【1】起業と第三子出産のダブルヘッダーをどうこなしていったのか?:渡部久美子さんインタビュー
子育てをしながら起業を果たした渡部久美子さん。現在は、食産業支援事業にメディア事業、そしてコロナ禍でスタートさせたEC事業を展開しています。起業のタイミングで第三子の出産と、まさに盆と正月が一緒に来たような状況となってしまいましたが、渡部さんは、どんなふうに切り盛りしていったのでしょうか?
祖父の誕生日に起業して直後、いきなりコロナ禍へ突入!
―まずは、起業をしたきっかけから聞かせてください。
「34歳までソフトバンクの社員で、その後、退職して個人事業主となりました。もともと前の会社で、食産業支援事業である『food back』というサービスの立ち上げ責任者となり、運営にも携わっていたので、その後スピンアウトし、私が代表取締役となってから、より大きく事業を拡大すべく、2020年の1月23日に起業しました。1・2・3!だし、私の尊敬する祖父の誕生日ですし、ラッキーナンバーが3番なんです」
―起業するときに不安などは感じませんでしたか?さらにその後、すぐにコロナ禍となりましたが。
「スタートを切る時、不安はありましたが、やったるぜ!という感じで飛び込みました(笑)。でも、その後すぐにコロナ禍となり、EC事業を始めまして、現在は3つの事業を経営しています。最初は『food back』しかやってなかったので、1本柱は危ないなと思いました」
家族で囲む食卓の豊かさに気づいたことで、食×人の力に目覚める
―もともと食に興味があったのですか?
「いえ、実は小さい頃は、ごはんを食べるのが苦痛でたまらない感じの子でした。親はきっと苦労したと思います」
―そこから、どんな心境の変化があって、食に注目していったのですか?
「もともと家族みんなが揃ってワイワイとご飯を食べる時間は好きでした。また、主人が作る手料理がとてもおいしかったのと、個人事業主になってから、食事を通して人とのご縁がつながっていったことで、食ってすごい力を持っているんだなと気がついて。それで、私自身がハッピーになり、世の中ももっと良くしていけるようにと、食の力と人の力を掛け算にした事業をやりたいと思いました」
親の支援がないなかで、第三子を出産直後に起業!
―現在3人のお子さんを持つママですが、ご主人は育児のサポートをしてくれますか?
「第一子と第二子が産まれた時は、2人ともソフトバンクの会社員で、彼に育児休暇を取ってもらいました」
―渡部さんではなく、ご主人が育児休暇を取られたんですか?
「はい。一子目で3か月間、二子目は1年間休んでもらいましたが、当時では異例だったと思います。それで一緒に子育てをしていましたが、三子目の時は、彼も独立して会社を辞めていたんです」
―では、第三子出産の時は、どうされたのですか?
「うちは『子どもは自分で育てなさい』というチャレンジをくれる親だったので支援もなかったんです。しかも1月17日に第三子を出産後、1月23日に創業と、全部が重なったので、かなり大変でした(苦笑)」
―それは大変ですね!しかもコロナ禍に入りましたし。
「仕事はもともとリモートでしたが、それからフルリモートに切り替えました。また、主人は基本的に育児と仕事の両方をサポートしてくれるので、私が仕事に90%を費やす日は、彼が90%を育児に当ててくれるし、その逆もありました。でも、要は気合と根性で乗り切った感じです(笑)。苦しいというよりは、ワクワクしながらやっていました」
≪まとめ≫逆境にもめげず、臨機応変にビジネスを展開
渡部さんにとっての武器は、持ち前の明るさと、ポジティブシンキングでしょう。起業してコロナ禍に突入しても、いろんな機転を利かせて乗り越えていったようです。また、3人のお子さんを育てるママ社長として、パートナーのサポートも上手に受けながら、日々の生活を楽しく切り盛りしている点も素敵です。
そんな渡部さんは、就職試験である運命的な出会いを経て、ソフトバンクに入ったことで、ビジネスの面白さを見出していったようです。次回はそんなドラマチックな若き日のエピソードをご紹介します。