投資のプロフェッショナル、証券アナリストの年収を知ろう
まずは証券アナリストの気になる年収を知ろう
「貯蓄から投資」の掛け声のもと、投資信託や株式などで運用し、投資がより身近なものになってきています。それに伴い知名度が上がってきている職業が証券アナリストです。ここでは、気になる証券アナリストの年収はいったいどのくらいなのか、そしてそもそも証券アナリストはどんな仕事を行うのかをお伝えします。
証券アナリストの給料についてチェック
平均年収
まず証券アナリストの平均年収は約600~700万円です。そして年代別にお伝えすると、20代ではおおよそ300万台後半から400万台、30代は400万台から500万台、40代は500万台後半から600万台、50代は700万台となります。
なお国内の金融機関に勤める場合と、外資系金融機関の証券アナリストでは平均年収も違いがあり、外資系証券アナリストの平均年収は約800~1,500万円と国内に比べ非常に高いものとなります。実力主義、成果主義を徹底する外資系金融機関のため、成果を出せば自身の年収に反映され、このような高い年収になるのでしょう。
また、外資系金融機関のトップアナリストともなれば、最大年収が数千万円にものぼるケースもでているようです。なお外資系金融機関は、未経験のアナリストをあまり雇ってはおらず、まずは国内の証券会社などで経験を積んで、外資系金機関にステップアップするのが一般的でしょう。
加えてこれまでは国内、外資系に限らずどこかの企業に勤めるケースをお伝えしました。なかには、証券アナリストとしての長年の経験を活かして、独立される方もいます。独立後は、経験と知名度を活かしてテレビ出演やセミナーでの講演、有料メールマガジンの配信などを行っているようです。当然毎月決まった給料はなく、これらの出演数や講演回数、メール登録者数などによって給料は大きく変わります。
平均月収給料
次に平均月収は約58万円です。年代別では、20代が25~40万円、30代が40~60万円、40代が50~70万円となります。基本給は他の一般企業と大きな差はないですが、ボーナスが高い傾向にあります。
生涯年収
証券アナリストの平均年収のちょうど真ん中650万円で、大卒23歳から60歳までアナリストを続けられたとして、およそ2億5900万になります。
これは国内金融機関の証券アナリストとして勤めた場合ですので、途中外資系金融機関に転職したり、独立した場合には大きく推定は変わりますので注意してください。
証券アナリストは他の仕事とくらべて高い?それとも低い?
証券アナリストは他の仕事と比べて給料は高いのでしょうか、それとも低いのでしょうか。答えは高いです。日本の平均給料と比べると、20代ではあまり大きな差はないですが、30代、40台と年を重ねるとその差は大きくなります。
それだけ証券アナリストは専門性が高く、長時間労働の激務を伴う可能性があるともいえるでしょう。
証券アナリストで年収1000万円は可能?
先ほど証券アナリストの平均年収をお伝えしましたが、年収1000万円を稼ぐことも可能です。ただしこの大台を超えるには国内の金融機関ではなかなか難しいでしょう。まずは国内の金融機関でしっかりと経験を積み、実力を認められたうえで外資系の金融機関にヘッドハンティングされたら、年収1000万円以上を期待できます。
なお外資系の金融機関では、上司が外国人であることが可能性が高いので、グローバル言語である英語の勉強も併せてコツコツやっていきましょう。
また、外資系の金融機関は実力に応じて年収が高くなりますが、その分結果が出なかった場合には年収が大きく減ったり、突然解雇されるリスクもありますので注意してください。
証券アナリストの仕事概要
これまでは証券アナリストの年収、お金の部分に焦点を当ててきましたが、これからは証券アナリストの仕事内容にフォーカスしてお伝えしましょう。
証券アナリストは、株式や債券、為替などの調査、情報収集、予測などを行う非常に専門性の高い職業です。株式の証券アナリストを例に挙げますと、まず自動車や通信、食品など業種ごとに担当するアナリストを決めます。
そして仮に自動車業界のアナリストになったとします。国内であればトヨタやホンダ、日産などへ基本的には四半期ごとに開かれる業績説明会や企業への電話取材などで情報収集します。また工場見学などを通じ企業ごとに業績動向を調査します。そのため出張も多くなるでしょう。そしてそれらの情報をもとに今期、来期などの業績を予測します。
続いてこちらも基本的には四半期ごとに信託銀行やアセットマネジメント会社など投資家のもとへ訪問し、自動車業界と個別企業の業績動向をプレゼンテーションします。この会社の業績が来期急回復する見込みなので、買い推奨しますといったようなアドバイスを行います。
そして企業によって異なりますが、投資家により四半期ごとにアナリストを評価し、あなたは5ポイントなどポイントを獲得します。その獲得したポイントが自身の給料に反映されます。つまり投資家から良い評価を得ることが年収アップにつながるといえるでしょう。また、日々の定量面も評価対象です。これは四半期にレポートを何本配信したかや、投資家との工場見学などイベントを何件企画したかなども評価されるところもあります。
証券アナリストになるための勉強や資格
証券アナリストは、担当した業界のことなら何でも知っているというくらい専門性を必要とする職業です。そして、お客様である投資家もその業界のことに精通した投資のプロフェッショナルであるということを忘れないでください。
そこで証券アナリストになるまでに、経済系・商学系の大学を卒業されている方が多いようです。ただ証券アナリストは非常に高い専門性を必要とされる職業です。
そのため、例えば自動車業界に勤めていた方が、自動車のアナリストに、医薬業界に勤めていた方が、医薬担当のアナリストとして活躍するケースもあります。
決して経済系・商学系の学部が有利ということではなく、どれだけ専門性を高められるかが重要といえるでしょう。
また証券アナリストに求められる資格として、必須ではありませんが証券アナリスト資格です。
こちらは証券分析業務に必要な専門的知識と分析技術の習得を目的としています。2次レベル試験に合格し、かつ証券分析の実務経験が3年以上と認定された方が取得できる資格です。実際にこの証券アナリスト資格に合格した方のなかには、名刺にも記載しており、一定の評価がされている資格といえるでしょう。
そして証券アナリストとしてグローバルに活躍することを目指している方には、CFA(シーエフエー)資格をお勧めします。こちらは米国のCFA協会が認定する資格で、日本のアナリスト資格同様、証券投資に関する情報分析と投資価値の評価を行う知識やスキルを習得することを目的とします。ただしこちらはすべて英語での受験となり語学力も問われますが、日本でも受けることは可能です。
女性は働きやすい仕事なの?
果たして女性にとって証券アナリストは働きやすい仕事なのでしょうか。答えはイエスです。事実、精緻に企業分析を行い、的確な投資アドバイスをされている女性の証券アナリストはいます。
そして男性と女性で年収の違いはありません。ただし、特に実力主義の外資系金融機関では、四半期ごとの企業の決算発表のピーク時は、何社も業績説明会に出席しすぐに分析レポートを配信したり、定期的に海外出張し外国人投資家にプレゼンテーションを行ったりなど、少なからず業務が大変となる時期があるのも事実です。
こういったコツコツと緻密に分析を行うことが苦にならない、得意である方にとっては証券アナリストはマッチした職業といえそうです。
ふたつの「高い」を備える証券アナリスト
これまでお伝えした通り、証券アナリストは非常に高い専門性が必要です。そして高い専門性と激務のかわりに高い給料をもらえる可能性もあるのが証券アナリストです。
日々の業務は電話取材や企業訪問など地味ではありますが、コツコツと情報収集し、それを精緻に分析することが好きな方にとっては、働きがいのある職業といえるでしょう。