【3】会社員時代のジレンマと、仕事を忘れて高揚できる声優のライブ:道場月音さんインタビュー
ベンチャー起業の社員として働いていた頃は、仕事に対する葛藤も抱えていたという道場月音さん。その後、転職したことで、新たなスタートアップ事業にトライし、人脈を広げていきます。そんな道場さんが仕事を忘れて没入できるのが、大好きな声優のライブだとか。企画を考えるうえで、インプットする時間はとても重要なようです。
社会福祉活動を通して決めた将来像、その後、ベンチャー企業へ
―これまで働いてきたなかで、自分にとって一番の壁だなと感じたこととは?
「私は、自分が意味を見出せないことをやるのがすごく苦手です。新卒で入った会社でやっていた仕事が、個人的には腑に落ちなくて。果たしてこのサービスは、世の中の人のためになっているのかなと思いつつも、成果を上げないといけなかった。それが結構辛かったです。」
―誰かに相談はしなかったのですか?
「ソロプレイヤーが揃ったチームだったので、相談し合うこともそんなになかったです。これは自分の人生にとっても、会社にとっても良くないな、と思い、売上を一定程度出せたら辞めようと決めました。」
―そこから転職して、環境は変わりましたか?
「がらっと世界が変わりました。もともと企画畑にいて、アプリ内課金を稼ぐようなイベントを月に何十本もやっていましたが、転職先は小さいスタートアップの会社だったので、規模もステージも違います。新規事業の立ち上げや大手企業とのつきあいを、そこで初めて経験しました。相手の意向に沿ったものを、ゼロベースで考えていくので、脳みその使い方が変わったなと思いました。」
自分自身の感情を解放させる声優のイベントやライブでのひととき
―プライベートで大切にしている時間はありますか?
「オタクの現場ですね。声優さんのライブやイベントに行くのが一番の楽しみです。やはりライブに行くと、感情が上にぶれるのが心地良くて。コロナの時期は、なかなか難しいのですが。そういう時間がないと、発想がどんどん小さくなってしまうので、企画職としても良くないなと思っています。」
―家でもアニメをよく観るのですか?
「毎日のように観ていますね。アニメを観る姿勢は大きく分けて2つあります。ギャグアニメや日常アニメをぼーっと何も考えずに観る時と自分の好きな声優さんが出ている作品やシリアスなもの、SFなどをちゃんと観る時です。」
日常から何気ない情報を頭にストックしていくことの大切さ
―やはりいろいろなアイディアをが出すためにも、インプットする作業が大事だということですね。
「はい。それはライブ以外でも、普段から街を歩いていて目にする広告をはじめ、食べたものの味や匂い、器など、いろいろな情報が、自分のなかで文字として溜まっていく感じです。何か企画を考える時、そこから引っ張り出したものが、有機的につながっていくのかなとは思っています。」
―アナログ的に文字に起こすのではなく、頭の中でストックしていく感じですか?
「基本的には、数字ではなく、文字で思考するタイプです。言葉をストックしていく格納庫みたいなものがある感じです。『千と千尋の神隠し』に出てくる釜爺の後ろに、薬草がいっぱい詰まった棚があると思いますが、ああいう感じで分類して入れているんだと思います。」
≪まとめ≫アイディア出しも余暇の使い方も合理的
会社員時代は、自分が納得できない仕事に対して憂鬱な思いも抱えていた道場さんですが、環境を変えていくことで、新しいやりがいを見出していったようです。また、道場さんは、プライベートで大好きな趣味にハマる時間を大切にしていて、そこで得たものが新しい企画にもつながっているよう。とても効率のいい時間の使い方には学ぶべきものが多いです。
続く最終回では、道場さんならではの新しいビジネスについてのお話と今後の展望を伺います。