年収600万は住宅ローンでいくら借りられる?|理想的な借入金額
年収600万円だといくらまで住宅ローンが組めるのか
住宅の購入を考えるときに、どれくらいまで住宅ローンを組めるのかが気になりますよね。例えば、年収600万円の世帯だと、どのくらいまで借入れができるのでしょう。
ここで考えなければならないことは、実際に借入れできる限度額と返済できる金額は、必ずしもイコールではないということです。このことに注目しながら、どれくらいの金額まで借りられて、それを返済できるかを見ていきたいと思います。
年収600万円の住宅ローン返済シミュレーション
年収600万円の場合の住宅ローンの借入れ金額として、3,000万円、3,500万円、4,000万円、4,500万円の場合の返済シミュレーションを、それぞれ見ていきましょう。
借入額:3,000万円の場合
年収600万円で3,000万円の借り入れをする場合、月々70,000~80,000円を返済していく計算になります。その場合、返済負担率は18%となるので、家計的には無理な返済計画ではありません。
返済負担率とは、年収に占める年間返済額の割合のことです。金融機関ごとに、年収ごとの返済負担率が決められていて、この返済負担率を参考に、融資額が決まります。おおむね、30~35%に設定されているところが多く、18%だと計算上は返済が可能な借入額だと判断できます。
借入額:3,500万円の場合
3,500万円の借り入れをすると、月の返済金額が約10万円となります。年収600万円の世帯の返済負担率は、20%程度に設定している家庭が多く、その場合は、返済金額が月々10万円と同じ金額になります。
家計的には、余裕を持って借りられる限度額と言ってよいでしょう。月々の支払には、住宅ローンのほかにも税金や教育費、生活費などもかかってきます。また、車のローンなどがある場合には、そのローンの金額も考えて借り入れする必要があります。
借入額:4,000万円の場合
年収600万円の世帯で、4,000万円の借り入れをする場合、返済負担率を考えると、借り入れすることは可能です。しかし、借入した金額は、毎月返済していかなければなりません。4,000万円の借り入れで返済比率が35%だと、年間210万円の返済になります。これを月々で割ると、17万5,000円になります。
この金額を見ただけでも、かなり厳しい家計になると予測がつきます。年収600万円だと、月々の収入は50万円、ここから税金などが引かれるので、さらに低い金額になります。また、子供がいる場合には、年々、教育費や食費も増えていきます。ローンの返済は何十年と続くものなので、数十年先を見越して、返済計画を立てる必要があります。
借入額:4,500万円の場合
年収600万円の世帯で、融資を受けられる限度額は4,600万円くらいになります。月々の返済を12万円、さらにボーナス時にはプラス50,000円の返済を続けたとしても、35年のローンになります。
夫婦共働きで世帯年収が600万だった場合、共働きで定年まで働き続けて、この収入を維持できても、ぎりぎりだと思われます。金利が上昇したり、子供の成長とともにかかる費用が増えていったりします。そのため、限度額ぎりぎりまで住宅ローンを借りると、何かトラブルが起きた場合には、破たんしてしまいます。
年収600万円で住宅ローンを組むときの頭金の考え方
住宅ローンを組むときには、物件価格の1~2割程度の頭金を用意しましょう。頭金を入れることで、ローンの審査にも通りやすくなります。しかし、頭金の入れすぎには注意が必要です。
頭金なしはリスクが大きい
頭金なしで住宅ローンを組むと、将来何らかの理由で家を売却しなければならなくなったときに、売却金額がローンの残高を上回らなければ、なかなか売却するのも難しくなります。また、借入金額が多いほど、利息も上がります。
また、後に金利が上昇すると返済金額も上がり、月々の返済が苦しくなることも考えられます。よって、頭金を購入時に入れることで、月々の返済を減らせます。
頭金があれば審査に通りやすくなる
借り入れ金額には限度額があります。頭金を入れることで借り入れ金額が下がり、住宅ローンの審査にも通りやすくなります。また、家を購入する際には家の代金だけでなく、不動産会社の仲介手数料や、税金などの諸費用が発生します。さらに、引越し費用や新居の家具、電化製品などの購入代金などもかかります。
住宅ローンを組んで家を購入する際は、このような費用も考えて計算する必要があります。住宅購入の際の諸費用を、住宅ローンと一緒に借り入れて支払うことも可能です。しかし、銀行によっては、その分の金利を高く設定している場合もあるので、注意が必要です。
頭金の入れすぎに注意
頭金を多く用意できると、月々の返済金額を軽減できます。また、利息の金額も下げられます。しかし、多額の頭金を用意するためには、時間がかかります。もし、希望物件をすでに見つけているのなら、頭金を少しでも多く貯めたいからと時間がかかってしまうと、ほかの人がその家を購入してしまうかもしれません。
また、頭金を貯めている間に、金利の上昇する可能性があるならば、頭金を貯めても利息の支払いのほうが多くなる可能性もあります。用意できている頭金で物件が購入可能であるならば、金利が上昇する前に購入したほうが、メリットが高い場合もあります。
ただし、預貯金全部を頭金にあててしまうと、その後の生活に余裕がなくなり、何かトラブルがあったときにも困ります。したがって、自分の預貯金やその後の生活のことを考えて、ゆとりを持って頭金を用意しましょう。
理想的な頭金は借入額の1~2割
頭金を入れるときには、月々の返済額がどのくらいになるのかを考えて、無理のない返済金額になるようにバランスを考えましょう。多くの人は、頭金を物件価格の1~2割程度用意しているようです。住宅購入の際の諸費用の金額も考えて、頭金の金額を決めるとよいでしょう。
もちろん、貯金に余裕があれば頭金を多く入れれば、もしも、売却しなければならなくなったときのローンの残額を少しでも減らせるので、月々の返済も楽になります。
年収600万円で受けられる住宅ローン控除の条件
住宅ローンの控除を受けるためには、床面積の大きさや、控除を受ける人がその物件に住んでいるか、借入期間が10年を超えるかなどの条件があります。また、1年目は確定申告が必要です。細かい条件を見ていきましょう。
住宅の床面積が50平方メートル以上ある
住宅ローン控除を受けるためには、住居の床面積が50平方メートル以上あることが条件になります。坪数でいうと、約15坪になります。2階建ての物件だと、1階部分の面積と、2階部分の面積を合計した床面積を計算します。そして、床面積の半分以上が居住用でなければなりません。
また、マンションの場合は、登記簿上の専有部分の床面積が、50平方メートル以上でなければなりません。マンションのチラシなどには、壁芯面積が記載されていることが多いので、内法面積(登記簿上の面積)を確認する必要があります。
6カ月以内に住み始めている
住宅を購入した日や新築した日から、6カ月以内に住み始めなければ、住宅ローン控除は受けられません。また、住宅ローン控除を受ける年の12月31日まで、引き続き住み続けることが、控除を受けるためには必要になります。
住んでいるかどうかの判断は、住民票で判断します。年末までに住民票の移動ができない場合は、電気料金などの請求書で確認する場合もあります。
住宅ローンの借入期間が10年以上
住宅ローンの控除を受けるためには、住宅ローンの借入期間が10年以上でないと受けられません。住宅ローンを早く完済したいがために、繰り上げ返済をしている人は注意が必要です。
すでに返済した年数と、繰り上げ返済後に残る返済年数を足して、10年を超えていれば引き続き控除を受けられますが、足した年数が下回ると控除は受けられなくなります。
1年目は確定申告が必要
1年目は、住宅ローン控除を受ける手続きは、年末調整ではできません。そのため、入居した翌年の1月以降に、還付申告を行う必要があります。しかし2年目以降は、給与所得者であれば年末調整ができます。
この手続きにより、10年間ローン残高の約1%にあたる税金が還ってきます。確定申告は、住んでいる地域の税務署で行えます。また、今はインターネットでも手続きができます。
※住宅ローン控除の適応条件は、変更になる可能性があります。実際に住宅ローンを組む際は国税庁のHPで必ず確認してください。
【参照:国税庁HP 住宅を新築又は新築住宅を購入した場合(住宅借入金等特別控除) 】
年収600万円で住宅ローンを組むときの注意事項
住宅ローンを組むときには、ボーナス返済に頼りすぎないようにしましょう。また、変動金利の場合は余裕を持ち、住宅ローン以外の維持費の計算も忘れないようにしましょう。返済額は、家賃を超えない程度が安心です。
ボーナス返済に頼りすぎない
ボーナスは、景気や企業の業績などに影響を受けるため、過度にボーナスに頼った返済計画をすると、返済が滞る可能性があります。ボーナスの返済は、借入れ金額の2割程度に抑え、ボーナスの金額が減ったとしても、払える金額に抑える必要があります。
したがって、毎月の返済金額とボーナス時の返済金額のバランスを見ながら、返済計画をたてるとよいでしょう。
変動金利なら家計に余裕を持たせる
変動金利で住宅ローンを組んだ場合、そのときの固定金利よりも、金利が低く設定されています。しかし、変動金利の場合は、金利が上昇したり下がったりするので、借入れしたときの金利よりも、上昇する可能性を考えてローンを組む必要があります。
金利が上昇したときに、払えるだけの余力を残して返済計画を立てましょう。変動金利の金利は、返済期間が長くなるほど、金利が上昇するリスクが上がります。そのため繰り上げ返済などで、返済期間を短縮するなどの工夫も必要になります。
住宅ローン以外の維持費を忘れない
住宅を購入後は、もちろんローンの支払いが始まります。しかし、ローンの支払いのほかにも、いろいろと費用がかかります。例えば、固定資産税や地震保険、マンションなら管理費や修繕費の積み立てなどの支払いがあります。
住宅ローンの借入額は、これらのことも考慮して決める必要があります。住宅ローンを限度額ぎりぎりまで借りると、これらの諸費用を払わなければならず、日々の生活費や教育費を確保できなくなることも考えられます。日々の生活を安定させるためには、余裕のある返済計画にしましょう。
現在の家賃を越えない額を設定する
もし、住宅ローンの返済金額を決めるときに、不安があるのであれば、今まで支払っていた家賃をベースに考えると、無理のない返済計画が立てられます。家を購入したからといって、急に収入が増えるわけではないので、今までの生活を維持できるだけの返済計画を立てることが、無理のない返済計画につながるのです。
住宅ローンは、長期に渡って返済を続けなくてはならず、余裕のない生活は長く続けられません。自分の収入と生活を考えて、返済金額を設定しましょう。
後悔のない返済計画を立てよう
家の購入は、一生の中でとくに大きな買い物です。新しい家で、家族皆で幸せに暮らすためのものです。そこで第一に考えることは、家族の安定した生活ではないでしょうか。
そのためには、無理な返済額を続けなければ返せないような住宅ローンは、組むべきではありません。生活をゆとりのあるものにするためにも、無理のない返済計画を立てるようにしましょう。