【4】起業したらすべて一人でやらなければいけない。起業後のリアル:飯嶋真美さんインタビュー
プライベートな時間はほとんどないという飯嶋さん。しかし、ずっと仕事ばかりしてしまうと、うまくいくこともうまくいかなくなってしまう。そう思い、無理矢理にでも仕事のことを考えない時間を作っているそうです。インタビュー最終回では、飯嶋さん流のリフレッシュ方法と起業を目指す方へのアドバイスをいただきました。起業すると、どのような現実が待っているのか。起業後のリアルな問題を見せていただきました。
あえて仕事から離れることも必要
―プライベートについても伺わせてください。お休みの日は何をしていますか?
お休み、ほとんどないんですよね…。
でも、時間ができたらとにかく東京にいないようにしています。意識的に仕事から離れないとずーーっと仕事してしまうんですよ。仕事のことばかり考えすぎると、うまくいかなくなっちゃうんですね。ですから、仕事について考え抜くときと、一切考えないときと分けています。
―旅行はご家族と一緒に行くのでしょうか?
そうですね、自然の多いところへ行って、温泉に入ったり、その土地で採れる地場野菜を使った料理を楽しんだりしていますね。
―では、ご主人に経営について相談することもありますか?
主人に相談されることはありますが、主人だけでなく、私は人に相談するということはありません。むしろ黙る。黙ってずっと考えています。物事を考えて整理しますね。
口に出すと、思考が止まって、余計わからなくなっちゃうんですよ。
逆に主人や私の周りの人は、話すことで物事を整理するタイプの人が多いように思います。
起業前に経営者としての勉強を
―毎日、本当にお忙しいと思います。経営者になると仕事中心の生活になるのでしょうか?
そうなると思います。自分の力を試したい、自分の持っている能力の価値を上げたいと考えるなら、ぜひ起業に挑戦してほしいですね。でも、起業したら会社員よりも自由だから、とか週5勤務が嫌だからと思ってなのであれば、起業するのはやめた方がいいと思います。仕事中心の生活になるのは当たり前ですし、一人ならいいと思いますが、それができないなら、まず人を雇用するのはやめたほうがいいですね。
起業すると一人でやらなくてはいけないことの多さに驚きます。経営と事業を一人で行い、スタッフを採用したら教えるのも全部自分ですから。起業する前に経営者としての勉強をしておくことをオススメします。私は、企画内容を考えたり、人脈を作ったりというところは準備できていましたが、経営者としての知識は身に着けていなかったので、苦労しました。
―どのような点で苦労しましたか?
税金関係はまったくわかりませんでした!。会社に対する税金、雇用に対する税金、何とか税というのを払うよう通知がくるけど、これって本当に全部払わないといけないの?とその種類の多さに頭を抱えていました。1人社員を採用するとこんなにかかるの?という感じでした。
人脈づくりなども大切ですけど、勉強を先にしておいた方がよかったなと、起業したばかりのときは少し後悔しました。
起業して痛感した一緒に働く仲間の大切さ
―起業してから世の中の見え方など、ご自身の中に変化はありましたか?
会社に仲間がいる大切さ学びました。会社時代は、企画をしてプレゼンをして契約できたら、あとの業務は他の部署や人に回せばよかった。でも、起業して一人になったらすべて自分で処理しなければいけなくなりました。
会社でのこまごまとした業務も同様です。例えば、スタッフを採用したら、PC買うのも私ですし、会社勤めだと、オフィスに清掃スタッフがいるので私が掃除をしなくても良いですよね。でも今は、床が汚れていたら自分で掃除をしなくてはいけなくなりました。総務や庶務の方など、仕事を支えてくれる人がいるというのはとても大事なんだなと痛感しました。
今は一緒に働いてくれる人がいて、本当にありがたいと感じています。
≪まとめ≫起業の現実を知り、準備をしよう
飯嶋さんはキリリとした佇まいの女性。クールにサラリと起業したのかと思いきや、地を這うような努力を続けてきました。女性起業家は近年メディアで取り上げられる機会が多くなり、注目度も増してきています。しかし、起業は飯嶋さんが言うように、決して華やかな世界ではありません。それを念頭に入れ、起業後の現実もイメージし準備しておいてください。「こんなはずじゃなかった」とがっかりすることを回避できるでしょう。