消防士の仕事について理解を深めよう。意外と知らない仕事内容や実状
消防士の仕事は消火だけではありません
消防士の仕事は、火事の消火だけだと思っている方が多いのではないでしょうか。消火活動以外にも、消防士にはいろいろな仕事があります。仕事の内容だけでなく勤務時間や収入、消防士になるにはどうしたらいいのか、など意外と知られていない消防士に関する情報をまとめました。
消防士の仕事内容とは?
消防士の仕事には、どのようなものがあるのでしょうか。仕事内容についてみていきましょう。
主な任務は5つの活動
1.「消火活動」 119番通報を受け、火災現場に駆けつけて延焼をくいとめるとともに、現場からの人命救助を行います。
2.「救助活動」 119番通報を受け、交通事故や交通事故以外の一般事故でけがや急病になった人の応急手当をして、医療機関へ搬送します。
3.「救命活動」 災害現場などで、人命を救助します。
4.「防災活動」 火災が起きないように、防災訓練などの啓蒙活動を行います。
5.「予防活動」 建物の防火上の安全性や消防用設備等の設置について、現場の実状を厳格に審査・検査し、その結果に基づく指導を行う業務です。
消防士の勤務時間・勤務体系
消防士の勤務時間は、各自治体の勤務体系によってさまざまです。しかし、共通しているのは、消防士は一般的な公務員と異なり、緊急の通報があれば24時間いつでも出動しなくてはならないということです。
2部制
「24時間勤務、非番、休日、24時間勤務」のパターンで行う交代勤務が2部制です。この形をとっている消防本部が最も多いようです。誤解されがちですが、非番とは完全に休みという意味ではありません。何かの事態で出動を余儀なくされることもあります。
3部制
3部制とは、「日勤・当番・非番」に分かれる交代勤務を指します。日勤は朝から夕方までの勤務となり、基本的にデスクワークになります。当番の日は24時間勤務で、2部制と同様に仮眠や休憩を挟みます。
毎日勤務
毎日勤務は基本的には「8時半から17時半まで」の間に働く形式です。デスクワーク多い消防庁の本庁で見られます。毎日勤務の場合は週休2日制となり、一般の会社と同様に土日が休みとなります。
消防士の仕事の大変さとやりがい
消防士の仕事の大変さとやりがいとはなんでしょうか。
大変さは「自分の身を危険にさらして、他人の命を守ること」
我が身をかえりみずに炎の中に飛び込んだり、危険を冒してでも険しい山岳地帯に分け入っていく。そういった行動によって、尊い生命が助かるのです。
やりがいは「人の役に立っていることを実感できること」
社会や地域、市民の役に立っていることを実感できるときです。消防士の重要な活動のひとつに、火事を未然に防ぐための「防災活動」があります。これができれば、火災で命を落とす人は格段に減ります。
そのため、建物の防火上の安全性や消防設備をチェックしたり、住民への災害意識を高めるための呼びかけをするなどしていきます。地域や社会の安心、安全を守る存在として活躍できることも、消防士のやりがいのひとつだといえるでしょう。
消防士になるために必要な技術や資格
消防士になるために必要な技術や資格についてまとめました。
どんな種類の資格があるのか
消防士の仕事に医学的知識が求められるのはもちろんですが、「危険物取扱者」、「大型4輪」、「移動式小型クレーン」などの資格を持っていると、実践に役立ちます。デスクワークが中心の消防士には、「パソコン検定試験」、「簿記」などの資格が役立つことがあります。人命救助に関わる資格として「救急救命士」や「JPTEC」があります。
消防士になるために必要な技術や資格の勉強法
最近では消防官採用試験の合格を主な目的とした専門学校やスクールが設立されています。「筆記・面接・体力試験」といったあらゆる内容の本格的な指導を受けることができます。
警察官や消防士といった体力が必要とされる職業を目指すための専門学校・スクールの多くでは、トレーニング設備も充実しています。スクールの専用設備とコーチをフルに活用して、効率的に体を鍛えることができる点も通学する大きなメリットといえるでしょう。
ステップアップにつながる資格
救急隊員として病院に搬送するまでに適切な処置を行う「救急救命士」、消化器やスプリンクラーなどの点検を行う「消防設備士」、そのほかにも「防火管理者」や「自衛消防技術認定」など、さまざまな資格があります。これらの取得が消防士としてのステップアップにつながる事もあります。
消防士の気になる給料(年収)
消防士の給料はどれくらいなのでしょうか。気になる給料について調べてみました。
消防士の平均月額給与
消防士は公務員ですが、職務の危険性や特殊性から、一般的な公務員より12%程度高い給与が支給されています。平均の月額給料は、平均年齢40.5歳で31万7,766円となっています(地方公務員給与実態調査平成22年4月1日現在)。また、消防士の初任給は高卒・大卒で異なり、5万円程度差が出てきます。また、高卒に比べて大卒の方が昇進しやすく、昇給のペースも早いため、給与面では高卒よりも大卒の方が有利でしょう。
消防士の諸手当
消防士には、「出動手当」や「扶養手当」などの手当と、火災や災害等の現場に出動した場合には「消防業務手当」が、緊急の業務のため出勤した場合には「緊急出勤手当」が支給されます。ボーナスは夏冬ともにおよそ2カ月分、年間にして3.95カ月支給されます。
消防士の補償制度
一般的な公務員と比べて負担が大きい職務内容となるため、さまざまな補償制度が用意されています。入院が必要など一定期間職務に戻れない場合には「療養補償」や「休業補償」が、職務で障害を負ってしまったり殉職してしまったりした際には「介護補償」、「障害補償」、「傷病補償年金」、「遺族補償」および「葬祭補償」などが支給されます。
消防士で女性はどのくらい活躍している
消防士全体の女性の割合は数パーセントですが、男女雇用機会均等法の改正をきっかけにして女性消防士の割合は増加傾向にあります。
女性消防士の仕事内容は、避難訓練の指導をしたり、防災の広報活動に携わったりと、デスクワークが圧倒的に多く見られます。しかし、現場に出動する女性消防士もいます。本人の熱意や体力、努力次第でデスクワーク以外の業務に携わることは十分に可能です。
消防士は誇りの持てる仕事です
消防士は、地方公務員で景気に左右されず安定した収入を得られる仕事であることから、非常に人気が高い職業であるといえるでしょう。一方で、時には命の危険があるような現場にも出動しなければならない大変な職業であることも分かりました。消防士は誇りの持てる立派な仕事です。現役の消防士はもとより、これから消防士を目指す方に感謝と応援を送ります。