美容サロンを開業したい|夢を叶えるために必要な資格や手続きとは
美容サロンを開業したい
長年、エステサロンなど美容関係の職を続けている人の多くが、「いつか自分の店を」と開業資金をためています。しかし、開業資金をためるだけで、美容サロンの経営は大丈夫なのでしょうか。
開業しやすい反面、閉店に追い込まれることも多い美容サロンのメリットやデメリット、生き残るための方法について見てみましょう。
開業しやすいからこそ難しい美容サロン
美容サロンを開業するときには、「資格がないから開業できないのではないか」と思う人がいます。しかし日本では、エステティシャンの免許制度が確立されていないため、美容サロンは資格がなくても開業できる、自由業の扱いになります。そのため、エステティシャンなど美容関係の仕事経験がなくても、誰でも美容サロンの開業は可能です。
しかし、誰でも美容サロンを開業できてしまうため、きちんと技術を習得していない、知識だけ詰まった素人が施術している場合もあります。そのため、美容サロンの店舗数が多く競争が激化していて、せっかく開業しても1年後には6割、3年後には9割が閉店に追い込まれてしまうことが現状です。
4つある開業の仕方のメリットとデメリット
美容サロン開業には大きく分けて、路面店やテナントで開業・マンションの一室で開業・自宅の一室で開業・レンタルサロンやシェアサロンで開業の4つの方法があります。また、開業方法の仕方の違いで異なる、メリット・デメリットについて見てみましょう。
路面店やテナントで開業のメリット・デメリット
路面店やテナントで開業する場合、人目に付きやすい場所であれば新規の客が期待できるため、来店客数が多く、売上も大きくなる可能性があります。しかし、物件取得にかかる初期費用が高く、来店客数が増えることで、回転率をよくするための施術の効率化や人員確保など、マネジメントの知識やノウハウが必要になります。
マンションの一室で開業のメリット・デメリット
マンションの一室で開業する場合、路面店やテナント利用よりも、初期費用を安く抑えられます。また、個人サロンであれば広さを必要としないため、無駄なスペースと経費がかかりません。
さらに、完全予約制や完全個室にすることで、接客・施術を焦らずに行えます。しかし、居住用のマンションでは、サロン営業を許可する物件は少ないです。また、住宅街になると駅からのアクセスが悪くなるなど、来客数が限られてきます。
自宅の一室で開業のメリット・デメリット
自宅の一室で開業する場合、自宅と兼用なので余計な家賃がかかりません。また、出勤時間の短縮や、家事と仕事の両立がしやすいなど、主婦でも働きやすい条件がそろっています。
しかし、自宅の一室とはいえ店舗として扱うため、生活感をださない工夫をする必要があります。また、プライベートと仕事の切り替えをしたり、子供がいる場合には子供がいることへの配慮をしたりなど、自宅サロンで心地よく過ごしてもらう工夫が必要になります。
レンタルサロンやシェアサロンで開業のメリット・デメリット
レンタルサロンやシェアサロンで開業する場合、固定費がかからず、予約が入ったときだけ料金を支払えばよいので、閉店に追い込まれるリスクが低くなります。また、都心のおしゃれなサロンや複数のサロンを使うなど、さまざまな経営方法があり、利用客に合わせた地域で営業できます。
しかし、同業者の予約とかぶってしまったり、レンタルできる備品に限界があったりなど、個人経営とは違うため、落ち着いた接客・施術ができないといったデメリットもあります。
開業するためにすべきこと
そもそも美容サロンを開業するためには、なにをしたらよいのでしょう。開業するためにすべきことについて、見てみましょう。
開業するのに必要なもの
美容サロンを開業するためには、まず物件選びから始めます。自分の経営方法に合う物件を選定しましょう。次に、サロンに必要な設備や器具、備品と、それらをそろえるために必要になる資金を用意します。資金については、宣伝費や開業してから、数カ月分の赤字をまかなえるだけの金額が必要。
開業資金については、どのような方式で開業するかにもよりますが、自宅開業の場合は50万円から100万円。場所を借りて開業する場合には、100万円から500万円ほどの資金の準備が必要になります。
失敗しないため開業するまでにすべきこと
美容サロンは、誰でも開業できるため店舗数が多く、競争が激しい業界。開業後、閑古鳥が鳴かないようにするためにも、他のサロンと差別化をはかることが重要になります。老若男女施術可能にするのではなく、施術をするターゲットを決めて、他のサロンにはないコンセプトを決めましょう。
「20代女性の脚のむくみを解消する」「40代女性の加齢とともに気になる肌のたるみを改善」など、ターゲットを絞ることで行ってみたいという気持ちにさせられます。また、インターネットを使った宣伝や、ポスティングなどで宣伝を行い、集客率アップの努力をしましょう。
資格はなくても開業はできるが取っておくべき
日本では、エステティシャンの資格がなくても開業ができるため、独学で開業している人は多く存在しています。しかし、施術をしてもらう側からすれば、資格取得者のほうが安心感がよりアップし、リピート率も高まります。
では、資格をどのようにとったらよいのでしょう。日本には公的資格制度はありませんが、エステティック協会が定めている資格制度があります。集客率アップのためにも、日本エステティック協会の資格を取得し、信頼されるサロンにしましょう。
開業後に生き残ることは難しい
1年後には6割、3年後には9割が閉店に追い込まれる、美容サロン業界。開業後も生き残るためには、どのようにしたらよいのかについて見てみましょう。
生き残れないサロンの特徴を知ろう
開業後、閉店に追い込まれるサロンにもっとも多い原因は、技術レベルの低さとサービスの悪さ。よい評価も悪い評価も、インターネットや口コミにより広まってしまいます。そのため、技術レベルやサービスの悪いサロンにはリピーターがつきにくくなり、安定した経営ができません。
技術レベルは、開業後もスクールやセミナーなどに通って向上させ、サービス対して不満がでている場合は、早めにサービスの見直しをしましょう。また、宣伝をおろそかにしていることで、集客率の伸び悩みも閉店に追い込まれる原因になります。
難しい生き残り競争で勝つ方法
数多くある美容サロンの生き残り競争で勝つためには、定番メニューを入れつつ、他のサロンにはない独自のメニュー作成や、オプション付きプランでお得感をだす方法があります。独自メニューやお得感のあるプランは、成功すれば固定客がつきやすいので、リピーターがつかない場合にはメニューの作り直しを考えましょう。
また、激しい競争で生き残るために、開業記念などといって格安プランを提示することがありますが、値段を下げて集客する方法は最善ではありません。
後々、値段を元に戻した途端に来客数が激減するなど、経営困難になる恐れがあります。開業当初は、来客数が少なくて焦ってしまうかもしれませんが、半年後も経営できる基盤作りをしましょう。
開業時にすべき届け出は3つある
開業する前に必要な届け出には、税務署に申告する「開業届」、国家資格や免許が必要な施術を行う場合に必要な保健所に出す「開設届」、個人事業主となる場合の「確定申告」の3種類があります。
確定申告については、青色申告と白色申告の2種類がありますが、どちらで申告を行えばよいのか分からないときには、税務署で相談しましょう。
美容サロンの開業では、基本的に税務署に申告する「開業届」のみですが、マッサージを施術メニューに加える場合には、「あん摩マッサージ指圧師の国家資格」が必要になります。
さらに、まつ毛エクステや眉毛カットには、施術するすべての人に「美容師免許」が必要になります。資格や免許を必要とする施術は、保健所の許可がないと開業できないので注意しましょう。
正しいやり方で美容サロンを開業して夢をかなえよう
美容サロンは、独学でも開業できるため、多くの人が夢をかなえて閉店していることが現状です。長年、夢をかなえるために頑張って資金をため、技術を磨いても「効果が感じられない」「接客態度が悪い」と思われてしまうとリピーターはつきにくくなります。
美容サロンを安定して経営するためにも、余裕ある資金の準備と、常に技術を向上させることを意識して、好印象の接客を心がけましょう。
また個人事業主となる場合、確定申告などの手続きは必ず必要になります。開業後にトラブルにならないためにも、必要な手続きをしっかり把握しておきましょう。