不登校・適応障害でも自分らしく働ける! 強く生きるためのヒントとは?

【おすすめ】好きなこと・夢を追いかけた女性

LITORAでも執筆を行うWebライター・山口恵理香さん。14歳で不登校になり、適応障害と診断された彼女が、目標だった自身の書籍を刊行。そこで、山口さんに夢を叶えるまでに苦悩した話など、自分らしい生き方・働き方のヒントを語ってもらいました。

■プロフィール

山口 恵理香
1990 年、東京都生まれ。コラムニスト、Web ライター。
中学生時代に3 年間の不登校を経験、「適応障害」と診断され、引きこもり生活に。
大学卒業後、NPO に就職するが、わずか3 か月で退職。社会人経験ゼロ、人脈なしの状態から、自ら営業をかけ、Web ライターの仕事を確立させる。恋愛・ライフスタイルの記事を中心に、現在も人気女性向けサイトにて執筆中。人生のテーマは「瞬間を生きる」。金髪のグラデーションヘアとCHANELの赤い口紅がトレードマーク。

30 歳になるまでの目標だった、自身初の書籍を刊行!

ーこの書籍はどういう内容のものになっていますか?

「前半は不登校の経験を中心に書いています。14歳で適応障害という病名がついたときに、他人と体質の部分が違って、人よりも少し大変な思いをしてきたので、そういった部分を綴っています。後半にかけて、フリーランスになる方法やWebライターを目指す方に向けたノウハウをまとめています」

ーまさに山口さんの人生がつまっているんですね?

「そうですね、26歳の頃から準備をしていてようやく! 今年29歳になりますが、30歳を前に書籍化したいという夢が叶いました」

ー書籍の刊行はWebライターになってからの夢だったのですか?

「今まで経験してきたことを不登校で苦しんでいる方に伝えたいと思い、Webライターを目指しはじめました。不登校というのは社会的に問題になっていますし、適応障害などで悩まれている方も働けなくなるなど、大人の引きこもりになっている人も多いです。そこで、在宅でもできるWebライターという仕事を見つけ、悩んでいる人の選択肢を広げるきっかけになればと思ったんです」

ーそもそも山口さんはどうしてWebライターになろうと思ったのですか?

「私は大学を卒業した後に一度NPOに就職したのですが、満員電車に乗るのが難しかったり、パニック障害のような症状になってしまったりと、会社に勤めるというワークスタイルが体調的に困難で、3カ月くらいでその仕事を辞めてしまいました。そこで、体調のことを考えながら自分らしく働くためにはどうすればいいかを考えて、色々とインターネットで検索をかけているうちに、フリーランスという言葉を知りました。

でも、その時点ではスキルもなにもなかったので、唯一、書くということは自分にもできるかなと。その書くという仕事を少しずつ広げてみようかなと思い、Webライターにたどり着いていきました」

ー学生時代も含め、元々書くことがお好きだったんですか?

「いいえ。自分が得意としているから始めた仕事ではなくて、どうしようかと模索する中で書くことにたどり着きました。社会人経験がなかったこともあり、専門的な知識がないとできないものは難しいなと思っていて。今までの人生で感じたものを書こうと思い、恋愛系やライフハック系のものを書くことにしました。あと、純粋に書いていて楽しいと思えたものが、こういったジャンルだったというのはあります」

ー最初に書くというお仕事をもらうまでにはどれくらいかかったのですか?

「1、2年だと思います。最初は“在宅ワーク”で調べて、名刺の情報や画像をはめ込んだりするデータ入力のお仕事から始めました。こうやって自宅でできる仕事を始めたら、ライティングという仕事も入ってきたので、そこから営業をかけていきました。「3カ月なら……」 と言ってくださるところから実績を積み、少しずつ仕事が舞い込むようになりました。

Webライターという仕事があるというのを知りはじめてからは、どんどん自分から営業をかけて、書かせてくださいとお願いをしました。これが自分の仕事だと思えるようになったのは2年後、25歳のときだったと思います」

ーコネクションもなく、門前払いをうけることもあったかと思いますが、どういう点を大切にして、売り込みの活動をされていたのですか?

「最初は断られることがとても多かったです。でも、それはご縁がなかったとそのときは割り切って、いずれ必要なご縁だったら再び出会うというふうに思わないと前に進めなくて。そのかわり、うちでよければ! とおっしゃってくださった会社さんに対しては全力で仕事を進める、というのを最初の2、3年は続けていました。

今も仕事のことしか日々考えていないのですが、それぐらいこの仕事である程度成功する、目標を達成していくという覚悟ができはじめて、負けそうになっても悲しがっている場合じゃないと、奮い立たせてきました」

ーすごい原動力だと思うのですが、どういう思いで頑張ってこられたのですか?

「基本的に書く仕事や自由な働き方が好きなので、普通の働き方に戻れないという覚悟もあります。それに書籍まで出すとなると前に進むしかなかった。あと仕事がやはり好きなので好きを突き詰めたいと思いました。」

ーその“仕事が好き”というのはどういうときに思われるのですか?

「自分の感情を言葉にするのは、読者の方に向けて客観的に書いているようで、実は書くことによって自分が一番救われていたりする部分があります。記事の反響があって、書いてよかったと思えたりすることが生きることの支えになっています。

最近は読者の方からSNSなどを通じて、直接メッセージをいただくことが多くて。とくに同業者の方や、同じような適応障害に悩まれている方も多いので、続けていてよかったなぁと思います」

ーお仕事をフリーでやっていくなかで、セルフプロデュースとして意識していることはありますか?

「まず、SNSに絶対に愚痴を書かないと決めています。会社に属していないからこそ、いろんな仕事をしていくにあたって、なにか意思疎通ができなかったとしても、冷静に対処して落とし込むところまでが仕事だと思うので、途中で感じたりしたことをSNSに書くのはよくわからないなと。読者さんやいろいろな編集者さんなどが見ていると思うと、それは自分の可能性を狭める行為なので、絶対にしていないですね。

そのかわり、思ったことがある場合はメモに書くようにしています。辛いことは振り返らずに前を見て生きるようにする。今この瞬間を全力で生きているというのはありますが、なりたい未来を確実に設定して“今をどう生きるか”ということをいつも考えるようにしています。Webライターを始める前から、たとえば大学受験のときも実践していました。今回の書籍化も30歳になる前にと思って、具体的に行動してきましたし」

ーそうやって具体的に行動されるなかで、Webライターとしてやっていこうと決心が着いたのはいつ頃でしたか?

「もちろん最初は月10万円も稼げなくて不安がありました。ですが、少しずつ頑張って、その次は月15万円など目標を少しずつ上げていくようにしました。そして、ようやく軌道に乗り始め、書籍の出版を考え始めた3年程前に、当時お付き合いをしていた彼がいたのですが、仕事か彼かを選ぶ決断を迫られて……。その時に私は仕事を選びました。覚悟を持って、この仕事をやっていこうと、より決心が着いたのはあります」

ーそういった目標を持って意志を貫くことが苦手という方もいらっしゃると思うのですが、アドバイスはありますか?

「なにも目標がないという方もいらっしゃるかと思うのですが、ちょっとしたこと、たとえば買いたいものリストや行きたい旅先リストでもいいので、紙に書き出すなどして、ひとつずつこれを達成しましたという流れを作るのが大切だと思います。日々の積み重ねが自分の自信に繋がるかと思います」

photo by 臼井 みちる

ー最後に、この書籍を通してみなさんに伝えたいことを教えてください。

「不登校は当たり前の幸せが崩れてしまいます。学校に行くことも当たり前ではなくなりますし、適応障害も人によっては、当たり前に食べる、眠る、話すということができなくなってしまうものです。そうなったときに自分のことを責める人が多いと思うんです。そうじゃなくて“生きているだけで合格”というのをこの書籍から感じ取ってもらえたら嬉しいです。

あと、この企画自体が構想だけでも2、3年ぐらいはかかっておりまして。企画としてなかなか通らなかったのも精神的にキツかったのですが、ようやく形になり、みなさまのお手元に届けられるようになりました。少しでも同じような問題や悩みを抱える方の強く生きるためのヒントになれば幸いです」

他人と比べずにありのままの自分を受け入れる、その覚悟が運命を切り開く

今回の山口さんのインタビューを通して感じたことは、自分の弱みを責めるのではなく、弱みにしっかりと向き合うことの大切さでした。女性の生き方にも多様性が求められる時代。ありのままの自分を認め、受け入れるという覚悟こそが自分の可能性を広げる。そして、迷いながらも本当の意味で自分らしく輝き、運命を切り開いていく。それこそが、現代社会の中で、たくましく生き抜く術だと気づかせてくださいました。

(文/岩崎 利架 写真/LITORA編集部)

>>山口さんの著書はこちら<<

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岩崎 利架

元ファッション誌編集。テレビから出版を渡り歩き、海外セレブリティ、美容、グルメ、エンターテインメント、トレンド情報まで幅広いジャンルを網羅。普段使いからラグ...

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