得られるかどうか、不安な人もいるでしょう。労災といえば、業務中にケガをした、現場環境が悪すぎるため、病気になったなどがあげられます。上司や、任せられる仕事量が原因で体調を崩したケースなどは、職場環境に関する内容です。パワハラにより心身共に体調を崩したら、職場環境に該当するため、労災認定を受けられる可能性があります。
パワハラによる労災認定の基準
パワハラで、労災認定を得る基準は三つあります。ひとつは、精神障害を発症しているケースです。代表的な例が、うつ、心因反応、心因生涯、睡眠生涯。医学的な客観的判断によって、認められるかどうかが重要です。
また、心理的負荷による労災認定基準というものがあります。1999年に作成され、2009年に基準が見直された、「心理的負荷評価表」という基準に基づいた審査です。パワハラでは、心理的負荷評価表に基づき「発症前おおむね6カ月の間で、業務によって心理負荷があったかどうか」が審査されます。強い心理的負荷が認められるかどうかについては、労働基準監督署の調査により判断されます。
パワハラで労災認定されるには
労災保険の給付に関しては、申請を行い、労働基準監督署長に認定してもらわなければなりません。会社は労災申請することはないので、被害者が自分で申請する必要があります。
本人や家族が労働基準監督署へ出向いて請求をし、労働者労働災害保険証書をもらわなければなりません。この書類には、五号、七号、八号があります。そこに住所や氏名や、事件の状況など必要事項を記入し、労働基準監督署へ提出します。
次に、診断書をもらう必要があります。診断書には、会社の押印や労働保険番号の記入が必要です。
しかし、会社側が簡単に認めることは少ないでしょう。精神的な治療のために、病院で受診しているなら、治療日数と医師の証明印が入った診断書をもらいましょう。五号用紙は病院に提出、七と八号用紙は労働者労働災害保険請求書とともに、労働基準監督署へ出します。このとき、会社側の欄は空白だとしても、申請は受理されます。
パワハラを相談できる機関はいろいろある
パワハラは、社会的な問題として深刻化しています。パワハラの被害に遭っていても、誰に相談すればよいかわからず、一人で我慢している人も少なくないでしょう。しかし、それだと問題解決は永遠にできません。
もし問題解決を考えるなら、自ら積極的に行動する必要があります。その助けをしてくれる機関は、社内にも社外にもあるのです。どんな機関があるかを理解し、一度は相談してみてください。一人の行動が、パワハラのない社会を作る助けになるのです。