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【3】「やりたいことから、もう逃げない」その決意が世界へ飛び込む勇気を生んだ

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子どもの頃から海外に興味があったと話す久野さん。「バックパッカー旅行に行ってみたい」ととの思いがあったものの、自分自身にさまざまな言い訳をして一歩が踏み出せない日々を過ごしていました。大学卒業後は就職先で特に不満もなく働いていた久野さんですが、仕事と子育ての両立に苦労する先輩の姿を目の当たりにし、気持ちに変化が表れたのだそうです。悩んだ末、当時勤務していた会社を退職する選択をした久野さんの人生を変えたのは、書店で出会った1冊の本でした。

バックパッカーをしてみたいけれど、なかなか一歩が踏み出せない

——バックパッカーをされていたとのことですが、もともと海外に興味を抱いていたのでしょうか?

はい。親も若い頃にバックパッカーを経験しており、幼い頃から海外に興味を抱いていました。

——海外には何度も行かれていたのですね。

そうですね。しかし、バックパッカーではなく、大学時代に海外旅行へ行く程度でした。バックパッカー旅行については「お金がない」「時間がない」など言い訳をして実現できていませんでした。バックパッカーをしてみたい気持ちはあったものの、自分の中で踏ん切りがついていなかったんです。

——大学卒業後は海外に関わる仕事に就いたのですか?

いいえ。大学卒業後は、国内の企業に就職してOLをしていました。就職活動中に、自分なりにやりたいことを見つけて第1希望の会社に入社できたんですよ。入社後も運良く希望の部署に配属されて、大学時代に思い描いていた仕事に就くことができました。その会社では3年間、働きました。

先輩を通して、企業で働きながら子育てと両立を図ることの現実を知る

——お話を聞く限り、充実したOL時代を過ごされていた印象です。なぜ退職されたのですか?

就職してから3年ほど経った頃、「この仕事をこのまま続けていたらどうなるのか?」と考えた瞬間がありました。

——新卒3年目となると、それなりに仕事も慣れてきた頃ですよね。そのタイミングで何か思うところがあったのですね。

はい。当時、勤務していた企業では女性が活躍するチャンスが多くありました。管理職に就くこともできましたし、出産後は時短勤務が認められました。育休・産休も問題なく取得できました。私自身、「この会社であれば結婚しても長く働くことができる」と考えていました。

——女性が活躍できる環境が整っている点にも惹かれて入社を決めたわけですね。

はい。実際、身近にいた先輩女性が出産後、時短勤務に変わったんです。その先輩は保育園のお迎えがあるため、15時か16時頃に退勤。他の人たちは定時の17時頃、残業の場合は20時頃まで勤務することもありました。先輩は自分だけが先に帰ることに関して、常に申し訳なさそうにしていました。

——周りの人たちは、特に気にしていなかったわけですよね。

はい。先輩は何も悪いことはしていませんし、仕事もきっちりこなしていたので何も問題ありません。私は、先輩が常に申し訳なさそうにしているのが疑問でなりませんでした。そして、肩身の狭そうな様子の先輩を目の当たりにするうち、女性が企業に所属しながら仕事と子育てを両立するのは厳しいのではないかと考えるようになったんです。3年間、自分のやりたい仕事もできましたし、「もういいかな」と考えて退職を決意しました。

書店で出会った1冊の本が人生の転機を掴むきっかけに

——退職後、バックパッカーとして海外へ旅に出ようと考えたきっかけは何だったのでしょうか?

退職する際、一緒に働いていた人から「あなたは現実から逃げている」と言われたことです。私は、それまでの人生において何かを諦めるタイプではありませんでした。しかし、その時だけは、会社で働くことを諦める選択をしてしまったんです。厳しい言葉をかけられて悔しい思いをしたことで、「次に働く場所からは絶対に逃げない」と強く思いました。

——悔しい思いが自身を奮い立たせるエネルギーに変わったのですね。

はい。しかし、「次は逃げない」と決意したものの、退職直後の甘い考え方のままでは、転職したところで再び言い訳をして逃げてしまうだろうと考えていました。そこで、これまで言い訳をして逃げていたことで、最も大変であろうチャレンジを達成してから次の仕事に臨もうと決心しました。

——そのチャレンジがバックパッカーだったのですね。

そうです。「何をしようか」と考えていたとき、何気なく立ち寄った書店で世界一周に関する本を見つけたんです。本を見た瞬間、大学時代に何かしら理由をつけて行かなかったバックパッカー旅行のことを思い出しました。「行くなら今だ!」と思い、バックパッカーとして海外を巡ることにしました。

退職時にかけられた厳しい言葉が自身の弱さと向き合うきっかけに

久野さんは、バックパッカーの経験がある親御さんの話を聞き、幼い頃から海外に興味を抱いていました。自身もバックパッカー旅行へ行きたいと思っていたものの、何かと理由をつけては「行かない」選択をしていたと言います。新卒で入社した会社では希望の部署で、充実した日々を送っていた久野さん。しかし、仕事と子育てに苦悩する先輩女性の姿を見て、「退職」を選択しました。退職時、「現実から逃げている」と厳しい言葉をかけられた久野さんは一念発起し、ついにバックパッカーとして海外を巡る選択をします。「これからは、やりたいことから逃げない」と強い意志を持って生きる決意をした久野さんの未来とは。最終回は、久野さんの今後について掘り下げます。

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