介護職がつらくて辞めたいと感じたら。思い悩んだときのための解決法
辞めないほうがよい理由
どのような職業においても、辞めるべきか思い悩む時が、誰しも一度はやってくるかもしれません。その中でも介護職は、未経験や無資格でも働ける施設があることから、入社1年目の給料は、かなり低い傾向にあります。また、汚い・きつい・危険(3K)というイメージがある人も少なくありません。
そんな、決して華やかとはいえない介護職を、辞めるべきか悩んでいる方へ、辞めないほうがよい理由をお伝えします。
スキルアップの場になる
介護職は、利用者が自立した生活を送れるように、支援または介助をする職業です。利用者とすぐに分かり合える関係にはなかなかなれず、他の介護職員や利用者の家族とも、日々コミュニケーションをとっていかなければなりません。
そのため、1日でも早く利用者の名前や好きなものを、覚えるために頑張ることでやりがいを見いだし、結果的に利用者から感謝されて、自分にとってよい経験となります。
また、3年、5年と勤めていくと、受験できる資格が増えます。まったくの未経験で介護職に就き、自分の頑張りによって、介護福祉士や介護支援専門員(ケアマネージャー)の資格を取得した人が大勢いるのです。そうすることで、昇給や昇格が望め、今まで経験できなかった仕事もできるようになり、自分をスキルアップさせられます。
失職することが少ない
介護福祉士や介護支援専門員など、さまざまな資格を取得しておくと、都市ではもちろん、地方でも働きやすいというメリットがあります。また、都市から地方へUターンすることによって、これまでよりも福利厚生などが待遇される施設もあるようです。資格を持っていれば持っているほど、手厚く歓迎される可能性もあります。
介護職のよいところは、急なリストラなどの心配が極めて少なく、正規雇用での採用が多いところです。施設などによっては、夜勤を月に何回するのか、また休みや待遇などもそれぞれ違います。これまで正社員として働いていて、出産や親の介護によって、フルタイムで働けなくなってしまっても、パートや時短職員として働けることも、介護職のメリットといえるでしょう。
辞めたくなる理由
辞めないほうがよい理由をお伝えしましたが、次に介護職を辞めたくなる理由を確認してみましょう。もしかすると、現在悩んでいる理由が当てはまるかもしれません。
精神的にきつい
介護職は、とても精神的にきついと感じる職業かもしれません。各施設によって状況は変わりますが、送迎や日常的にお世話をしていた、仲のよい利用者が亡くなってしまったり、引っ越しせざるを得ない状況になったりすることもあります。
また、その日の利用者の機嫌や体調によって暴力的になったり、暴言を吐いたりする人がいることも確かです。さらに利用者だけでなく、介護職員同士もお互いをけなしあったり、いじめとも取れるような行動や言動をしたりする人もいます。
こういった状況から大きなストレスがかかり、次第にうつ病などの精神疾患にかかってしまう介護職員もいるので、精神的にきついという人が多いようです。
体力的にきつい
利用者が自立した生活を送れるように、支援するのが介護職の勤めです。その生活の中では食事はもちろん、入浴介助やトイレ介助、車椅子への移乗などをしなければならないので、体力をとても消耗します。
どの介助も1日に一人だけではなく、多くの利用者の介助をします。そのため、正しい介助の仕方をしていても、人手不足により過剰勤務を繰り返すことになりがちです。そして、休みなく介助を行っていると、中には腰を痛めてしまう人もいることが現状です。
また、新しい介護職員が入ってもすぐに辞めてしまい、休みを返上して働いている職員も大勢います。そのため、2週間に一度しか休みを取れない職員も多く、夜勤明けで遅番、夜勤の次の日に出勤ということが重なります。結果、体力的にきつく、介護職を辞めてしまう人がたくさんいるのです。
給料が低い
施設によっては、未経験でも働ける介護職は、日本になくてはならない業種にもかかわらず、給料がかなり低いことが問題視されています。学歴に左右されない「介護職員初任者研修」という資格を取得したとしても、無資格者とそこまで大差ない給料です。
また、夜勤がある施設でも、1回の夜勤につき5,000?8,000円ほどと、バラつきがあります。勤務時間も16時?や17時?だったり、終業時間も9時や10時とバラバラだったりして、月に何回夜勤に入るかによっても給料にも差が出ます。夜勤のないデイサービスなどの施設では、給料にバラつきはありません。しかし、夜勤がない分給料が格安で、家庭がある人は副業をしているという人も少なくありません。
介護職は最低でも3年勤務し、介護福祉士の資格を取得してキャリアアップしなければ、給料は上がりません。5年、10年と働いていけば、介護支援専門員(ケアマネージャー)の資格を取得したり、施設の管理責任者になったりすることで、給料が上がることが期待できます。
辞めたほうがよいブラック企業
介護職でいうブラック企業とは、長時間労働や、休日が少ないということだけではありません。次に書いていくような行為をしているブラック企業は、いち早く辞めることをおすすめします。
違法な医療行為をさせられる
2012年の介護保険制度の改正で、一定の研修を受講して資格を取得することにより、医師の指示と看護師と連携をしながら「たん吸引」と「経管栄養」を、介護職員が提供できるようになりました。
しかし、人手不足が深刻になっている施設などでは、無資格の職員が、たん吸引やインスリン注射などの医療行為をすることは、許されていません。中には無資格にもかかわらず、上司の指示に逆らえずに医療行為をしてしまい、逮捕されたケースもあります。
上司が仕事を教えてくれない
利用者の命に関わる身体介護で、上司に方法を聞いても無視をされたり、「適当にやっといて」など、無責任な発言をしたりする場合はすぐに辞めるべきです。介護職は、少ない職員らが一つのチームとなって、利用者に向き合っていかなければなりません。
上司や先輩が仕事を教えてくれないなど、いじめともいえる環境で無理に働くと、うつ病などの症状が出ることもあります。精神的に参ってしまうと環境はさらに悪化し、自分を追い込んでしまい、仕事が手につかなくなってしまうことも。そのような場合は、きっぱりと辞めて新しい環境に一歩踏み出してみましょう。
ストレスを浄化できる環境かがポイント
仕事をしていくうえで大切なことは、ストレスがある環境の中で、いかに浄化できる環境があるかがポイントになります。うまくストレスを浄化していける環境とは、どのような環境なのでしょうか。
ストレスもあるが楽しいこともある
たくさんの個性をもつ人々と、長時間コミュニケーションをとらなければならないので、大きなストレスを抱えることがあるかもしれません。どの業種の仕事でも、それぞれ違う大変さがありますが、介護職は利用者の笑顔を見るとうれしく感じ、利用者の言葉に助けられるなど、たくさんのメリットもあります。いつもと違う介助方法を試したら、利用者から感謝の言葉をもらい、「明日も頑張ろう」という気持ちになれることもあるでしょう。
仕事でのストレスを上回るほどのやりがいを、見いだせたと感じられるのであれば、上手にストレスを浄化できるよい環境だといえます。
人間関係がよい
介護職を辞めたいと思う人が、よく挙げる理由の一つとして、職員同士の人間関係があげられます。例えば、「介護職員や看護師など、チームワークがとれている」「夜勤が続いて体力的にきついときや、急に体調を崩してしまったときなどに、声を掛け合える関係である」そして「会議でスムーズに意見をいい合える環境」こそが、人間関係のストレスがない職場といえるでしょう。
上司や他の職員に相談ができてお互いに助け合い、利用者が快適に過ごせる環境を作れる職場こそ、ストレスが少ない素晴らしい環境といえます。
介護職を辞めたいと思ったら相談できる環境か考えてみよう
介護職を辞めたいと悩み始めたら、周りは相談できる環境であるか、一度考えてみましょう。もし、相談できる上司などが、たった一人でもいるようであれば、決して一人で悩んで答えを出さずに、まずは相談することをおすすめします。そうすることで、周りの環境が変化したり、良い方向に進んでいったりするかもしれません。
介護職はじっくり長い時間をかけて、キャリアアップしていける業種です。ときには、大きなストレスを抱えたり、精神的に参ってしまったりすることもあることでしょう。しかし、職場環境が劣悪だったり、違法行為をしていたりする場合は、辞めて転職することも考えてもよいかもしれません。自分が将来、何を目指してどういった環境で働くことが最適なのかということに、ぜひ向き合ってみましょう。