緊張しない方法について|いろいろな場面で使える対処法を試そう
緊張しすぎないために使える対処法
試験や面接、人前でのスピーチなど、緊張する場面はいろいろあります。そして、うまくいかなかったらどうしようと不安になるものです。
緊張しやすい人は、緊張しないようにしようと力んでしまい、もっと緊張してしまうという悪循環に陥ります。ただし、緊張しない人はごく稀で、ほとんどの人は緊張しやすく、なんとかしたいと思っています。
しかし、緊張とうまく向き合えずに悩んでいる人は多いです。緊張しないように対処する方法はあります。うまく対処して乗り越えていきましょう。
緊張しない方法を知ろう
面接や人前でのスピーチなど、人それぞれ緊張する場面はあるものです。場面ごとに緊張しない方法と、いろいろな場面で使える緊張しない方法を知り、できることがあれば試してみましょう。
いろいろな場面で使える緊張しない方法
いろいろな場面に応用できる、緊張しない方法を紹介します。実は、全国の20歳以上の男女にアンケートを取ったところ、82%の人が緊張しやすいと答えているように、緊張しやすい人は多いです。自分だけではないと思うだけでも心強いものですが、緊張を克服する方法を知れば、今後いろいろな場面で役に立ちます。
緊張を楽しんでいるように振る舞う
緊張を抑えるために、自分を落ち着かせようと考える人は多いです。しかし、ハーバード・ビジネス・スクールの研究によると、緊張を楽しんでいるように振る舞ったほうが、緊張の軽減につながるとされています。
緊張は敵ではありません。緊張を味方につけてコントロールできたら、最高のパフォーマンスができるようになります。今までは、緊張しやすいことを自分の短所だと思っていたかもしれませんが、緊張をエネルギーに変えられれば、長所になり得るのです。
ゆっくりとした深い呼吸をする
緊張すると無意識のうちに、早くて浅い呼吸をしていることが多いです。緊張を感じたら、ゆっくりとした深い呼吸をすることで、副交感神経に働いて血流がよくなり、全身の筋肉が緩んで緊張の軽減につながります。
20秒ほど息を吸い、20秒ほど吐くというゆっくりとした呼吸です。1分ほどゆっくりとした深い呼吸をするだけでも、落ち着きを取り戻せます。
また、ゆっくりとした深い呼吸は、脳内のセロトニンを増やし、精神を安定させるのにも効果的です。呼吸は、鼻から息を吸って、口から細く長く吐きましょう。お腹に両手をあてて、呼吸しているときにお腹が膨らんでいるかを確認してください。
緊張とリラックスを繰り返す体操をする
緊張とリラックスを繰り返す「筋弛緩法(きんしかんほう)」も、緊張を和らげる方法としておすすめです。体の各部位の筋肉を10秒間緊張させたあと、ストンと一気にゆるめることを繰り返して、体の緊張をほぐします。10秒間、体の各部位に力を入れたら、一気に力を抜いて20秒間、その体がほぐれた感覚を感じるという繰り返しです。
例えば、息を止めてこぶしを強く握りしめ、ぱっと手を開くという動作でもリラックスできます。緊張している体の様子と、リラックスしている体の様子を自覚することがポイント。緊張とリラックスを繰り返す方法は、ただ体の力を抜こうとするよりも、うまく脱力できます。
成功のイメージトレーニングをする
オリンピックに出場するアスリートたちも、緊張をしずめるために、大会前にはイメージトレーニングをしています。成功のイメージトレーニングをすることで、緊張による失敗を防いでいるのです。
緊張しやすい場面を想定し、その状況や動作などを具体的にイメージします。初めは1~2分ほどのイメージトレーニングから始め、徐々に5分くらいまで時間をのばしていきましょう。できるだけ、鮮明にイメージすることが大切です。
自分に対するポジティブな発言を繰り返す
緊張する場面では、ネガティブな思考になりがちです。しかし、ポジティブな独り言を繰り返すことで、緊張緩和の効果があるので試してみましょう。スポーツ選手の中にも、試合中に独り言をいいながらプレイして、緊張緩和を図っている人もいます。
ポジティブな独り言とは、例えば「大丈夫」「今日も頑張ろう」などのような言葉です。緊張する場面で、いきなりポジティブな独り言を実践することは難しいので、なるべく普段から、ポジティブな言葉を発する癖をつけておくとよいでしょう。
1日を明るくポジティブに過ごすことに慣れたら、緊張する場面でも、自然にポジティブな言葉が出てくるようになります。
練習やリハーサルを繰り返す
緊張することは、心配要素があることが原因の可能性があります。事前練習をしっかりしてから、本番に挑むことで、心配要素を取り除くことが可能になり、緊張の軽減につながります。
場数を踏めば踏むほど、緊張することも減っていくものです。本番を何度も行えなくても、リハーサルを繰り返す、事前に本番会場に行ってみるなどして慣れていくことで、次第に緊張が小さくなっていきます。
面白いことがなくてもおもいっきり笑う
笑うとNK(ナチュラルキラー)細胞が活性化し、免疫力が上がります。さらに、自律神経の働きが整い、リラックスできるともいわれているので、笑うことはとても大切です。
また、笑うことで筋肉の緊張状態が軽くなり、心理的に余計なことを考えさせずに、心を無にすることを促します。常に精神状態を安定させるためにも、日常的に笑うことを意識するとよいでしょう。そして、緊張する場面では、本番の前におもいっきり笑うと、リラックス効果が期待できます。
アロマを楽しむ
アロマテラピーは、歯科治療の際にも取り入れられているリラックス法です。歯科治療時には、不安や緊張が起こりやすいのですが、アロマテラピーを導入したことで、患者の不安や緊張を改善させるために、有効性があるとされています。
歯科治療時に、ラベンダー精油溶液を浸潤させたシートを、患者の両目に覆ったところ、治療中にリラックスできたという声が多かったそうです。他には、ローズオットー精油にも、ストレスや緊張感を和らげる作用があるとされています。
緊張する場面での経験を増やす
緊張を克服するためには、慣れも大切。人前で目立つ行動をしたり、たくさんの人と接する機会を増やしたりして、緊張する場面での経験を増やして慣れることで、緊張の克服につながります。
また、初対面の人と話す機会を増やすことも効果的です。なるべく場数を踏み、柔軟に対応できるスキルを身につけましょう。
面接で緊張しない方法
人によっては、今後の人生を左右する大切な面接です。面接で緊張しない人のほうが少ないでしょう。しかし、緊張して面接を失敗するわけにはいきません。面接で緊張しない方法を学びましょう。
入念にリサーチなどの事前準備をする
最も大切なことは、事前準備です。特に採用企業やその業界のことを、入念にリサーチしましょう。インターネット、新聞やビジネス誌、家族や友人など、できる限り幅広くリサーチして、情報収集をすることが大切です。
企業のホームページを見ただけでは、得られないような情報量を頭に入れておくことがポイント。しっかりと事前準備をすれば、その事実が自信につながって緊張を緩和させます。
また、面接で話す予定の自己PRや志望動機は、声に出して練習しておきましょう。しかし、言葉を丸暗記することはよくありません。一言間違えると、頭が真っ白になってしまうためです。自己PR、転職理由や志望動機、業界や企業の話など、一連のイメージを持って面接に挑んだほうが、スムーズに話せます。
第一印象に自信をつける
第一印象は、見た目から入る情報が55%を占めるといわれています。見た目の印象を左右するのは、服装、姿勢、お辞儀、笑顔など。それらに気を配ることで第一印象に自信がつき、緊張が軽くなることが期待できます。
面接時の服装は、TPOを意識することが大切です。姿勢は、前かがみになっていないかをチェックし、正しい姿勢を意識しましょう。お辞儀は、背筋を伸ばしてゆっくりします。笑顔は、口角を上げることを意識するとよいです。
自分らしさを出し働きたい気持ちを伝える
面接では、受け身の姿勢でいるよりも、自分らしさを出した能動的な姿勢のほうが、よいとされています。受け身の姿勢は払拭し、自分らしさを出したほうが、採用担当者の印象もよいです。
また、働きたい気持ちを強く伝えようとすることで、緊張に飲み込まれにくくなります。企業の社訓や求めている人物像などを事前に調べておき、企業が求めている答えを提示しながら、その企業で働きたいという気持ちをアピールすることに集中しましょう。
面接後に面接時の様子を振り返る
面接後に振り返ることで、緊張してしまうポイントや弱点を見つけられます。万が一、面接に落ちてしまったときには、なぜ落ちてしまったかを考えましょう。次回に向けて、自分の課題や弱点を改善でき、次回の緊張軽減にもつながります。
振り返るポイントは、第一印象に問題がなかったか、志望動機に説得力があったかなど。どうしてもこの業界で働きたい、この企業で働きたいということを、面接時に伝えられていたかがポイントです。
人前でのスピーチで緊張しない方法
人前でスピーチをすることは緊張するものです。静かな空間の中で、大勢の人が自分に注目している姿を想像するだけで、スピーチをする前から緊張してしまう人は多いのではないでしょうか。人前でのスピーチで緊張しない方法もあるので、参考にしてみてください。
ジェスチャーを交えてスピーチする
緊張せずに話せるコツは「ジェスチャーを交えること」です。ジェスチャーは、聞き手に対して「話がうまい」という印象を与えることに、役立つ可能性があります。
話がうまい印象を、与えられていることが自覚できれば、自分に自信がついて緊張感が和らぐ効果もあり、堂々としているように見せることも可能です。また、ジェスチャーを交えながら話をすると、考えがより明確になり、自然にスムーズにスピーチができるようになります。
スピーチの最初を記憶する
例えば、スピーチの予定時間が3分だったとします。この3分間のスピーチで話す内容を、すべて暗記すれば不安がなくなるだろうと考える人もいますが、それはリスクが大きくおすすめできません。一度忘れてしまったら、そのあとの話が続かなくなる可能性があります。
スピーチは話し始めるときが、一番緊張するものです。緊張してあわてないために、最初の15秒ほどのスピーチを暗記しましょう。話し始めるときの内容も大切です。例えば、挨拶、自己紹介、スピーチの内容を簡潔に説明するなど。話し始めと最後の締めの挨拶は、事前にデモンストレーションをしておきましょう。
台本を見ながらスピーチする
台本、メモ、資料など、何も見ることなくスピーチをしたほうがよいと思われがちですが、そんなことはありません。特に緊張しやすい人の場合は、台本を見ながらスピーチをすることをおすすめします。
スピーチを暗記したり、アドリブで話そうとしたりするなど、過度な負担がかかると緊張を大きくするだけです。台本があれば負担は軽くなり、緊張も小さくなります。台本を用意することに、負い目を感じる必要はありません。「きちんと伝えたいので台本を用意しております」などと、一言断りを入れてからスピーチを始めるのもよいでしょう。
一人と会話するようにスピーチする
緊張の原因の一つに「大勢の人が自分に注目している」という思いがあります。聞いているすべての人に向けて、スピーチをするという心構えではなく、一人と会話する心構えでスピーチをしたほうが、気持ちが軽くなり緊張感が軽減しやすいです。
大勢の人が聞いている中で、そのすべての人がスピーチの内容に興味を持って、共感してくれる状況はなかなかありません。
すべての人に共感を求める必要はないので、反応がよい一人の人を見つけて、その人と会話するようにスピーチをすることをおすすめします。反応が悪い人を見つけると、モチベーションが下がってしまうので、反応がよい人だけを見て話したほうがよいです。
話す内容や目的に集中してスピーチする
緊張しやすい人は、自分の緊張ばかりに意識が向いてしまいます。「緊張したくない」と考えると、ますます緊張してしまうという悪循環に陥るなどして、頭の中はスピーチの内容ではなく、緊張のことでいっぱいになってしまいます。
話す内容やスピーチの目的に集中することで、緊張を克服できます。集中していると、無駄な考えごとをする余裕がなくなるので、緊張を忘れることもできるのです。
スピーチに自分の感情を盛り込む
挨拶や自分の感情を表す「自己充足的コミュニケーション」を追加すると、聴衆の緊張が軽減されます。「自己充足的コミュニケーション」とは、特に目的なく話をすることで、満足感を得るコミュニケーションのことです。自己充足的コミュニケーションは、結果的に自分の緊張の軽減にもつながります。
さらに、聞き手がリアクションしやすい、うなづきやすいという効果もあります。自己充足的コミュニケーションを意識して話すとしたら、「暑いですね」「寒いですね」「おはようございます」など、ごく簡単な世間話と挨拶のようなものを追加するだけです。
緊張で現れる症状への対処法
緊張すると、体に異変が起こることがあります。緊張で現れる症状にはさまざまなことがありますが、代表的な症状の対処法について見ていきましょう。
緊張による手や足の震えへの対処法
緊張すると、手や足が震えることがあります。多くの人が震えを止めようと、手や足に力を入れてしまうのですが、これは逆効果です。筋肉を緩めなければ緊張は和らぎません。緊張する場面に入る前に、手首や足首を重点的に回しておくことで、震えを予防できます。
それでも震えてしまったら、両手を後ろに隠すか、マイクを持っている場合は、先端をアゴにつけることもおすすめです。両手を前に出していると震えが目立ってしまい、気になって集中できません。両手を後ろにすることで、猫背ではなくなり背筋もピンとして堂々とした印象を与えます。
緊張でうまく話せない場合の対処法
緊張で声が震えてしまうこともよくあります。それは、呼吸の仕方が原因の可能性があり、横隔膜とその周辺の筋肉を動かす腹式呼吸をすることで、震えない声をつくることが可能です。一方で胸式呼吸は、肺の上を使って動かすので、息が浅くなります。さらに、声帯に近いために声が震えやすくなるので、呼吸の仕方に気をつけましょう。
また、緊張でモゴモゴといってしまう場合の対処法もあります。緊張するとモゴモゴとした口調になりがちな人は、あくびや巻き舌などの準備運動がおすすめです。
緊張で頭が真っ白になってしまった場合の対処法
緊張で頭が真っ白になってしまうことは、最も恐れていることです。そのような最悪の事態を避けるためにも、プレゼンなどでテーマがあればそのテーマをいいましょう。
テーマをいうことでリフレッシュになり、忘れていたことを思い出せればよいのですが、そんなに簡単にはいきません。そのような場合は、緊張や混乱していることを告白し、落ち着いて少し考える時間が取れれば、立て直すこともできるでしょう。
緊張しすぎないために毎日続けたいこと
いつかやってくる緊張する場面のために、毎日の生活の中でできることがあります。
迷走神経を鍛える
「迷走神経」とは、脳幹から腸までつながる神経のことで、心臓や肺などに信号を送っています。緊張していると、迷走神経トーン指数が低下し、交感神経系が支配的になることがわかっています。
また、緊張すると迷走神経がアセチルコリンを放出し、リラックスするように促すのです。迷走神経の反応が強い人ほど、緊張状態から早く回復できる傾向があります。腹式呼吸を心がけるなどして、迷走神経を鍛えるとよいでしょう。
セロトニンを増やすように心掛ける
セロトニンは、脳神経伝達物質である「ノルアドレナリン」の分泌を、抑える効果があります。セロトニンが不足すると、緊張しやすくなるのです。セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれており、安らぎや精神の安定に関係します。
セロトニンを増やす方法は、「太陽の光を浴びる」「よく噛んで食べる」「ウォーキングなどの適度な運動」「アミノ酸の一種であるトリプトファンやビタミンB6を含む食べ物を食べる」などがあります。
定期的に運動する
定期的な運動を続けることで、緊張しにくくなる可能性があります。定期的な運動は、副交感神経活動の亢進がもたらされるからです。
また運動したことで、心理活性効果も表れます。運動後は交感神経活動指標が上昇し、副交感神経活動指標は低下して、不安や緊張、うつの症状が低下したという調査結果もあります。
カフェインの摂取量などに注意する
カフェインを取りすぎると、不眠症や頭痛、下痢、吐き気、イライラ感、脱水症、不安、震え、緊張感などを引き起こす可能性があるので注意しましょう。精神面に加えて、健康被害が起こることもあります。
これらはあくまでも、過剰にカフェインを摂取した場合に、起こりうるリスクです。個人差があるので、たくさんカフェインを摂取しても異常が現れない人もいれば、少量のカフェイン摂取でも、心身に不調をきたす人もいます。食品からのカフェイン摂取は、国際機関で注意喚起されているほどなので、摂取量には気をつけましょう。
いろいろなことに感謝する
「ありがとう」と感謝する習慣がある人は、日頃から感謝しない人と比べて、緊張に影響するストレスホルモンの分泌が、23%少ないというデータがあります。感謝する習慣をつけることで、ストレスホルモンの分泌が少なくなり、緊張しにくくなる可能性があるのです。
日々起こる些細な出来事でも、「ありがとう」の言葉を忘れないようにしましょう。「ありがとう」の言葉は、脳に安定をもたらす薬やサプリのようなものです。
睡眠時間を十分に確保する
心身ともに元気でいるためには、睡眠はとても重要です。睡眠は緊張にも影響があり、睡眠時間が十分に確保されていないと、緊張する度合いに悪影響を与える可能性があります。
睡眠時間を十分に確保していれば、練習したことを記憶するという点でも、よい影響があるものです。本番の前夜は緊張があり、夜更かししてしまいがちです。ただし、睡眠不足になると緊張を悪化させるので、よくありません。早めに就寝し、質のよい睡眠が十分に取れるように心がけましょう。
自分に合った対処法を見つけよう
緊張を予防するためには、事前準備をしっかりするなど、さまざまな対処法があります。日頃から対処法を意識することで、本番でうまくいく可能性もあるので、試してみましょう。
しかし、緊張を予防する方法を試しても、結局本番に緊張してしまい、手足が震えるなどの症状が出ることもあります。その場合は、緊張で硬くなった筋肉をほぐすように、体を動かすと効果的です。
毎日の生活に取り入れる対処法は、睡眠を十分に確保する、カフェインの摂取を控えるなど。普段の生活の中に、取り入れられる対処法もあります。いろいろな対処法の中から、自分に合った方法を見つけましょう。