私には高い能力なんてない。ただ行動しただけ【 起業した私だから話せること。#2 末本美乃里さん】
今回は、東京岩本町に拠を構える「整骨整体院RESET」の若き経営者、末本美乃里さんです。23歳で広島から上京して働くうちに起業を決意。若干26歳という若さで独立しました。どうして起業しようと思ったのか、起業した今、何を思うのか聞きました。
株式会社MINORIの代表取締役で、「整骨整体院RESET」を経営。広島県出身で23歳のときにリラクゼーションサロンの店長として働くために上京し、26歳のときに独立。お店は、貝殻などを埋め込んだ壁や優しい色合いで可愛らしい雰囲気があり、リラックスできる空間が広がる。元モデル・タレントという異色な経歴を持つ。
「整骨整体院RESET」(https://dotreset.com/)
以前は身も心もボロボロ。
自分らしく働くために起業を決意
-起業しようと思われたきっかけは何だったのでしょうか?
「実は一番大きなきっかけは、“今の環境を変えたい”という気持ちでした。このときは、“何か違う”“全然自分らしく働けていないな”と、違和感を覚えるようになっていました。
私はもともと広島県出身で、大学までずっとそこで過ごしていました。もともとモデルをしていた経験から交友関係が広いほうだったこともあり、23歳のときにリラクゼーションサロンの店長として働ける機会に恵まれて、上京しました。
今振り返ってみても当時は本当に大変でした。というのも、ほぼ休みがなく働き続けていたからです。店舗は深夜営業も行っていたので、長時間の勤務が続くこともしばしばで、身体も心もボロボロでした。そこで働く中で、違和感はどんどん膨らんでいき、“疲れすぎて自分が心から仕事を楽しめていない”と苦痛でしたね。大変だったな~(笑)。」
-普通は、といったら語弊があるかもしれませんが、職場を辞めたいと思ったときにはまず転職を考えると思うのですが、なぜ起業だったのでしょうか?
「サロンで働く中で、同時に“私だったらもっとこうしたい”という想いがあったこともあります。それから実は高校生ぐらいのときから社長になることへの憧れがあったんです。何になりたいとかではなく、ただ社長になりたかった(笑)。だったらせっかくの機会かもしれないから自分で会社を作れないかなと思うように。単純すぎますよね(笑)。
それからは、当時働いていたサロンが赤坂(東京)にあったのですが、土地柄、お客様の中には経営者の方が多かったので、私が起業を考えていることや、起業するためにどういったことが必要なのか、を聞きました。あらゆる企業の経営者の方々に直接教えていただけたことは、ありがたかったですね。
すると、その中に出資をしてくださるという方が現れたんです。もう本当に嬉しかったです。それで入社から2年半ほどだった26歳のときに起業を決意しました」
出資話が流れてしまう!
血眼になって投資家を探した
「資金の目途が立ったので、一緒に働きたいスタッフを見つけて声をかけて回りました。『このタイミングでお店を開きたいから、ここまでに今の職場を辞めてほしい』と説得をして、私も起業のための準備に取り掛かろうとしていたとき、急にその出資話が流れてしまったんです。このときは“ヤバイ!”と、本当に焦りました。
まずは、親戚に頭を下げに行きましたが、思うようになりませんでした。
すでに声をかけていたスタッフの顔が浮かび、もう必死になって探しました。その中で、投資家さんと起業家を結ぶマッチングのサービス『グッドエンジェル』を見つけたんです。ここで出会った投資家さん3名と直接お会いして事業計画を説明し、そのうち1名の方から出資をしていただけることになり、無事に起業へと進めることになりました。
出資していただいた方が、『その金額ならば悩まず出せる』と、初対面のその場で資金を振り込んでくださったんです。かっこよかったです!!
ちょうど出資話が流れて1週間後くらいの出来事です」
-出資話が流れてからたったの1週間ですか!?早いですね!
「そうですね。あのときは、とにかく焦っていたので必死でした(笑)。特にスタッフたちの生活を一新に背負う責任がかかっていたのが大きかったですね」
私は有能でも何でもない
ただ行動しただけ
-ところで、スタッフの方々への説得は、大変ではなかったのですか?
「それが、全然大変ではなかったんです。独立の話をして来てほしいとお願いをすると、みなさん軽々と『いいよ!』と二つ返事で、逆にあっけなかったくらいです。
私は昔から特に何かに秀でているタイプではないのに、どうしてなのかと疑問に思って聞いたことがあったんです。すると『あなたは行動力がすごいから、どうにかなりそう!だからついていくんだよ』と言ってもらえたのは、とても意外でした。
自分では、そんな風には思ったことがなかったのですが、言われて初めて“そういえば、思い切りだけはいいほうだな”と気が付きました」
開業したのに周りには競合店が!
方向を急遽シフトチェンジ
-それからはどのようにして動かれたのですか?
「まずは、お店を出すための場所を回りました。ただ土地勘もなかったので、見合う金額で広さが確保できて、都内であることを条件に不動産屋さんにほぼお任せでした。なかなか見つからなかったのですが、ようやく出店場所が決まった!と思って安堵したのもつかの間、よくよく周りを見渡してみると、ご近所には価格のかなり安いマッサージ店が軒を連ねていました。
実は、当初はリラクゼーションサロンとして運営をしようとしていたのですが、“これでは負ける!”と判断して、整骨整体院にシフトチェンジしました。
幸い声をかけた施術者たちが優秀で、施術できる人材だったのは大きいですね」
-急遽方向をシフトしたんですね。
「そうです。今はマッサージ店ではなく、身体に負担のかからないストレッチのような動作をしながら、骨や筋肉の位置を正しい場所に戻していくような施術を行っています。」
-整骨整体院にしようと思ったのはなぜですか?
「まずは、周りに整骨整体院が少なかったことです。そして自身の経験もあって決めました。
昔、私自身が首を痛めていたことがあって、接骨院に通ったことがあったんです。だけどどこの院でもただマッサージをされるだけで根本的に治るものではなかったので納得のできる結果が得られなかった。それならば、ちゃんと治せる整骨整体院ができないかと。
私はマッサージしかできないので、施術はスタッフに任せています。ただ、みんなやり方が異なっていて、それぞれにファンがついています。お店は2階にあり目立ちにくいのですが、徐々にお客様に集まっていただけるようになって、地元の方はもちろんですが、都内を中心に全国から足を運んでいただけるようになりました」
失敗したらどうしよう!とは
考えたことがない
-起業と経営。その中で失敗したらどうしようという不安はなかったのですか?
「私の場合はあまりそこまで深く考えたことがなかったです(笑)。むしろ、独立して自由にできることへの楽しさしか見えていなかったというか。だからこそ行動することにも迷わなかったし、スピードも速く実行できたんじゃないかなって。今振り返ってみると、よかったなと思います」
お客様の笑顔とスタッフの
前向きな姿勢が何よりも幸せ
-今、一番幸せを感じる瞬間はどんなときですか?
「やはりお客様が『身体が楽になった』と笑顔で喜んでもらえている顔を見たときや、『来てよかった』とおしゃっていただけることですね。そして、最近ではスタッフたちが率先してこうしたいああしたいと、意見を提案してくれるようになったことに幸せを感じています。お店のことが好きで、一緒に大きくしていきたいという目標に向かって進んでいっているのを実感できています。
今後は、お店をどんどん増やしていきたいですね。年内にも店舗数を増やせたらと計画中です。
これからもスタッフたちとの絆や、人との出会いを大切にしながら、ひとりでも多くのお客様に笑顔になってもらえるように頑張ります」
末本さんの仕事に欠かせない
「三種の神器」はコレ
末本さんに、仕事になくてはならない三種の神器を教えてもらいました!
② PC
③ お札
「これは『人を動かす』というタイトルの経営者向けの本です。起業してからは1週間に2冊読むようにしています。PCはお客様の予約状況を確認したり、情報を発信するためにやはり欠かせないツール。お札は願掛けとして。毎月神田明神にお参りに行っています。商売繁盛のために神棚も設置していて、毎朝お祈りをしています。願掛けをすると気分が違うんです」
私のストレス発散方法!
ストレスや疲れが溜まった時は、好きなことを思いっきりするのだとか。
① カラオケに行く!
「ストレスが溜まったと感じるときは、やはりカラオケに。思いっきり歌うと本当にすっきりします」
② 食べ歩き!
「食べることも大好きなので、お休みの日にどこに行こうかなと計画を練ったりもしています。最近は全然いけていないのですが…」
末本さんからのアドバイス!
これから起業を考えている方や前に進もうとしている方に向けてアドバイスをいただきました。
その1 不満があったら自分で変える
その2 特別な能力はなくても行動力でなんとかなる
その3 人とのつながりは動けば作れる
その4 危険を察知したら少し別の方向を向いて
その5 楽しいことだけ考えよう
新しいことに挑戦するには勇気と不安がつきもの。しかし、人生は一度きりです。
やりたいことが見つかったら、末本さんのように前向きな気持ちで心を埋め尽くして、まず挑戦してみませんか?
(撮影/大村聡志 取材・文/LITORA編集部)