【2】誰かの心に刺さると信じて起業:東 園絵さんインタビュー
なんともユニークなウナギトラベル。東さんはなぜ、ぬいぐるみに旅をさせようと考えたのでしょうか? 根底に「こういうことをしてみたい」というある想いはあったものの、それははっきりしたビジョンではなかったそうです。ところが、自分で楽しんでやっていたあることが、大きな感動を生むことが発覚。今回のインタビューは、どのようにウナギトラベルが誕生したのかに迫ります。
起業のきっかけは、なんとなく作ったぬいぐるみ「うなえ」
―ウナギトラベルを興したきっかけを教えてください。
あるとき、タオル地で「うなえ」というウナギのぬいぐるみを作ったのがきっかけです。なぜ作ったのかは、特に理由はなく…。鰻を食べるのが好きなのでウナギを作りました。
そのうなえを旅行先にも連れて行き、旅先でうなえを撮影し、その様子をブログで発信していました。人間ではなくぬいぐるみを撮影する、今でいう「ぬい撮り」を楽しんでいました。
―ビジネスにしようと思ったのはなぜですか?
そのブログを見てくれていた友人が、私が作ったぬいぐるみの「ウナーシャ」を連れてニューヨークやパリへ行って「ぬい撮り」をしてくれたんです。私は日本にいるのに、ウナーシャはパリのカフェにいたり、ニューヨークでミュージカルを楽しんでいる写真を見て、世界が広がる感覚を覚えました。
私が面白いと感じたなら、なかなか旅ができない人にとってはもっと大きな喜びになるのではと思い、サービスとして始めてみました。
万人からの需要はないかもしれない。でも誰かにはウケるはず!
―サービスとして受け入れられるか、不安はありませんでしたか?
万人ウケはしませんよね。でも、誰かの心にグッとささると信じてサービスを開始しました。
弊社の理念が「Adventure for everyone、誰にでもアドベンチャーを」でして、人だけでなく、ぬいぐるみや物理的に旅ができない人にもアドベンチャーをという意味を含めています。これを理解しない人もいますが、いっぽうでおもしろいと思う人もいるはずだと信じてサービスを始めました。
―どのような方たちがサービスに興味を持ってくれると考えていましたか?
起業当初は病気の方や何等かの理由でなかなか旅行できない方たちを想定していました。ぬいぐるみが旅をするのを通じて楽しんだり、温かい気持ちになったり、そして世界観や価値観を広げるきっかけになるかもしれないと考えたんです。
でも実際は、最初のインタビューでお話したようにいろいろな方が利用してくださっています。
【まとめ】漠然としていても自分の思いを発信することで形になる
東さんが持っていたビジョンは、最初は明確ではなく漠然としていました。しかし、それをエッセイという形にし人前で発表することで、気持ちが強くなり、あるとき思いついたぬい撮りがウナギトラベルというビジネスになりました。
なんとなく「こういうことをしてみたい。」「こうだったらいいな」という考えがある方は、それがざっくりとしていても、まずは何らかの形にして発信してみてはいかがでしょうか?そこから、東さんのように思いが強くなるかもしれませんし、もしかしたらビジネスチャンスが生まれるかもしれません。
次回のインタビューは「人と人とのつながり」について、もっと掘り下げてお話を伺います。