食品衛生責任者の資格と有用性とは。取得方法や仕事内容を知ろう
食品衛生責任者の資格をとりたい
食品衛生責任者とは、食品に関わる資格で、主に衛生管理などを行います。食品の製造や販売店には、この資格を所有した一名が必ず必要になってきます。この記事では、食品衛生責任者の資格の取り方や受講内容、仕事内容などをみていきましょう。
食品衛生責任者の資格の取り方
食品衛生責任者の資格はどのようにして取得できるのでしょうか。資格の取得方法をみてみましょう。
養成講習を受ける
養成講習は、都道府県などの自治体や保健所で、ほぼ毎月開催されていて、受講後に修了証書をもらえます。これは、飲食店の営業申請に必要となるため、なくさないよう保管しておきましょう。受講者が多い講習のため、定員オーバーもあるので1カ月程度前に申し込むことをおすすめします。
自治体に申請する
養成講習を受講しただけでは有資格者の扱いになります。この地点ではまだ、食品衛生責任者ではないので注意しましょう。受講し、終了証をもらったら、自治体に申請する必要があります。申請し、許可が下りれば、食品衛生責任者になれます。
養成講習の受講を免除される人
養成講習の受講は、必ず全員が必須ではなく、以下の場合は免除することができます。
大学で所定の単位を取得した人
学校教育法に基づき、大学で所定の単位を取得した人は、養成講習の受講を免除することができます。では、どんな学部が当てはまるでしょう。専門学校で医学、歯学、薬学、獣医学、畜産学、農芸化学の過程修了者が当てはまります。
また、専門学校以外での養成施設において所定の課程を修了した者も免除されるケースもあります。専門学校以外の養成施設とは、都道府県知事の登録を受けた食品衛生責任者養成施設のことです。
所定の資格を持つ人
医師、歯科医師、薬剤師、栄養士、調理師、船舶料理士、製菓衛生士食鳥処理衛生管理者、食品衛生管理者、食品衛生指導員もしくは経験者、食品衛生監視員の資格を持っている人は、養成講習の受講が免除されます。
これらの資格は、大学や専門学校に通わないと取得できない資格になります。持っていない人で食品衛生責任者になりたい人は、養成講習を受けましょう。
食品衛生責任者の受講内容と金額
資格を取るために養成講習を受ける必要があることは分かりました。では、受講するにあたって、どのくらいの費用が必要になるのか、どのような内容なのかをみてみましょう。
受講費用は全国一律でほぼ1万円
講習を受けるには、費用が必要になってきます。自治体で多少の違いがあるものの、全国一律でほぼ1万円ほどです。各自治体で行われているので、どこで受講してもよいです。受講費用は、当日に受付で支払う場合が多いです。
受講内容は3科目で6時間程度
受講内容もどんなものなのか気になるところです。講習の内容は決まっており、衛生法規、公衆衛生学、食品衛生学の3科目になります。この3科目について少しみてみましょう。
・衛生法規…食品衛生法、食品衛生責任者についてなど(2時間)
・公衆衛生学…疾病予防、環境衛生、公衆衛生、作業環境管理など(1時間)
・食品衛生学…食中毒予防や対策、食品の取り扱い、設備管理など(3時間)
講習では、テキストを配られ、それに沿って講義が行われます。睡魔に襲われそうになりますが、これらの内容は飲食店などの食品を扱うお店で仕事をする際には、必ず必要な知識なのでしっかり学びましょう。もらったテキストなどは、保管しておき、いつでも復習できるようにしましょう。また、知識をしっかり持ち帰り、従業員へ伝達しましょう。
食品衛生責任者の仕事内容
ここでは、食品衛生責任者の仕事内容をみていきましょう。
設備の点検と衛生面の是正
飲食店を開業する際や運営していく際に、保健所によるチェックがあります。保健所の許可がなければ開業も運営もできません。許可を出してもらうためには、設備や衛生面に問題がないのかをチェック・管理していきます。このような管理も食品衛生責任者が主になって行います。
飲食店で一番気を付けなければならないのが、食中毒による集団感染です。衛生管理を徹底し、食中毒予防に取り組むのも食品衛生責任者の重大な役目です。
衛生管理表の作成
衛生管理表を作成するのも食品衛生責任者の仕事です。衛生管理表とは、手洗い、清掃、冷蔵庫温度チェックなどです。衛生管理は、どのように行っているのかなどが目に見て分からないので、見える化することが大切です。
チェック表に日々記録し、衛生管理を習慣化し、食中毒対策をします。従業員がしっかり衛生管理表へチェックをしているのかを確認するのも、食品衛生責任者の仕事です。
保健所の監査などで衛生管理表等の提出を求められるので、日頃から必ずチェックし、食品衛生責任者も確認サインを忘れずに行います。
食材の管理
食材の管理は、食中毒対策でとても重要です。肉や魚などの生ものを放置してしまうと、菌が繁殖して集団食中毒の原因になってしまいます。そのようなことを防ぐため、食品衛生責任者は、加熱温度や保管場所の管理を行います。加熱温度のチェック表や保管場所のチェック表の作成などを行い、食材の管理の徹底を計ります。
従業員の健康管理
従業員の健康管理も毎日チェック表にして残さなければなりません。従業員のチェックしたものを確認することによって、体調不良者の不正な勤務などが分かります。体調不良のまま無理をして、勤務をしてしまうと、ノロウイルスなどの感染原にもなりかねません。
集団食中毒は、調理従事者からの感染も多いので、従業員への衛生教育も大切です。食品衛生責任者が、養成講習で学んできたことを、従業員へ伝え、みんなで意識が高められるとよいでしょう。
食品衛生管理者が必要とされる場所
食品衛生管理者という資格もあります。食品衛生責任者とは異なります。食品衛生管理者は、取得が難しいです。どのような点が違うのかみてみましょう。
・食品加工肉や乳製品加工食品、魚肉加工食品、油脂加工食品、放射照射食品などの製造・加工を行う大規模な工場などになると、食品衛生管理者が必要です。食品衛生責任者は、飲食店や加工・販売する店舗ごとに1名必要になる資格になります。(食品衛生法施行条例)飲食店のマネジメントにも有用性があります。
・食品衛生管理者は、医師・歯科医師・薬剤師・獣医師等の専門学校課程を卒業するか、食品衛生管理者を置かなければならない施設で3年以上従事し、講習会の課程を修了すれば取得できます。食品衛生責任者は、任意資格なので、特別な資格を持っていなくても1日の講習を受講すれば取得できます。
・食品衛生管理者の講習は、1カ月ほどの期間(土日祝を除く)にわたって行われる講義を受けることが必要になります。費用も30万円ほどかかります。食品衛生責任者は、1日で1万円ほどの費用で受講することが出来ます。
このように、食品衛生管理者は、食品衛生責任者よりも専門度の高い知識が求められる資格になります。自分の働いている場所が、食品衛生管理者を置かなければならない施設ならば、勉強も兼ねて、取得するのもよいでしょう。
食品衛生の知識と資格をぜひ手に入れておこう
食品衛生責任者の資格は、食品を扱うお店で働いている人ならば、取得できる資格です。食品衛生について学ぶよい機会にもなるので、おすすめの資格です。この講習で学ぶことは、役に立つことが多いのでしっかり学びましょう。
食品衛生責任者の資格を取得し、今までよりも深い知識と責任をもって、働いてみましょう。そして、お客様に、安全安心な食べ物を提供していきましょう。