歯科医師の気になる年収はいくら?勉強家の歯や口の専門医は高収入
歯医者さんの年収は?
「歯科医師」とひとことで言っても、その仕事内容や勤務形態はさまざまです。そのなかでも、まずはいちばん身近な「歯医者さん」である、病院に勤務されている「勤務医」と、ご自分で病院を経営している「開業医」の年収や月収について学んでいきましょう。
歯科医師の給料についてチェック
平均年収
歯科医師のなかでも「勤務医」の平均年収は、厚生労働省の賃金構造基本統計調査では、800万程度となっています。
年代別にみると、30代で600万~750万、40代で800万~1100万、50代以降で1000万~1100万円で、30代から40代にかけては収入が順調に増えていきますが、40代~50代以降ではあまり変化がみられません。
これは、40代で開業される方が多くなるのが原因と考えられています。
開業医の場合は正確に平均年収を集計できないので、厚生労働省の医療経済実態調査報告の、1歯科医辺りの損益金額(売上から人件費などの諸経費をすべて引いた金額)になりますが、1歯科医辺り1200万~1300万円となっています。
また、公立病院の勤務医は公務員になりますので、難しいスキル等を身につけても、収入が大幅によくなるわけではありませんが、常に安定した給料をもらうことができます。
平均月収給料
歯科医師の平均月収は勤務医で平均60万円とのこと。開業医の場合だと、医院の経営状態にもよりますが、平均損益1200万~1300万円で考えると、単純計算で月収100万円以上になります。また、収入の多い開業医師ですと月収200万円になるそうです。
生涯年収
歯科医師の生涯年収は「年収ガイド」調べによると、男性歯科医師で2億6720万円、女性歯科医師は2億3160万6500円となっています。
これは勤務医の勤続年数から算出されているため、開業医は含まれていません。開業医で年収1200万円だと、単純計算でも30歳~60歳の30年間で3億6000万円になります。これ以上の収入を得ている開業医も、少なくないでしょう。
また、男性歯科医師より女性歯科医師の生涯年収が少ないのは、「男女格差」ではなく、平均勤続年数が女性歯科医師のほうが短いためです。
歯科医師は他の仕事とくらべて高い?それとも低い?
歯科医師は「給料BANK」によると530職業中54位で、茶道家・区会議員・データサイエンティストと近い給料となっています。ただ、基本的には勤務医の平均しか集計することができないため、開業医は含まれていません。
先に取り上げたように、年収1200万円で月収100万円ですと、いっきに25位まで上昇します。努力が実を結んで、月収200万円に到達できれば、10位になり内閣官房長官やJリーガーの平均月収より上になります。
しかし、勤務医でも530職業中の54位であれば決して低い順位ではなく、むしろ高い方になります。
歯科医師で年収1000万円は可能?
勤務医の場合は平均年収でみると40代で1000万円に到達します。開業医の場合は、歯科医院をうまく経営することができれば30代でも、年収1000万円を超えることもめずらしくありせん。
ただし、開業医になれば医師としてのスキルのほかに、経営者としての知識やセンスも必要になってきます。専門的なスキルを身に着けることができれば、勤務医にしても開業医にしても収入を増やすことができます。
特に開業医は、独自性を出していかないと経営は難しいといわれていますので、新しい知識やスキルを身につけるために日々の勉強は欠かせなくなります。
そのように、独自性をだして努力を続けている開業医のなかには、多い方で2000万円以上の収入を得ている方もいるようです。
ですので「歯科医師で年収1000万円は可能か」は、Yesです。開業医であっても、勤務医であっても努力次第で年収1000万円は十分可能な職業です。
また、現在現役の歯科医師さんの過半数が50代~70代となっているため、これから20年でどんどん引退していくことが予想されます。
しかし、平均寿命が延びているために60代~80代の患者さんは増えていく一方です。1医院辺りの需要はますます増えていくものと推測されます。
歯科医師の仕事概要
歯科医師の仕事で一番多いのは、来院された患者さんの歯の治療です。虫歯や歯周病の治療や、その他の歯や歯茎などの口腔内に関する疾患の治療、およびその予防や、入れ歯や差し歯の治療もあります。
歯や歯茎だけではなく、舌やあごも病気治療も歯医者の仕事です。開業医になると、普通に歯科医院をやっていても、競争に負けてしまうので、歯並びをよくする矯正やホワイトニングに力を入れている医院もあります。
子ども専門の小児歯科であれば、虫歯予防の指導や子どもの成長に伴う、歯並びやあごの矯正をおこなっていたりします。大きな病院の歯科口腔外科に勤務すれば、難しい手術もおこないます。
開業医になれば、歯科医師としての仕事のほかに経営も大事な仕事になります。経理や労務などの事務処理、スタッフの指導も大事ですし、患者さんをどうやって集めるかなどの営業方法も考えなければいけません。
それまで、勤務医で長年培ってきた歯科医師としての仕事のほかに、いままでと、全く違う仕事をすることになります。
歯科医師になるための勉強や資格
歯科医になる為には歯科医師免許が必要になります。歯科医師免許を取得するためには、歯科大学や大学の歯科部で6年間の教育を受けて、歯科医師国家試験に合格しなければいけません。
試験に合格して歯科医師免許を取得後は、研修施設の指定を受けた病院などで1年以上の臨床研修が義務付けられています。臨床研修が義務付けられたのは2006年4月からだそうです。
歯科医師国家試験は、例年だと1月か2月に2日間かけておこなわれます。試験を受けれるのは「北海道、宮城県、東京都、新潟県、愛知県、大阪府、広島県、福岡県」の主要都市となっていて、全ての都道府県で受けれるわけではありません。
ここ数年の歯科医師免許の合格率は以下の通りで、6年間勉強が必要な分合格率も高めです。
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
2017年 | 9618人 | 8533人 | 88.7% |
2016年 | 9434人 | 8630人 | 91.5% |
2015年 | 9057人 | 8258人 | 91.2% |
2014年 | 8632人 | 7820人 | 90.6% |
女性は働きやすい仕事なの?
歯科医師の男女比は、「男性医師8割:女性医師2割」となっていて圧倒的に男性歯科医が多いです。
しかし、20代の医師の比率は「男性医師6割:女性医師4割」となっています。これは、女性歯科医師が結婚や出産で現役を引退していくために、徐々に割合が少なくなっていくものと推測されます。
しかし、決して女性歯科医師の需要がないわけではありません。なぜなら、日本の人口は女性の方が昔から多く、患者には小さい子供もたくさんいます。
できれば、男性歯科医師より女性歯科医師の方が、女性の患者さんや小さい子供の患者さんは、緊張も少なく身をゆだねて、治療を受けることができるはずです。
ただ、引退したあと復帰する女性歯科医師さんが少ないのが現状です。開業医となって、ほかの歯科医師を雇用することができれば、出産等で一時的に現場を離れても、復帰することが容易となるはずです。
多種多様な仕事がある歯科医師
今回は歯科医師のなかでも勤務医と開業医を取り上げましたが、どちらにしても高収入を見込める職業だといえます。そして勤務医や開業医の他にも、大学や研究所での研究に携わっている歯科医師や、一般企業の商品開発に携わっている歯科医師もいます。
同じ歯科医師免許を取得しても、その後の仕事が多岐にわかれて、面白みのある免許です。歯科医師の免許を目指される方は、取得した後どうしたいのか、どんな仕事をしたいのかも確認しておくのも良いでしょう。
また、ひとつの方向に進んでも、常に新しい知識やスキルを身につけるために日々の勉強をこころがけましょう。