便秘は何日まで大丈夫なの?便秘の症状と種類・原因別の改善方法など
毎日排便がない
自分も子供も何日か排便がなく、腹部の不快感で悩んでいる人もいるはず。この状態が続くとお腹が張ったり、食欲がなくなってしまったりといった症状が引き起こされます。
便秘に関する知識がないと、便秘薬に頼った方がいいのか、生活改善で治した方がいいのか分からず困ってしまいます。本記事では、便秘を改善するための情報を記載しています。情報を参考にして、不快感や苦痛から解放されましょう。
毎日排便がないと便秘なのか
毎日排便がないと「便秘」だと、思い込んでいる人は多いでしょう。便の排出は本来体外に出されるべき便が、スムーズに出ない状態のことだと定義されています。このため、1日1回便を出したとしても、排便の困難や残便感、お腹が張るといった症状がある場合は便秘となるのです。2~3日に1回の排便でも、スムーズに行われてすっきり感があればそれは便秘にはなりません。
便秘のときに大腸で起こっていること
食べ物を摂取してから排出するまでの消化器の流れは、食道から胃、小腸、そして大腸の順です。大腸は消化器の最終の働きを担当しており、食べ物の残りかすはここを通り抜けるうちに水分が吸収されて、便として排出されます。
腸が健康だとぜんどう運動が正常に行われているため、排便がスムーズになります。しかし、ストレスや運動不足、便意を我慢してしまうと、ぜんどう運動の機能が低下してしまうのです。
便秘の種類は大きく分けて2種類
便秘の種類を大きく分けると「機能性便秘」「器質性便秘」の2種類あります。
消化機能の低下が原因の「機能性便秘」
機能性便秘は胃や小腸、大腸などの消化器官の低下が原因で起こります。主な症状は「急性便秘」「慢性便秘」「医原性便秘」の3種類です。それぞれの特徴を以下に記載しました。
蠕動運動が鈍って起こる「急性便秘」
急性便秘とは、大腸のぜんどう運動が鈍って起こる一時的な便秘。ぜんどう運動が鈍ることによって便を押し出す力が弱まり、排便が困難になってしまうのです。環境の変化によるストレスや体内の水分不足、食物繊維の少ない食事を摂ることが原因で起こります。急性便秘はこれら原因を回避すると、防ぎやすくなります。
日常的に起こる「慢性便秘」
慢性便秘は大腸に便が留まってしまい、数日の間排便行動がない状態のことを指します。慢性便秘は主に「けいれん性便秘」「弛緩性便秘」「直腸性便秘」の3つのタイプに分かれています。
【けいれん性便秘】
けいれん性便秘とは、仕事や人間関係などでストレスをうけることによって自律神経がアンバランスになり、副交感神経が緊張しすぎることによって引き起こされる便秘です。
下行結腸(かこうけっちょう)にけいれんした部分が生じて、その部分が狭まってしまい、便の正常な移動が妨げられるために起こってしまいます。仕事や家庭でストレスが多い人や、常に緊張が抜けない人がなりやすいとされています。
【弛緩性便秘】
弛緩性(しかんせい)便秘とは、大腸の働きの異常が原因で起こる便秘です。ぜんどう運動や筋肉量が低下したりすると、便を押し出す力が弱くなるため便が排出されづらくなって引き起こされます。弛緩性便秘は、運動不足や出産回数の多い女性によくみられるといわれています。
【直腸性便秘】
直腸性便秘とは便が直前の排出場所にあるのに、便意が脳に伝わらないために起こる便秘です。便意の我慢のし過ぎや、浣腸をする頻度が多いことが主な原因。
特に女性に多いといわれておりその理由としては、恥ずかしくて便意を我慢してしまったり、化粧や身支度に時間がかかるため排便を後回しにしてしまうからだとされています。
腸の形状により起こる「器質性便秘」
器質性便秘は腸の炎症や閉塞、腫瘍などの疾患で腸管が狭まったり、先天的大腸過長症などで腸の大きさや長さの異常が生じることが原因で起こる便秘です。器質性便秘は原因となっている疾患を病院で治療すれば、改善が見込めます。ただし、先天性が原因の場合は、便秘と上手く付き合っていく方法を考える必要があるとされています。
原因別の日常生活に取り入れられる改善方法
排便をスムーズにするためには原因別に分けて、日常生活に取り入れやすい改善方法を行うことが大切です。継続して行うことによって便秘が改善されやすくなり、不快や苦痛から解放されます。
弛緩性便秘には不溶性食物繊維がおすすめ
腸の働きが低下気味の弛緩性便秘を改善するには、「不溶性食物繊維」を摂取するのがおすすめです。不溶性食物繊維は、水にとけずに腸内の水分を吸収して膨らみ、腸壁を刺激してぜんどう運動を活発化させる働きを持っています。
ぜんどう運動が盛んになることで、便をスムーズに体外に排出できるのです。この成分が多く含まれている食材は、ゴボウやサツマイモ、ブロッコリー、納豆などです。
痙攣性便秘には水溶性食物繊維がおすすめ
ストレスが原因で引き起こされるけいれん性便秘を改善する場合は、腸に刺激を与える不溶性食物繊維よりも「水溶性食物繊維」の摂取をおすすめします。水溶性食物繊維は腸内で水に溶けてゲル状になり、食べたものと混ざり合ってゆるやかに移動します。
あまり刺激をあたえないため、蝶が正常に機能するようになり、便を適度なやわらかさにしてスムーズに排出されるのです。この成分は、海藻類やキノコ類、果物類などの食材に多く含まれています。
直腸性便秘には肛門の伸縮運動がおすすめ
便意が感じにくくなって起こる直腸性便秘の改善には、肛門の伸縮運動を行うことをおすすめします。「肛門括約筋(こうもんかつやくきん」の機能低下が原因としてあげられます。
この部位を鍛えることにより、便がスムーズに体外へと排出されます。ただし、女性の場合は「直腸瘤(ちょくちょうりゅう)」という病気につながる可能性があるとされています。重症になると手術が必要となるため、「直腸性便秘かな?」と思ったら、病院で専門的な検査を受けるようにしましょう。
肛門の伸縮運動のやり方
1.肛門をギュッと締めて、「1、2、3、4、5」と数を数える。
2.力を抜いて肛門を緩めて、再度「1、2、3、4、5」と数を数える。
3.これを1セットとし、1日10~20セット行う。
子供の便秘の原因
女性の病気というイメージが強い便秘は、子供にも多く認められています。NPO法人の「日本のトイレ研究所」の調査によると、小学生の5人に1人が便秘であることが分かったとされています。その原因としてあげられるのは、食事と生活習慣。水分や食物繊維が少ない食事や便意の我慢、ゆとりのある時間にトイレに座るという習慣をつけることが守られていないことです。
子どもの健康を守るためにも、食事は水分や食物繊維を豊富に含んだ食材を使用して調理し、生活習慣においては便意を我慢しないように配慮するように心がけましょう。
病院での受診が必要な症状
便秘の症状の中には、病院での受診が必要なものがあります。早めに受診して、悪化を防ぐようにしましょう。
大人の場合「器質性便秘」
器質性便秘は、「急性」と「慢性」の2種類があり、それぞれ原因の病気が異なります。急性の場合は、腸閉塞(ちょうへいそく)や腸捻転(ちょうねんてん)などの病気が考えられ、激しい腹痛や嘔吐を伴う場合が多いです。
一方、慢性の場合は「大腸ガン」「大腸ポリープ」などの病気があげられ、便だけでなく血や粘液が出たり、急性と同じく激しい腹痛や嘔吐を伴ったりする場合があります。どちら食生活や生活習慣の改善では治りにくいので、病院への受診をおすすめします。
子供の場合
子供の場合は、2~3日排便がなければ病院で適切な治療を受けた方がよいといわれています。便秘が悪化してしまうと、腹痛や食欲不振、吐き気などの症状を引き起こす可能性があるためです。
また、長期間放置すると改善に時間がかかってしまいます。そのため、子供が便秘を訴えたり、「便秘かな?」と思ったりしたら、早めにお医者さんに相談にするようにしましょう。
良好な腸内環境になるまで
食生活や生活習慣を見直した生活を続けて、良好な腸内環境にするためには、約3カ月くらいの期間が必要になります。人の細胞が生まれ変わるまでの期間が、約3カ月とされているからです。
腸内の細胞が生まれ変わることによって、大腸の機能が正常に機能するようになり、排便がスムーズに行われます。効果の出る期間が少し長く感じますが、便秘からの不快感や苦痛から解放されるためにも、腸内環境の改善は継続して取り組むようにしましょう。
日々の生活で便秘改善を目指そう
便秘は軽視されやすい疾患ですが、放置してしまうと悪化して重症化してしまう恐れがあります。改善するためには、毎日の食生活や生活習慣を見直すことが大切。
また、自分がどの種類にあてはまるのかを知る必要です。種類によっては日頃の生活習慣などを正しても、改善されないものがあるので、病院を受診することがおすすめです。日頃から便秘改善を意識して、健康な体を維持しましょう。