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【2】人生の転機! 香りで社会とつながる道を進むと決意:小泉祐貴子さんインタビュー

インタビュー

仕事を続ける傍ら社会人学生として3年間大学に通い、博士号を取得した後、小泉さんへ大学講師としてのお仕事のオファーがありました。勤務していた会社でも非常に責任のある仕事を任されていた小泉さんは、悩んだ末、会社を辞めて、大学講師となる道を選び、その後起業しました。大きな転換期だったこの時期、小泉さんはどう考えていたのでしょう? 当時を振り返りながら、そのときの心境を語っていただきました。

香りのマーケティングを通して見た「世界」

―前回のインタビューで会社を退職したと伺いました。在職中の仕事はその後の起業につながっているのでしょうか?
もちろんです。香料会社に在籍していた時には、本当にたくさんの経験をさせてもらいました。香りの仕事というと、パフューマー(調香師)が頭に浮かぶかもしれませんが、香りを開発するチームには他にも、マーケッターやエバリュエーターという人たちがいて、香りのコンセプトを作ったり、最先端の香りトレンドを分析したり、消費者の目線から香りを評価して開発の方向性を導いたり、と様々な仕事をしています。香りはチームで作り上げていくのですが、背景にある様々なしくみを現場で体験していなければ、今の仕事には繋がらなかったでしょう。

―外資系特有の環境なども影響していますか?
大いに影響していると思います。仕事の進め方の自由さなどもありますが、特に、文化も考え方も違う世界中の同僚たちとチームとして仕事をしたお陰で、お互いにインスピレーションを与え合いながら、香りに対する情熱をシェアし、個人としても信頼できる仲間が世界中に大勢できました。それが自信にもつながっていたように思います。

―世界の中の日本を意識されましたか?
私は主にマーケティングをしていましたが、香りを通して、世界を俯瞰するような視点を学びました。私たちが普段よく使用する日用品のほとんどに香料が使われています。次にどういう香りを提案するかを考え開発に繋げていくのもマーケティングの仕事ですが、そのためには、この先、消費者たちが、これからの社会が、何を求めていくのかを考える必要があります。世界の市場を俯瞰すると、それぞれの国がリードできる分野、保守的な分野、が見えてきます。消費者の価値観が大きく影響するのですが、例えばグローバル企業のP&Gやユニリーバと、主に日本の消費者を相手とする花王やライオンとでは、メーカー側の戦略も踏まえた上で提案に求められるものが自ずと違ってくるのです。

フォーカスすべきは新しいチャレンジで得られるもの

―キャリアを捨てて、まったく新しいことを始めるのに怖くはありませんでしたか?
怖いと思うのは「失敗したらどうしよう。これを失ったらどうしよう。」という不安から来るのだと思います。新しいことを始める時にはもちろん不安もあります。けれども私はいつも、今までにないものを作り出せるというワクワク感の方が勝ってしまうんです。失敗することを恐れて縮こまっているよりも、たとえ失敗したとしてもチャレンジすることで得られるものの方がきっと自分自身を豊かにしてくれると思っています。

それに、キャリアは無くなるものではないと思うんです。一生懸命やってきたことは、確実に自分の中に残ります。一見繋がりがなくなるように見えたとしても、自分の中に蓄積してきた仕事のエッセンスは、いずれどこかで役に立つことがあるのではないでしょうか。

香りは私と社会をつなげる「窓」

―退職後、講師の仕事をしながら起業もされています。起業した理由を教えていただけますか?
前職では、ブルガリなどの日本でも人気の高い香水の開発をサポートしたり、スーパーやドラッグストアで存在感を示す日用品の大手メーカーに提案したり、生活者の価値観の変化を分析して最先端の香り創りに落とし込むような仕事をしていました。
とてもやりがいのあるものでしたが、一方で、大学講師をするためには、退職しなければならない。であれば、それをひとつの機会と捉えて、その頃芽生えつつあった香りビジネスの萌芽を応援してみようかと。
その芽はまだまだ小さくて頼りなかったので、今これをサポートしないと日本で香りの文化が広がっていかないだろう、それは悲しいことだと思ったんです。香りの世界の面白さや可能性に共感してくれる人が増えるのは私にとってとても嬉しいことですから。

―香りビジネスは育ってきていますね?
そうですね。私たちも、イベントやクリニックの待合いなどで香りの空間演出を依頼されることが増えてきています。最近ではゴルフ場でも展開しつつあります。
香りは私にとって、日本・世界を問わず、社会とつながるための大きな「窓」となっていることに気付いたので、焦らずに、ライフワークとして関わっていきたいと思っています。

≪まとめ≫起業して失敗する恐れではなく、得られるものにフォーカス

新しいビジネスを始めるのはワクワクするけれど、不安はつきものです。でも、不安にばかり目を向けてしまうと、前に進めなくなってしまいます。
小泉さんのように不安ではなく、挑戦して得られるものに目を向けると、自分の中にワクワクするエネルギーが生じて前に進む原動力になるのですね。
起業したいけれど、二の足を踏んでしまう方は、ぜひお試しあれ!

LITORA編集部

自分らしい生き方を見つけたい。大好きなものに囲まれる生活をしたい。暮らしや仕事、オシャレも美容も恋愛も“自分らしく心地よく”を軸に自分のライフスタイルに合わ...

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