【1】世界の誰もが自分らしくある社会を実現したい。バックパッカーとして40ヶ国、100地域以上を巡ることで見えた課題と使命・久野華子さんインタビュー
今回お話を伺ったのは、外国語に対応できる人材の派遣会社「株式会社トライフル」の代表・久野華子さんです。同社では、イベントや展示会へ各外国語に対応できる人材の紹介や語学講師の派遣などを行っています。現在、同社に約登録している約1600人の人材を束ねる久野さんですが、会社を立ち上げた直後は苦難の連続だったのだとか。
何度も心が折れそうになったと久野さんは振り返りますが、努力の甲斐あって今ではしっかりと事業を軌道に乗せています。この記事では、「トライフル」起業のきっかけや今後の展望、久野さんの事業に対する思いやプライベートについて4回にわたり紹介します。
久野さんが代表を務める「株式会社トライフル」では、日本人と外国人を問わず、外国語に対応できる人材の派遣と紹介を行っています。独自に築いたネットワークと営業活動で人材を確保し、英語をはじめ多種多様な国の言語に対応。人材を採用する際には一人一人面接し、事業内容や理念を丁寧に伝えることを心がけているのだそうです。同社の事業内容や特徴について、久野さんに詳しく話していただきました。
英語だけでなく世界中の多種多様な言語に対応できる
——御社の事業内容についてお聞かせください。
株式会社トライフルでは、主に外国語に対応できる人材の派遣と紹介をする「キャスティング事業」を行なっています。具体的には、イベントや展示会に来場した外国人への対応、通訳、語学講師など。約1600人が登録しています。内訳は、外国籍の方は55%。残りの45%が日本人です。
——日本人の方もいらっしゃるのですね。
はい。弊社では国籍よりも、その人自身が習得している「語学スキル」に着目しています。外国籍の方だけでなく、日本人でも外国語を習得している方であれば弊社に登録できます。
——御社で対応できる言語には何があるのでしょうか?
英語はもちろんですが、アラビア語やヒンディー語、インドネシア語など多種多様な国の言語に対応しています。最近ではカンボジアの国語である「クメール語」に対応できるかの問い合わせがありました。このため、弊社では常に他の人材会社にいないような人材を探しています。
独自に築いたネットワークと営業で人材を確保
——どのようにして人材を確保しているのでしょうか?
私が独自に築いたネットワークを活用して人材を確保しています。
——「独自にネットワークを築いた」とありますが、どういうことでしょうか?
私は、起業する前にバックパッカーとして世界中を回っていました。どれくらい周ったかと言いますと、40ヶ国以上。国籍にすると100以上の地域の人たちと関わっていたため、世界中にネットワークを拡げることができました。
——それだけ多くの国を回れば十分なネットワークを築けそうですね。
はい。起業の際はバックパッカー時代に知り合った方たちに声をかけて、協力してもらいましたね。また、起業当初は海外の外国人団体や日本語学校に営業もかけました。現地で勤務する日本人スタッフを紹介してもらい、弊社の事業や理念を伝えて、地道に採用活動を実施。結果、初期の登録人数は20名ほどだったのが、5年ほどで1600人程度まで伸びました。
一人一人面接し、事業内容や理念を丁寧に伝える
——「地道に採用活動をした」とありましたが、具体的に何をしましたか?
起業後、最初の年は応募者の面接を私が1人で行っていました。1日4、5人程度、毎日面接。面接だけで1日が終わる日もありました。
——面接では何をお話しするのですか?
まず、私がなぜ「トライフル」を運営しているのか、何をやりたいのか、事業に懸ける思いを全て伝えています。次に、弊社が紹介する人材として必ず守って欲しい「ルール」について説明します。さらに、弊社は外国語スキルに重きを置いているため、スピーキングチェックも兼ねています。一通り話してみて問題がなさそうであれば採用です。採用が決定したら、一人一人と契約書を交わしています。これは起業当初から変わっていません。
——人材派遣会社で一人ずつ面接を実施する話は、あまり聞いたことがありません。応募者に対して丁寧に対応していらっしゃるのですね。
はい。一人一人時間を取って、説明しています。「人材派遣」と聞くと、「賃金が適正ではない」「労働環境が良くない」などネガティブなイメージを持つ方もいると思います。弊社は「人材のフェアトレード」を掲げており、登録者が不当な扱いを受けることなく適切な労働条件で働けるように尽力しています。
具体的には、人材の手配や派遣先の紹介などキャスティング事業に関わる全てを、「ワンストップサービス」で行っています。弊社は、派遣する人材や企業と直接契約をしています。我々が信頼している人材を信頼できる企業へ派遣することで、双方が安心して働ける環境をつくっています。
地道な採用活動と応募者への真摯な姿勢で幅広い言語に対応できる人材を集めた
久野さんが運営する「トライフル」では、英語だけでなく世界中の多種多様な言語に対応できる人材の派遣と紹介を行っています。多種多様な言語に対応できる人材を確保するために久野さんが活用したのは、バックパッカーだった頃に築いたネットワークでした。契約時は応募者一人一人と面接し、「トライフル」の事業内容や理念を丁寧に伝えているという久野さん。しかし、育った文化や背景が異なることでトラブルに見舞われることもあるのだとか。第2回では、久野さんが海外の人たちとどのように向き合っているかについて伺いました。