失業保険の求職活動実績とは。具体的に何をしたらいいの?
失業保険の受給には求職活動実績が重要
失業したら失業保険が受給できると思っていたのに、どうやら求職活動実績というものが必要らしい。いろいろ自分なりに志望する企業について調べたりと求職活動は行ってきたのに、それでは求職活動実績にならないといわれた。「求職活動っていったいどうしたらいいの?」とお困りではありませんか?
求職活動実績というのは単に求人サイトを閲覧したり、知人から紹介を受けたりだけでは認められず、具体的に内容が定められています。ではどんな求職活動を行えばよいのかを見ていきましょう。
失業保険の求職活動実績の種類
失業保険における求職活動実績となるものは明確に定められています。ここではどんなものが求職活動実績として認められるのかを見ていきましょう。
雇用保険受給説明会への参加
失業保険の受給者になるためには、まず始めにこの雇用保険受給説明会へ必ず参加しなければなりません。説明会の日程はハローワークで給付手続きをした際に受け取る「雇用保険の失業等給付受給資格者のしおり」に記載されています。
この説明会は初回のみで、参加することによって第1回目失業認定日までの失業認定が受けられます。
第1回目の失業認定日は、この説明会のときに知ることができます。説明会では雇用保険の制度について詳しい説明があるので、十分理解できるようによく聞いておきましょう。
また、このときに失業認定日に提出する「雇用保険受給資格者証」や「失業認定申告書」を受け取ります。持ち物は「雇用保険の失業等給付受給資格者のしおり」、印鑑と筆記用具ですが地域によっては異なる場合があるので「雇用保険の失業等給付受給資格者のしおり」の中で確認してください。
ハローワークのセミナー受講
ハローワークで随時開催されているセミナーも求職活動の1つとして認められていますので、4週間のうちに2回受講することで失業保険を受給することができます。
ハローワークへ行くと、さまざまなチラシがあるので確認してみましょう。年齢制限や定員数があったりするので参加できるセミナーは限られます。おまけにセミナー受講は一番求職活動実績を作りやすいので、応募が殺到します。早めに応募しないと定員に達して応募できなかったなんてことも。
チラシを見つけたら自分のスケジュール確認よりも先に応募することをおすすめします。スケジュールが合わなければキャンセルの電話を入れればいいのです。そのぐらいの意気込みで応募しないと定員に入れないので見つけたら即応募しておきましょう。
職業訓練への応募
職業訓練とはハローワークが主催している学校のようなものです。この職業訓練への応募も求職活動実績に当たります。応募すると決まった日に簡単な面接や試験があります。これに合格して通うことになれば、通っていること自体が求職活動実績となります。ですのでその間は実績を気にする必要はありません。
この職業訓練というのは失業保険の給付が受けられるうえに、交通費や受講手当までもらえます。もちろん受講料は無料です。
仮に不合格となっても応募したことが1回の実績としてカウントされます。そのためセミナーに並んでも倍率が高いので運が良ければ合格、くらいの気持ちで応募してみましょう。
民間職業紹介業者の説明会に参加
民間職業紹介業者の説明会とは、要するに転職エージェントが開催する転職フェアのことです。この転職フェアでも求職活動実績とすることができます。ただし個別の相談ができる転職フェアであることが条件となります。ただの講演のみの転職フェアでは実績とならない場合もあるので注意してください。
また、参加の証明が必要になります。参加の証明はさまざまで参加証明書を発行してくれる場合が一番ラクなのですが、そうでない場合も。その場合には開催日や概要がわかるチラシなどを保存しておく必要があります。参加者しか手に入らない開催日の記載された資料ならば、なおよいでしょう。
この証明方法はハローワークによってさまざまなので、事前に確実な方法を管轄のハローワークで必ず確認してください。
求人への応募
当たり前の話ですが、求人への応募はもちろん求職活動実績になります。それがハローワークを通したり転職エージェントを通したりしなくてもです。
履歴書や職務経歴書を送付して書類段階で落とされたとしても実績となります。
また、面接に行った場合は履歴書の有無にかかわらず、求職活動実績とすることができます。応募した企業の企業名と電話番号は必ず控えておき、失業認定申告書に記入しましょう。
失業保険の求職活動実績を簡単に作る方法
求職活動実績がどんなものか理解できたけど正直面倒くさい。という方のために、手軽に実績を作る方法を調べてみました。
ハローワークで職業相談をする
応募したい企業がなかなか見つからない場合におすすめなのが、ハローワークでの職業相談です。
ハローワーク備え付けのPC端末で求人検索、気になる企業の求人票を印刷します。その求人票を持って相談窓口の受付で職業相談の受付をしてもらいます。応募する気があるかは問いません。求人票の企業についてちょっとした確認事項や質問をするだけで求職活動実績になります。
例えば「有給休暇はあるのか?」や「残業時間は平均どれくらいなのか?」など求人票で確認できないことを質問しましょう。
回答をもらったらその場で応募しなくとも「持ち帰って検討します」といえばそこで職業相談は終了し、求職活動実績のスタンプがもらえます。
派遣会社への職業相談
ハローワークだけでなく派遣会社への職業相談も求職活動実績になります。しかも面会の必要はなく電話のみの相談でも実績とすることが可能です。
どんなスキルが必要なのか聞いてみたり、求人の条件などを詳細に聞くだけで実績としてカウントされます。(ハローワークによっては判断が異なる場合も)ただし、単なる無料登録や求人検索のみだったり、仕事の内容に関係のない問い合わせでは実績にはならないので注意してください。
資格試験の受験
就職の為に資格取得を目指している場合、受験日が失業認定期間内であれば資格試験の受験が求職活動実績とすることができます。
ただし、あきらかに実績を作るための受験で就職活動と方向性の違う資格は認められない場合があります。例えば、経理職を希望しているのにインテリアコーディネーターなど趣味で取得している疑いがかけられそうなものは避けたほうが無難でしょう。
認められるかわからないまま認定日を迎えてしまうと、失業保険の給付を受けることができなくなることもあるので事前に確認しておきましょう。
失業保険の不正受給について
知らなかったでは済まされない不正受給。どんな罰則があるのか知っておいて損はありません。
受給の権利が奪われる支給停止
不正受給は、収入があるのに申告していなかったり、求職活動の内容を偽って申告したりと内容はさまざまですが、不正受給を行うと罪の重さにより罰則があります。
一番軽いのが支給停止です。支給停止とは不正を行った日から失業保険の給付を受ける権利がなくなり、今後の給付が受けられなくなること。アルバイトをして収入を得ていたのに、それを申告していなかった場合などに適用されます。悪質であると判断されればこの限りではありません。
給付金が全額返還となる返還命令
支給停止の次に怖いのが返還命令です。返還命令があると、今まで不正を行っていた期間内に受けていた失業保険の給付分の全額を返還しなければなりません。全額とはいっても、あくまで不正と給付が被っていた期間分の返還です。これに応じないと延滞金が生じ、最悪の場合財産差し押さえになることもあります。
虚偽申告や隠ぺいなど悪質であると判断された場合に適用されます。
給付金全額返還と2倍の額を納める納付命令
そして最後に一番怖いのが納付命令です。納付命令は返還命令に加えて、返還命令によって返還した額の2倍の金額を罰金として納付することを命令されます。要するに最初に給付された金額からすると3倍返しとなります。これに応じないと返還命令と同じように財産を差し押さえられることも。
返還命令の場合よりも、悪質で明らかに不正受給をするために不正行為を行っていた場合に適用されます。悪質の度合いは自分が決めるものではありませんので、実際にはどの罰則が適用されるかはそのときになってみないとわかりません。
知らなかったことなら許されると思いがちかもしれませんが、知っていたか知らなかったかは関係ありません。不正と判断されるかどうかです。知らないでは許されないので不正受給にはくれぐれも気を付けてください。
確実な求職活動を行い失業保険を受け取ろう
今回は失業保険の給付を受ける際に必要となる求職活動実績について見ていきました。本人が真剣に求職活動を行っているつもりでも、法的に求職活動実績として認められないことも少なくありません。求職活動実績となるものは明確に定められています。
また、ハローワークによっては微妙に判断が異なることもあります。ここで紹介したことは、ある地域では認められていても別の地域では認めてもらえないということもありえます。
求職活動実績としてカウントされるのかどうか曖昧なまま失業認定日を迎える前に、管轄のハローワークで確認して、確実に失業保険を受け取れるようにしましょう。