人前式の魅力とは?自分たちらしい演出で理想の結婚式が叶うスタイル
自分らしい結婚式をしたい人に
近年、結婚式は多様化しています。結婚式を行うカップル、行わないカップル、結婚式を行うにしても、自分のこだわりを盛り込むスタイル、おもてなしを重視するスタイル、シンプルに行うスタイルなど、さまざまです。
このスタイルの多様化に応じて、いろいろなスタイルの結婚式場や結婚式が誕生しています。一方で、式場やウェディングプランナーが提案してくれた挙式も捨てがたいけれど、自分がやりたいように1からセッティングしないと考える人もいます。
自分らしい結婚式を自分で作りたいと考えている人におすすめなのが「人前式」。人前式とはどんなスタイルの挙式で、どんな演出ができるのでしょうか。人前式の詳細を知り、ステキな結婚式を実現するための参考にしてください。
人前式とは
自分らしい結婚式がしたい人におすすめの人前式とは、一体どのような挙式スタイルなのでしょうか。まず初めに人前式とは何なのか、キリスト教式や神前式とはどう違っているかなどを押さえてきましょう。
人前式の説明
最初に、「人前式」とは何なのか押さえていきましょう。まずは読み方ですが、「じんぜんしき」と読みます。読んで字のごとく、人の前で行う挙式という意味です。挙式というと十字架のあるチャペルで、牧師さんを前に結婚を誓うというイメージを持っている人が多いかもしれません。牧師さんを前に結婚を誓う挙式スタイルはキリスト教式と呼ばれ、牧師さんを仲立ちにして神に対して誓いを立てます。
それに対して人前式は、神ではなく、「人」つまり来てくださったゲストに対して結婚を誓い、証人になってもらいます。キリスト教式では新郎新婦は祭壇のほうを向きますが、人前式ではゲストのほうを向いたまま式が進行していくのも特徴です。
英語では、「civil wedding(市民の結婚式)」もしくは「nonreligious wedding(宗教的ではない結婚式)」という言葉で表現されます。ゲストに結婚を誓うスタイルですので宗教に縛られない挙式スタイルです。
神前式との違い
人前式とよく似た言葉に、「神前式(しんぜんしき)」という言葉があります。人前式と神前式は、耳で聞くと語感が似ているためよく混同されます。しかし、人前式と神前式は全く違うスタイルです。その違いを理解しておきましょう。
人前式は先述した通り、人を前に結婚を誓う挙式スタイルであるのに対し、神前式は神を前に結婚を報告するというスタイルです。この場合の神は、日本の伝統的な神道の神様のことです。
神前式は日本の伝統的な結婚式のスタイルであり、神社などで行われます。こちらは神道という宗教に従って行われる挙式です。また大きな特徴として、一般的にキリスト教式や人前式が「新郎と新婦の結びつき」という意味合いを持つのに対し、神前式は「新郎家と新婦家」の結びつきという「家同士の関係」が重視されます。神前式は家同士の繋がりを大切に考えるカップルや日本の伝統を大事にしたい、和装で結婚式をしたいと考えるカップルに人気です。
人前式のメリット
人前式とほかの挙式スタイルとの違いを知ったところで気になるのがそのメリット。演出、衣装と会場の組み合わせ、雰囲気、費用の観点から人前式のメリットをみていきましょう。
演出を自由にできる
人前式のメリットとして真っ先に挙げられるのが、演出を自由にできるという点。人前式はゲストを前に結婚を誓うスタイルであり、宗教色がありません。宗教色がないということは、「こうしなければならない」というしきたりがほとんどありません。自分たちで取り入れたい演出があれば、自由に取り入れることができます。
例えばキリスト教式であれば、二人が交換する指輪は牧師さんが祭壇の上に置き、二人で交換します。しかし人前式では、新婦の姪っ子がリングピローに指輪を乗せてサプライズで入場し、二人に指輪を届けて拍手が起こる、といった演出を盛り込むこともできるのです。
和装でもチャペルで挙式できる
挙式会場と衣装といった観点でもメリットがあります。人前式は宗教色がありませんので、基本的に挙式会場や衣装に縛られることがありません。例えば、和装姿でチャペルで挙式を行うということも可能です。もちろんキリスト教式ではないのでチャペルにある十字架は隠したり外したりすることが多いですが、「和装が着たい。でもチャペルで挙式がしたい」という2つの希望を同時に叶えることも可能なのです。
チャペルでの挙式を希望する人は、必ずしもキリスト教式そのものに憧れているわけではありません。例えば、「バージンロードを歩きたい」という希望でチャペルを選ぶ人もいます。人前式であれば、宗教に縛られない自由な挙式スタイルでバージンロードを歩くことが可能です。希望次第では和装でバージンロードを歩くこともできます。会場や衣装に特別な希望のある人にはおすすめのスタイルといえます。
神前式での堅苦しい儀式も自由に選択できる
人前式は宗教色がなく、自由に演出できるとお伝えしましたが、自由奔放なスタイルばかりではありません。「人生の節目となる結婚式なのだから、やはり厳粛に行いたい」、「堅苦しい儀式も取り入れたい」と考えている人は、厳粛な大人の落ち着いた雰囲気のスタイルを取り入れることもできます。さまざまな演出を自由に組み合わせることができるところが人前式最大の魅力です。
神前式には伝統的な紅差しの儀や水合わせの義などの儀式があります。このような儀式のなかから自分がやりたいものだけを演出の一部として取り入れることも可能ですし、「形式にはとらわれたくないけど、和装姿で日本風の結婚式をしたい」と思えば、形式ばらない和装の結婚式も実現させることができます。「こうでなくてはならない」がないので、カジュアルな挙式も厳かな挙式もすべて実現できるのが人前式です。
費用が安く済む
自分のやりたいことを取り入れた規定プランにはない挙式にすると、費用は膨らむ一方なように感じますが、実はその逆。人前式は費用を安く抑えることができるというメリットがあります。
神前式の場合、披露宴会場のほかに挙式会場として神社を押さえなくてはなりません。さらに、神前式を執り行う神主さんや巫女さんも必要です。キリスト教式であればチャペル、牧師さん、聖歌隊が必要です。
結婚式場に神殿やチャペルがある場合もありますが、式を執り行うスタッフは基本的に結婚式場の外部から派遣された人であり、その人たちへの人件費が発生します。神社やチャペルが結婚式場の外にあれば、送迎バスの手配が必要となるケースもあるでしょう。
それに対し、人前式は結婚式場内だけで完結し、スタッフも式場スタッフだけで行うことができます。やりたくない演出は省くことができるので、不要なものをそぎ落として、必要な演出だけ残すことで挙式のコストはかなり抑えられます。
人前式の流れ
キリスト教式や神前式などほかの挙式スタイルにも定番の流れがありますが、人前式の場合のような流れで行うのでしょうか。自由度が高い人前式ではありますが、基本とされる流れはありますので、それを押さえていきましょう。
和装人前式での流れ
人前式が宗教にとらわれない自由な挙式スタイルだとしても、まったくの白紙状態から流れを考えるのは難しいでしょう。自由度の高いスタイルであるとはいえ、結婚式に変わりありません。結婚式として成立するだけの流れは必要です。
和装で挙式を行う場合、神前式のような流れを思い浮かべる方もいるかも知れませんが、和装人前式の場合は神前式と流れは違います。
一般的な流れとして、まずは新郎新婦が入場します。別々に入場するケースもあれば、一緒に入場するケースもあり、どちらでも可能です。続いて開式の言葉を司会者が述べます。その後、二人の誓いの言葉を読み上げ、指輪を交換し、結婚証明書にサインをし、それをゲストに披露して承認されます。司会者が結婚宣言をし、二人が退場して閉会です。神前式よりも、むしろキリスト教式に近い流れになることが多いでしょう。
洋装人前式での流れ
人前式は衣装によって進行が変わることは基本的にはありません。そのため洋装人前式の場合も和装人前式と同じような流れになります。ただし、「どのような進行が衣装と相性が良いか」という点を踏まえ、オリジナルな進行を工夫することには問題ありません。むしろ工夫することができるのが人前式の魅力です。
例えば、新郎新婦の入場前に小さな子どもが入場し、バージンロードに花を巻く「フラワーガール・フラワーボーイ」という進行を取り入れることがあります。これは、花の甘い香りで二人の邪魔をしようとする悪魔が逃げていくという西洋の言い伝えに基づくものです。和装人前式でこのような進行を取り入れることはもちろん可能ですが、もともとの起源は西洋なので、洋装人前式の方が相性が良いと言えるでしょう。
感動できる演出のアイデア
人前式はさまざまな演出を盛り込むことができるスタイルです。挙式シーンでは感動を重視する人も多く、新郎新婦自身だけでなくゲストや両親を感動させる演出は人気があります。感動できる演出の具体例をみていきましょう。
新郎新婦ともに両親と入場
新郎新婦に注目が集まり、最初に感動を与えるのが入場シーンです。ここで、新郎新婦がともに両親と入場するというのはとても感動的でインパクトがあります。キリスト教式に慣れている方々は、新郎は1人で、新婦はお父様と入場するのをイメージしていますが、人前式の場合は必ずしもそうする必要はありません。
会場によっては、幼い頃からの親子の思い出を入場前の扉の上に上映できるところもあります。また、新郎や新婦から両親へのメッセージを司会者が読み上げながら入場するといった演出も。大人になれば両親と一緒にいる時間はどうしても少なくなってしまいます。結婚式という一生に一度の大切な時間をともに過ごすことで、自分自身にとっても両親にとっても、そしてゲストにとっても忘れられない感動の瞬間となるでしょう。
ペットがいる場合は一緒に入場する
一緒に入場する相手は、人間でなくてはならないという決まりはありません。動物好きな新郎新婦であれば、大好きなペットとともに入場し、ゲストをびっくりさせるという演出をしてみるのも一つの手。新郎新婦のペットへの愛情や、ペットの可愛らしい振る舞いが感動的なシーンを作り出すでしょう。リードを持ってワンちゃんと入場、ネコちゃんを抱きかかえての入場など、ペットの種類やペットとの関係性によってさまざまな入場方法が考えられます。
ただし、会場によっては衛生面などの問題により、必ず希望が叶うとは限りません。もしペットを登場させたいと考えている場合には、事前に式場のウエディングプランナーに相談してみましょう。その会場でできるペットの演出について提案をしてくれますし、もし希望通りに行うのが難しい場合には、代替案を示してくれるでしょう。
リングボーイ
リングボーイやリングガールの登場も、感動的な演出となります。リングボーイ(もしくはリングガール)は、指輪の交換の前に、指輪を載せたリングピローを新郎新婦のところへ届けるという役割です。甥っ子や姪っ子など、親族に小さな子どもがいる場合などには登場を打診してみましょう。子ども本人だけでなく、親族全体の空気を和やかにしてくれることでしょう。
なお、リングボーイ(もしくはリングガール)は、指輪の交換前に新郎新婦と同じように扉から入場することもできますし、お席から登場するパターンも。あまりに小さい場合は、親御さんと手を繋いでバージンロードを歩くことも想定しましょう。
人見知りや緊張などで難しいケースもありますが、もし登場してもらいたい場合は事前に親御さんに相談してみるのがおすすめです。また、ワンちゃんに指輪を届けてもらうリングドッグという演出もあります。
指輪と一緒に手紙の交換をする
指輪を交換するだけでなく、手紙の交換をするというのも感動的な演出の一つです。お互い、内容は相手に知らせずに手紙を用意しておき、挙式の最中に読み上げて交換します。挙式は緊張していますし、「あっという間に過ぎてしまった」という感想をもつ新郎新婦は多いです。せっかくの挙式であれば、普段言えない本音を相手に伝える時間を作るのもよいのではないでしょうか?
結婚式では、例えば披露宴の後半に新婦が両親に手紙を読み上げるといったシーンが定番です。しかし、新郎新婦がお互いに気持ちを伝え合うというシーンは意図して作らない限りないものです。お互いの本音を伝え合った上での結婚の誓いとなれば、ゲストの感動もより深いものになるでしょう。
プロジェクションマッピングを活用する
感動的な演出としては、プロジェクションマッピングの使用も挙げられます。プロジェクションマッピングとは、プロジェクターなどにより、コンピューターグラフィックスを壁などに映し出す技術のことをいいます。通常は挙式ではなく披露宴に使われることが多く、入場シーンなどを幻想的に演出します。
人前式であれば、披露宴でよく使われるプロジェクションマッピングを挙式で使うことも可能。入場シーンをより感動的にすることはもちろん、挙式の進行中にも使用できます。例えば、デートでよくプラネタリウムに行ったり、星空の下でプロポーズをしたという思い出のあるカップルであれば、プロジェクションマッピングでプラネタリウムを再現し、その中で結婚を誓うというのも感動的でしょう。
ゲスト参加型演出のアイデア
人前式の演出は、新郎新婦が中心となって行う演出がもちろん多いですが、中にはゲストに積極的に関わってもらう演出もあります。ゲストに参加してもらうことで会場に一体感が生まれ、感動や喜び、幸せといった気持ちがより膨らむでしょう。ゲストの思い出にも残るそのような演出にはどんなものがあるのでしょうか。具体例をみていきましょう。
キャンドルリレーによって承認をしてもらう
人前式は列席しているゲストに結婚を承認してもらう挙式スタイルです。承認のタイミングでゲストが参加できる演出を取り入れるというのもよいでしょう。そのような演出の一つに、キャンドルリレーがあります。一般的にキャンドルリレーは披露宴での演出とされていますが、人前式に用いることも可能です。
会場に入る際にあらかじめゲストにキャンドルを配布しておき、結婚の承認の前のタイミングで新郎新婦から一番前に座っている新郎新婦の両親、家族、…順にとキャンドルの火をリレーしていきます。司会者が「お二人のご結婚を承認される方は火に息を吹きかけてください。3・2・1……」とカウントダウンし、一斉にゲストが息を吹きかけます。一体感のある、感動的で楽しい演出となるでしょう。
事前に配った花を挙げることによって承認をしてもらう
結婚承認の方法としては、事前に配った花を掲げることで結婚を承認してもらうという演出もあります。花を用いることで見た目にも美しい雰囲気となるので、花が好きな方やキレイな写真を残したい人におすすめです。この場合も会場に入る際にゲストに花を手渡しておき、承認のタイミングで掲げてもらいましょう。
花にまつわるエピソードを持つ新郎新婦であれば、承認の際に司会者に紹介してもらうのもよいでしょう。「お二人は毎年夏にドライブでヒマワリ畑に行っており、そこで楽しい思い出をたくさん作りました。これからもそんな楽しい思い出をたくさん作っていけるよう、皆さんでここに二人のためのヒマワリ畑を作りましょう」などの前置きがあれば、より一層感動的な雰囲気を演出できます。
ウェディングツリーを取り入れる
ゲストに結婚承認に参加してもらう方法として、ウエディングツリーという演出も魅力的です。ウエディングツリーとは、葉のない枝のみの木が描かれた紙に、ゲストが自分の指でスタンプを押し、葉の茂った木の絵を完成させるというもの。挙式中に全員にスタンプを押してもらうことは困難ですので、挙式前にロビーなどで順番に押してもらいます。
インクのカラーを何色か用意しておき、カラフルなツリーを完成するのが一般的です。新郎新婦のイメージカラーや結婚式のテーマカラーを決め、そのカラーを用意するのもよいでしょう。スタンプのみで行うのも良いですし、ゲストにお名前を記入していただく場合もあります。挙式ではゲストが作ってくれたウエディングツリーに新郎新婦が指でスタンプを押し、それを結婚証明書とします。
退場にはフラワーシャワーを
通常フラワーシャワーは屋外での演出として行われることが多いですが、人前式であれば挙式の退場シーンでフラワーシャワーを行うことも可能です。会場にもよりますが、白いチャペルなどで洋装で人前式を行う場合、フラワーシャワーととてもマッチします。ゲストが参加して楽しむことができますし、美しい写真を残すことも可能です。
先述しましたが、花の甘い香りが二人の邪魔をする悪魔を遠ざけるという言い伝えがあります。そのような説明を司会者にしてもらい、二人の選んだBGMとともにフラワーシャワーを行えば、会場内は幸せな雰囲気に包まれるでしょう。
ハートドロップスで祝ってもらう
結婚の承認にゲストに参加してもらう演出として、ウエディングツリーを挙げましたが、ウェディンツツリーとはまた違った形で結婚証明書を作る演出が、「ハートドロップス」。ハートドロップスとは、ハート形の小さな木の板などにゲストの名前とメッセージを書いてもらい、それを額に入れて一枚のボードに仕上げたものです。
ゲスト一人一人のメッセージが集まった結婚証明書ということで、とても温かみのある演出となるでしょう。また、ドロップスの形はハートでなくても構いません。花の形や星の形、貝殻など、二人の思い出と関係のある形にし、よりオリジナリティのあるボードを作り上げることも可能です。
和装人前式でできる演出のアイデア
和装人前式をするということは、和装や日本風のスタイルに少なからずこだわりがあるはずです。和装に合う日本風の演出を行うことでよりイメージに合った結婚式になり、さまざまな年齢の方に楽しんでいただけるのがメリットです。和装人前式にあった日本風の演出の具体例をみていきましょう。
和モチーフの小物を飾る
和装人前式でできる演出のアイデアとしては、和モチーフの小物を飾ることが挙げられます。結婚式場への事前確認は必要ですが、宗教色のない人前式であれば、挙式会場内に小物を飾ることも可能です。例えば、バージンロード側のベンチとベンチの間を「赤い紐」でつなぎ、その紐に幼い頃から大人になるまでの二人の写真をクリップで留めるなどということもできるでしょう。
可愛い和小物を使ったオリジナル結婚証明書もおすすめです。例えば扇子に二人の誓いの言葉を書き、挙式中にそれを読み上げてハート型になるように拇印を押して結婚を誓うというような使い方です。和装で挙式をしたという思い出になりますし、会場内に飾ることでゲストに楽しんでもらうことができ、また写真撮影のときに持つアイテムとしても役立ちます。
紅差しの儀をする
和装人前式ならではの演出として挙げられるのが「紅差しの儀」。紅差しの儀とは、新婦のお母様が新婦の唇に口紅をさす儀式であり、挙式の入場シーンで行われます。これまで大切に育ててきた娘の花嫁衣装の仕上げをお母様がすることで、娘の幸せを願って送り出すという母と娘の絆の演出です。
キリスト教式や洋装人前式では、入場の際にお母様が新婦のベールを下ろすベールダウンセレモニーが行われることがありますが、紅差しの儀も同じようなニュアンスを持っており、こちらは和風スタイルです。日本の伝統的なスタイルに則って家族の絆を演出したいという人には特におすすめの演出です。
水合わせの儀をする
水合わせの儀は、日本の古来からある伝統的な儀式です。新郎新婦がお互いの実家の水を持参し、それを挙式中にひとつの杯に注いで混ぜ合わせます。新郎新婦の実家の水は、二人がこれまで育ってきた環境や家庭を象徴しています。これまでは別々の環境・家庭で育ってきた二人がこの日に一緒になり、今度は二人で一つの新しい家庭を築いていくという意味合いがあるのです。
結婚式でおなじみの演出となっているシャンパンタワーですが、実はこのシャンパンタワーのルーツも、水合わせの儀にあるといわれています。実際にお互いの実家の水を使用する場合もあれば地酒を使用するなど、アレンジして行われることもあります。幅広い年齢層の方に楽しんでいただきやすい演出といえるでしょう。
折り鶴シャワーで華やかに
洋装人前式の退場シーンは、フラワーシャワーで華やかに演出することができますが、和装人前式の退場シーンも同様に華やかに演出することができます。もちろん和装でフラワーシャワーをするというのも一つの方法ではありますが、せっかく和装を着ているのであれば、和風の演出を取り入れたいところです。
退場シーンを華やかに彩る和風の演出としては、折り鶴シャワーがおすすめ。鶴は長寿の象徴であり、二人の夫婦愛が末永く続くこと、平和や健康といった意味合いも持っています。折り鶴をゲストに配り、退場シーンで投げてもらいますが、折り鶴以外に花びらなどを混ぜるのも素敵です。二人のイメージに合わせてぜひいろいろな選択肢を検討してみてください。
オリジナルな誓いの言葉にしよう
人前式を行うのであれば、誓いの言葉も自分たちのオリジナルなものにするのがおすすめです。とはいえ、オリジナルな誓いの言葉と言っても具体的にどんなものなのかイメージが湧かないという人も多いでしょう。人前式のなかで登場する誓いの言葉にはどんなものがあるのか、具体例を交えてみていきましょう。
文面にぜひ入れたい言葉
人前式では、誓いの言葉も自由に決めることができます。自分たちらしいオリジナルな誓いの言葉にしてみましょう。もちろん、誓いの言葉が自由に決められるといっても、それが結婚式の誓いの言葉である以上は、ぜひ入れておかなくてはならない言葉があります。
誓いの言葉に必ず入れておく言葉としては、「自分たちが結婚するという宣言」「どのような夫婦になっていくのか、またどのような家庭を築いていくのかといった誓い」「挙式の日付と新郎新婦の名前」があります。二つ目にある誓いの内容の部分を、自分たちならではのオリジナルなものにするとよいでしょう。
お互いへの気持ちを伝えあう
誓いの言葉には様々なパターンがありますが、お互いへの気持ちを伝えあうというのも一つです。相手に向けた短めの手紙のようなものをイメージしてみるとよいでしょう。例えば新郎から新婦に誓うのであれば、「私は○◯さんの△△なところに惹かれました。私はこれからどんなときもあなたを□□することを誓います」といった形です。
二人それぞれで内容を考え、当日までお互いに秘密にしておくのもよいでしょう。その場合は事前にウエディングプランナーに伝え、誓いの言葉の入った結婚証明書を手配してもらった上で、当日初めて相手に気持ちを伝える形にすることで、挙式当日までワクワクとドキドキを保つことにつながります。
ゲストの皆さんへ感謝の言葉を述べる
人前式はゲストの皆さんに対して結婚を誓う挙式スタイルですので、ゲストの皆さんに対する感謝の言葉を述べる演出もおすすめ。誓いの言葉の冒頭で結婚を宣言するのが一般的ですが、ここでゲストの皆さんへの感謝の言葉を入れるのが自然です。
「本日、私たち二人は皆様に見守られる中挙式を行うことができ、とても感謝しております」などの文言を冒頭に入れ、その後で結婚を宣言し、具体的な誓いの言葉に入っていくという流れです。このように、承認してくださるゲストの皆さんへの感謝もぜひ伝えてみてください。
友人たちから問いかけてもらう
誓いの言葉のスタイルとして、友人たちから問いかけてもらうという方法もあります。一人もしくは数人の友人を選んでおき、彼らに問いかけてもらいます。当日のサプライズで友人を指名したいという新郎新婦もいるかもしれませんが、ぶっつけ本番ですと上手に言葉が出ない可能性が高いので、事前に連絡しておいたほうが失敗がありません。
新郎新婦が自分たちで考えた内容を「誓いますか?」と問いかけてもらうこともできますし、友人たちに誓いの言葉の内容を考えてもらうことも可能です。友人の考えた誓いの言葉を当日まで秘密にしておいて欲しい場合はウエディングプランナーと友人で連絡を取り合ってもらってもよいでしょう。
主な例文
誓いの言葉の主な例文を紹介します。この例文は、二人で内容を考え、二人で一緒に読み上げる場合の例文です。
(例:二人同時に読み上げ)「私たち二人はたいせつな皆様の前で挙式をすることができ、心から感謝しております。ここに結婚の誓いをいたします。これからは二人で心を1つにし、励まし合い、どんな困難にも負けずに明るく幸せな家庭を築いていくことを誓います。20XX年X月X日」
- (新郎)「夫 〇〇(自分の名前)」
- (新婦)「妻 ◯◯(自分の名前)」
手作りの結婚証明書を作ろう
結婚式では、結婚証明書にサインをし、それを承認してもらうという形が一般的です。それは人前式でも同じですが、人前式の場合は結婚証明書もオリジナリティのあるものを自作することができます。自作の結婚証明書にはどのような方法があるのかみていきましょう。
結婚証明書とは
オリジナルな誓いの言葉を宣言するのであれば、結婚証明書も手作りでオリジナルなものを用意するのがおすすめ。しかしその前に、結婚証明書とは何なのかを知っておきましょう。結婚証明書というと、公的書類のような印象を持ちますが、これは公的書類ではなく記念品という意味合いの強いものです。
新郎新婦の名前、挙式日、挙式会場、誓いの言葉、立会人(ゲストの代表者にサインをしてもらうケースもあります)などが書かれたものです。紙に印刷されたものや先述のウエディングツリー、扇子などの小物や、サッカーボールなど、趣味にちなんだものを使用する場合もあります。
台紙の選び方
紙に印刷するタイプの結婚証明書を手作りしようと考えるなら、まずは台紙を選ぶところから始めます。インターネットで検索すると、様々な結婚証明書用の台紙を見つけることができるでしょう。その中から、自分たちの結婚式のイメージに合ったものを選んでみてください。
和風か洋風か、シンプルかゴージャスかなどイメージを固め、結婚式のイメージに合うようにします。結婚式は和風なのに証明書が洋風、結婚式がシンプルなイメージなのに証明書がやたらゴージャスだったりすると、悪目立ちしてしまう可能性が高いです。また、キャラクターをモチーフの用紙なども販売されていますので、二人が同じキャラクターを好きな場合には選択肢に加えてみましょう。
約束事を箇条書きにする
結婚証明書の台紙を用意したら、今度はそこに印刷する内容を準備します。インターネット上にテンプレートもありますが、自分でMicrosoft Wordなどを使って作成することも可能です。完全に自作する際には、台紙と同じ大きさの紙に最初に印刷し、字のバランスや内容に問題がないかを確認しましょう。
どんな証明書にしたらいいか悩んでいる人におすすめなのが約束事を箇条書きにしたもの。箇条書きにする約束は夫婦共通のものでも、一人一人の約束でもかまいません。
「1.お互いの両親・家族をたいせつにします 2.どんな時でもお互いへの思いやりの心を忘れません…」
といったような決意表明をすることで、結婚式のあとに続いていく結婚生活においてケンカなどが発生した際に役立つ日がくることでしょう。
なお、慶事では「切」「絶」などは縁起の悪い忌み言葉とされています。書き方の注意点などウェディングプランナーに確認しておくようにしましょう。
ゲストの皆さんに誓う
人前式はゲストの皆さんに結婚を誓うスタイルなので、立会人としてゲストの代表者にサインを入れてもらうこともあります。中にはゲスト全員を立会人とし、全員の署名を入れて欲しいという場合もあるでしょう。サインしてもらいたい人が多いときには、全員が署名可能な欄のある結婚証明書を準備しておきましょう。
結婚証明書にも様々なスタイルがあります。見開き2面になっており、左側は通常の結婚証明書、右側にゲストの署名欄を設けているものが主流ではありますが、ゲストの人数が多い場合は、さらに署名欄のみの用紙を別に用意するケースもあります。人数が多い場合には、ウエディングツリーなどと同様、挙式前にロビーなどであらかじめ署名してもらう手筈をとりましょう。
ネット上の無料テンプレートを使う手も
結婚証明書にはたくさん種類があり、インターネット上にもさまざまなテンプレートがあります。もちろん1から自分で作っていくのもよいですが、結婚証明書には忌み言葉や見栄えの良いレイアウトなど、注意すべき点があります。不備がある結婚証明書が手元に残ってしまっては、後味が悪くなってしまいます。
もちろん、そうならないために事前に別の紙に印刷し、入念にチェックすることが必要です。できれば打ち合わせの際に、式場のウエディングプランナーにチェックしてもらいましょう。ただし、1から自分で作成した場合、何度も修正をしてくてはならない可能性もあります。テンプレートは基本の形式が踏まえられているものがほとんどです。スムーズな作成を手助けしてくれることでしょう。
結婚式に合う曲の選び方
結婚式の雰囲気を作り、感動的なシーンを演出するものとして忘れてはいけないのが「BGM」。せっかくいいシーンでも、流れているBGMがミスマッチだといまいち盛り上がらなかったり、感動が冷めてしまうこともあります。各シーンに合ったBGMを探すことが重要です。
迎賓:さわやかで落ち着いた曲
人前式では、挙式中の曲も自由に決めることが可能です。迎賓の曲は、ゲストが挙式会場に入ってくるタイミングで流れている曲です。これから挙式が始まるという初々しい雰囲気が大切ですので、個性の強い曲よりもさわやかで落ち着いた曲を流すのがおすすめです。
ピアノやバイオリン、ハープなどを使ったクラシック系の音楽や、ヒーリング系の音楽を使用する人もいます。人前式を通して特定のアーティストの曲を使いたいという場合にも、さわやかで落ち着いた曲を選んだほうがよいでしょう。
入場:厳かなバラード系の曲
新郎新婦の入場は、ゲストの目線が一斉に集まる感動の瞬間です。曲が流れ始めればゲストは扉に注目し、扉が開けば新郎新婦の晴れ姿に拍手が起こります。感動的なシーンですので、厳かなバラード系の曲を使うのが定番です。
入場は明るい雰囲気の曲にしたいというこだわりを持っている人もいるでしょう。希望する人前式の雰囲気が明るめであれば、新郎がノリノリの曲で登場し、笑顔でゲストに手を振りながら歩くという演出も。入場曲によって挙式自体の雰囲気が大きく変わるため、二人で事前にしっかり話し合って決めましょう。
静かに盛り上げてくれる曲
挙式中の曲は、静かに盛り上げてくれる曲が定番です。基本的に挙式中は司会者が話したり、誓いの言葉が述べられたりしますので、賑やかな曲は不適切です。静かな曲や厳かな曲が基本であり、拍手が起こるタイミングだけボリュームを上げるというのが一般的。
好きなアーティストの曲を選びたいところではありますが、挙式中の曲は最も長い時間流れることになります。自分たちの結婚式の雰囲気を考慮した、その雰囲気にふさわしいものを選ぶようにしましょう。
退場:新しい門出を祝う楽しい曲
退場シーンは二人の門出となります。門出を祝うのにふさわしい、明るく楽しい曲がおすすめ。J-POPや洋楽など、自分が好きな盛り上がる曲を選ぶ人が多いです。このシーンでは定番のクラシック曲も人気ですが、原曲をより明るいイメージにアレンジしたものなどもよく使われます。
「新郎新婦のご退場です。皆様盛大な拍手をお願いいたします」という司会者のコメントと同時に曲が流れ、拍手が起こります。挙式の中でも最も盛り上がるシーンになるので、暗い曲は避けたほうがいいでしょう。
思い出の曲を選ぶ
二人に思い出の曲がある場合は、思い出の曲を挙式中のBGMとして取り入れていれましょう。二人だけの思い出の曲で挙式が行われるというのはとても素敵です。緊張しがちな結婚式で、ふとその曲が流れたときにリラックスできるという効果もあります。
まず二人の思い出の曲を一緒に書き出してみましょう。そして、それぞれの曲を流すのに適したシーンがあるかどうかを確認し、進行プログラムに当てはめてみてください。二人の思い出の曲を使用することで、特別感のある挙式の時間を過ごすことにつながります。
有名な曲を選ぶ
二人の思い出の曲を挙式で取り入れるのは素敵ですが、ゲストの誰もが知っている有名な曲を選ぶというもの選択肢の一つです。誰もが知っている曲のなかでも、映画などの挿入歌であればゲストも感情移入しやすくなります。
結婚式の雰囲気との相性などを考え、ぜひ取り入れていきたいところですが、BGMの使用については著作権の扱いが厳しくなっています。曲の選び方や使い方について、事前にウエディングプランナーや式場のスタッフに確認しておくと安心です。
自分たちで幸せな結婚式を作ろう
人前式は、神前式やキリスト教式に比べるとなじみがないと感じる人もいるかもしれません。しかし、自由なスタイルで行うことのできることから、近年人気の挙式スタイルの一つとして確立されてきました。他の挙式スタイルと違って宗教色がないため、挙式の流れや衣装、会場など、自由に決めることができるのが魅力です。
和装人前式、洋装人前式、和装でバージンロードを歩く、思い出に残る演出を取り入れたいなど、たくさんの希望を同時に叶えることが可能な挙式スタイルです。二人がゲストと共に過ごす結婚式の時間は人生に一度であり、世界でたった一つの結婚式です。ぜひ自分たちで幸せな結婚式を作りましょう。