医療系資格で人気。薬剤師の年収や仕事って実際のところどうなの
薬剤師の収入について
医療系の国家資格のなかでも人気があり、年収も比較的高いイメージがある薬剤師。収入や年代、職種別にも仕事内容が違います。詳しく見ていきましょう。
薬剤師の給料についてチェック
平均年収
まず薬剤師全体の平均年収については、2015年時点で約530万円となっています。
世代別にすると、20代:約370万円、30代:約490万円、40代:約620万円、50代:約690万円となっています。
しかし一言に薬剤師といっても、じつにさまざまな働き方があり、それによって年収にも大幅な差があることが大きな特徴です。薬剤師の主な働き方と平均年収を大きく分けると、下記のようになっています。
●調剤薬局薬剤師 (約450万~700万円)
●ドラッグストア薬剤師 (約450万~750万円)
●企業薬剤師 (約650万~1千万円)
●公務員 (約500万~800万円)
平均月給
続いて、薬剤師の平均月給についてです。こちらも2015年時点で、平均月収が約38万円、ボーナスは約70万円となっています。
男性と女性別に分けてみると、男性が42万円(平均年齢38歳)、女性が35万円となっています(平均年齢38歳)。
同じ平均年齢でも、男女で収入にかなりの差が出ているのことがわかります。
薬剤師の月収は、男女共に大体40代までは安定的に上昇し続けてそのあとピークを迎え、50代以降はゆるやかに下降していくという動きになっています。月収については、残業時間によっても大きく左右されるため、軽く参考程度にしておきましょう。
生涯年収
生涯年収については、簡単にいうと一人の人が働くことによって得られる生涯を通した収入の総額を意味します。一般的な会社員の人は22歳で就職し、60歳から65歳で定年を迎えることが多いでしょう。
一般的なサラリーマンの生涯年収は、2憶円から3億円といわれています。薬剤師の生涯年収は下記のようになっています。
女性.約1億9千万円
薬剤師の年収はほかの仕事とくらべて高い?それとも低い?
薬剤師の平均年収は、前述の通りですが、ほかの業界や同じ医療系資格者と比較してどうなのでしょうか。一般的な会社員の営業職の年収は、約350万円から450万円くらいとなっています。事務職はそれよりもう少し下回り、約300万円ほどとなっています。
同じ医療系資格と比較してみると、医師(勤務内科医)が約1千200万円、看護師が約480万円、助産師が約530万円ほどとなっています。
結果としては、高度な専門職ですから一般的な会社員よりは、全体的にやはり年収は高めといえそうです。しかし、医師は別格として、ほかの医療系職種と比較すると、あまり大きな変化はないかもしれません。
薬剤師で年収1000万円は可能?
薬剤師という職業で、年収1千万は可能なのでしょうか。結論としては可能といえます。「企業内薬剤師」など、大手調剤薬局チェーンのエリア統括の管理職の仕事になると、薬剤師としての知識やスキルはもちろんですが、複数の店舗の運営や売上アップのためのマネジメントスキルも要求されます。仕事の難易度はあがりますが、その分報酬もあがるというわけです。
そのほかに、通常の薬局薬剤師や病院薬剤師の求人のなかにもごく稀に、年収1千万円クラスの求人が存在します。例えば地方などで極めて薬剤師が不足しており、緊急で人材が欲しい場合に、高年収を提示するというケースです。
いずれにしても、高年収である以上、仕事や環境がとても厳しくなりますが、覚悟と勇気がある人は挑戦してみてもいいかもしれません。
薬剤師の仕事概要
薬剤師の働き方については、下記のものがあげられます。
1.調剤薬局薬剤師
薬剤師の最もメジャーな働き方です。調剤薬局で、近隣病院の医師が処方する処方箋に従い、適切にくすりを調剤するという仕事です。
特に最近では、医薬分業にともない、薬剤師にもサービス業としての仕事を求める動きが加速しており、薬局で患者と密接にコミュニケーションをとりながら、くすりの説明や飲み方のアドバイス、そのほかに日常生活のアドバイスなどを幅広く積極的におこなうことが求められています。ただ調剤室で薬をつくるだけでなく、コミュニケーション力が重要になってきています。
2.病院薬剤師
薬局薬剤師に次いで、薬剤師のメジャーな働き方のひとつといえるでしょう。薬局薬剤師との大きな違いは、薬局薬剤師が近隣の病院や診療所からの不特定多数の患者からの処方箋をさばくことが多いのに対し、病院薬剤師の場合は主に入院患者へのくすりについて携わるということです。
加えて、病院ではチーム医療ですから、医師や看護師などのほかの医療スタッフと連携をとりながら、ときにはその人たちへのくすりのアドバイスや説明もおこなうことが求められるため、ハードルは少し高めといえるかもしれません。
3.ドラッグストア薬剤師
病院からの処方箋に従って調剤する調剤薬局ではなく、ドラッグストアで売られている市販薬の販売に携わる仕事です。こちらは、販売しているくすりの説明や患者への適切なアドバイスが求められる仕事です。どちらかというと接客業としての側面が強い職種といえます。
4.企業薬剤師
具体的には、薬局の統括マネジメントや製薬会社のMR、新薬の研究や開発といったさまざまな仕事があります。製薬会社のMR(医療情報提供者)は大学の文系出身者が多く、薬剤師の人がなるケースはとても少ないのが現状です。
薬剤師の人で、そういった営業職にも関心がある人がいれば、企業側が歓迎してくれる可能性は高いといえそうです。
5.公務員
最後は公務員としての薬剤師の仕事です。具体的には、国立病院の職員、保健所や福祉センターの職員、麻薬取締官などがあげられます。
特に麻薬取締官は職務上くすりの専門知識が不可欠なため、薬剤師の人が就職する際に有利になっており、職員も半数近くが薬剤師の資格保有者という情報もあります。警察官と同じ権限を有する、特別司法警察職員として違法薬物を取り締まる特殊な仕事です。
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薬剤師になるための勉強や資格
2.薬剤師国家試験に合格する(毎年1回開催)
上記の2つが必須のプロセスとなります。
薬剤師国家試験のデータを調べると、近年では合格率は大体60~80%で推移しており、直近の2017年は71%となっています。一見ハードルが低い印象がありますが、以前は4年制だった薬学部が、平成18年からは6年制となっており、6年間みっちり勉強したうえでの合格率であるということを考慮する必要がありそうです。
女性は働きやすい仕事なの?
薬剤師という仕事は、女性が比較的活躍しやすい仕事といえます。理由としては、高度な専門職であり、出産や結婚で一度退職しても復職がしやすいこと、また転職がしやすいことが主にあげられます。
特に薬局薬剤師や病院薬剤師の世界では、約7割が女性となっています。ただし、企業内薬剤師となると、男女比はほぼ半々というデータもあります。男女別の平均年収については、男性が約570万円に対して女性が約470万円となっています。
薬剤師という仕事の魅力や今後の展望は?
今日本の企業全体が人材不足になっているなか、薬剤師業界も深刻な人材不足に直面しています。さらにこれから本格的な高齢化社会を迎えるにあたり、ますます薬剤師のニーズは高まっていく可能性があるといえるでしょう。
年収も魅力的な仕事だといえますが、薬剤師の資格は一度取得すれば年齢に関わらず生涯にわたって活かせる国家資格であり、その高度な薬の知識がこれからの日本にますます必要とされる社会的意義の高い仕事といえそうです。